知らないと失敗する家庭用無線LAN(Wifiルーター)の選び方

様々なメーカーから家庭用無線LANルーターが発売されていますが、家電量販店一押しの製品ほど安定した動作とは程遠く、購入して何度か後悔したことがあります。

家電量販店で勧められた無線LANルーターで何度も苦い経験をしているだけに、店頭で不安定な製品の説明を一生懸命聞いている人をみかけると可哀想で助けたくなります。

家庭向けの無線LANルーターで安定して動作する製品は非常に少なく、今まではNECのAterm以外はおすすめできないのが実情でした。

ただ、2016年頃からASUSやtp-linkなど海外勢の製品が店頭で目立つようになり、昔よりもメーカーの製品を選べば良いのか分かりにくい状況にあります。

そこで今回は、数多くある家庭用無線LANルーターの中から自宅に適した製品の選び方や、徹底比較をした上で実際に購入した製品について紹介します。

必要な有線LANポートの数を考える

まず簡単な所から説明すると、家庭用無線LANルーターを購入する時に気を付けて欲しいのが有線LANポートの数で、家庭内に敷かれているケーブルの本数と合う製品なのか必ず確認してください。

今時のマンションや戸建はリビングや寝室に有線LANを使える情報コンセントがあるのが当たり前で、部屋数が多いとその分だけ有線LANのポートが必要になります。

一部の製品を除くと家庭用無線LANルーターの多くは、ローカル側の有線LANポートが4ポートの物が目立ちます。

我が家はリビングに2ポート、和室に1ポート、寝室に1ポート、寝室に1ポートと合計5個の情報コンセントがありますが、有線LANを使用しない部屋のケーブルを抜いて調整しています。

マンションよりも情報コンセントの数が必要になる可能性の高い戸建ては、HUBを増設することで対応することもできますが、見た目が悪い上に電気を余計に使うことになります。

全ての部屋で有線LANを使用しないのであればポート数が少なくても問題ありませんが、無線LANに非対応なテレビや、番組を録画して視聴するレコーダーやNASなどの機器が多くあるなら、有線LANが必要な部屋の数を必ず確認してください。

我が家で使用している有線LANの機器は、NasneやQnapなどのNAS、プライベート・ビエラのチューナ、デスクトップPC2台などがありますが、それぞれの機器を各部屋に分散して置いてあります。

ただ、今時のNASやデスクトップPCは高速な無線LANに対応していますので、全ての部屋に有線LANが必要なケースは時代と共に少なくなる傾向にあります。

テレビ番組の視聴やオンラインゲームをするなら通信が安定する有線LANがあると便利ですが、使用する通信機器が高速で電波の干渉を受けにくい5GHz帯に対応しているのなら、有線LANににこだわる理由はありません。

ただ、家庭用無線LANルーターには有線LANの接続を捨てられない理由もありますので、以下の内容も合わせてお読みください。

通信機器の同時接続数を考える

高速化で安定した無線LANの存在は確実に有線LANの必要性を少なくしていますが、家庭用の無線LANでは有線LANの存在を無視できない大きな理由があります。

無線LANのルーターは製品の性能により同時接続可能なデバイスの数が異なるという重要な要素があるのですが、金額や通信の速度だけで製品を選んでしまう傾向があります。

一部では同時接続可能なデバイスの数を表示する製品が増えてきましたが、性能の低い無線LANルーターは非公開のものが多くあります。

一人一台所有するスマートフォンや携帯ゲーム機はもちろん、パソコン、テレビ、レコーダーなど無線接続できる製品が確実に増えている時代に、同時接続可能な数の少ない安物の製品を選んでしまうと必ず後悔します。

最近のIoTブームで加湿器や冷蔵庫などの家電や、Google Homeなどの無線でインターネットに接続する機器が増えたことを考えると、無線LANのルーターは15台以上同時接続可能な製品を選んでください。

一般的な家庭で良く使われるバッファローやNECの無線LANルーターは、スペックを考えると同時接続可能な無線デバイスの数は10台程度です。

これからの時代を考えるとスペック不足は否めないので、家族が多い家庭では有線LANポートを活用するか、ASUSなどのハイスペックな製品をおすすめします。

高速無線LANは必ずしも正義ではない

高速な無線LAN規格IEEE802.11acの登場により無線LANでも動画の視聴がスムーズになりましたが、通信というのは様々な理由で速度の低下が起きるものなので、必要以上に高速な製品を購入する必要はありません。

一般的な家庭なら最新の無線LAN規格である11acに対応した製品であれば十分快適に使えますし、そもそもスマホやゲーム機などの端末が最新の規格に対応していなければ意味がありません。

古い規格である11nや11gのみに対応した製品を購入する意味はありませんが、11acの規格でも2,167Mbps+2,167Mbps+1,000Mbpsの3バンド合計5,334Mbpsという製品は、余程お金に余裕がある人かゲームユーザーでないと必要になりません。

一瞬の遅れが命取りになるオンラインゲームやデイトレーダーの世界では高速なネットワーク環境の構築が重要になりますが、You Tubeやオンライン動画配信サービスの視聴であれば、11acに対応した製品を選んでおけば失敗しません。

何故なら、いくら家庭内のネットワークが高速でも肝心のインターネットが低速ですし、家庭内サーバであるNASもディスクや有線LANの速度が原因でネットワークのパフォーマンスをフルに発揮できないのです。

戸建ては電波の強さも

今まで使用していたNECのAtermは安定して動作する優秀な製品なのですが、電波が若干弱いのでマンションでの利用なら問題ありませんが、3階建ての戸建などは苦手です。

そこで親機の他に中継器などを使用して各階で使用したり、連携可能な製品を有線LANで接続するなどの工夫をしたりしますが、余分な費用が発生することになります。

最新のAtermは過去の製品と比べると電波のカバー範囲が広くなりましたが、階がことなる場所でも安定して使いたいのであれば、ASUS RT-AC86Uの様な3階建てを目安にした製品を選ぶと良いでしょう。

ただ、注意したいのが高い周波数の無線LANは携帯電話のとは違い障害物に弱いので、必ずしも3階をカバーできるとは限らないということです。

条件次第では同じフロアでも電波の届かないことがありますので、あくまでも目安として参考程度にするのがおすすめです。

電波というのは、周波数が高ければ通信速度は速くなりますが障害物に弱いため距離が短くなり、低い周波数だと速度は出ないが障害物を迂回することができて遠くまで届くという性質があります。

安定動作が一番重要

今まで数多くの無線LAN環境を構築してきましたが、NEC製を除く家庭用の無線LANルーターの多くは動作が不安定でストレスを感じる物ばかりでした。

中にはファームウェアをアップデートすると無線接続が一切できなくなる製品や、購入してから数か月で何度も壊れる製品もありました。

最近家電量販店で売り込んでいるある海外製品は、性能の割に価格が安くて売れているようですが、過去にセキュリティの問題を起こしたり、ドメインの更新をし忘れて専用ページにアクセスできなくなるという事態がありました。

また、最近では中継器がネットへのリクエストを頻発して、トラフィックを圧迫していたという事象を起こしていたというニュースもあります。

海外製だから信頼度が低いということにはなりませんが、価格が安いのにはそれなりの理由があり、様々なリスクがあることを考えて製品を選ばなければなりません。

今回、検証のために無線LANルーターをASUSの物に買い替えてみましたが、今まで使用してきた製品のなかで安心して使えたのは、NECのAtermシリーズとASUSの製品だけです。

ASUSの製品はゲームユーザーを対象としたハイエンドな無線LANルーターなので、価格はバッファローやNECの製品と比べると倍近くしますが、同時接続数や電波の強さなど、様々な要件をクリアできる製品です。

念のためにポインとの付く有名な家電量販店で価格を確認しましたが、3万円以上と安定した高値でしたので購入する際には注意してください。

予算に余裕があればビジネス向けであるアルバネットワークスやヤマハの無線LANがおすすめですが、これらの製品はアクセスポイントとして使用するものであり、ルーターの機能がありません。

とにかく同時接続が多くて安定した無線LAN接続を実現したいのであれば企業向けの製品をおすすめしますが、同時接続数が100台と多すぎますし今回は家庭向け製品の紹介となりますので割愛します。

流石に企業向けやゲーマーのための高額な無線アクセスポイントを購入できないという方は、安定動作で定評のあるNECのAtermをおすすめします。