静かで空気が汚れないオイルヒーターの気になる電気代を調べてみた

消費電力の少ないエコな暖房器具と言えばエアコンですが、肌や喉が乾燥しやすく体の芯から温まらないので、苦手な人も多いのではないでしょうか。

過去に実施されたエコポイント効果や震災による電力不足のことを考えて、消費電力の少ないエアコンへの買い替えが進みましたが、近年は体の芯から温まる暖房器具が人気です。

遠赤外線式のセラムヒートやオイルヒーターは、部屋全体を暖める能力はエアコンに敵いませんが、体を芯から温めるという意味では大変優れた暖房器具です。

ただ、体を芯から温めてくれるこれらの暖房器具は、エアコンと比べるとエネルギーを大きく消費するので、利用するシーンを良く考えてから購入するのがおすすめです。

そこで今回は、人気のデロンギオイルヒーターを実際に使用して感じたことや、気になる消費電力を計測し他の暖房器具と比較した結果について紹介します。

オイルヒーターは体の芯から温まる

デロンギに限らずオイルヒーターを店頭などので試すことのできる人なら是非体験してもらいたいのですが、オイルヒーターを使用していると体の芯から温まります。

オイルヒーターの近くにいる時はあまり気にならないのですが、部屋の外に出てみると体がポカポカしてエアコンの時よりも寒さを感じないのです。

セラミックファンヒーターと同じで広い部屋を暖めるのに向いていませんが、体の芯まで温まることを考えると断然オイルヒーターがおすすめです。

オイルヒーターは空気が汚れない

オイルヒーターの他に体を芯から温めてくれる暖房器具と言えばセラムヒートがありますが、これらの製品は石油などを燃焼させる暖房器具ではないので空気が汚れません。

石油やガスファンヒーターを使う時は空気をこまめに入れ替えるのが重要で、特に隙間風が入りにくいマンションはドアを少し開けるくらいでは心配です。

その点、オイルヒーターは空気が汚れませんし寝室で使用して気にならないくらい静かなので、赤ちゃんが産まれてから購入したりプレゼントする人が多くいます。

ヒートポンプで空気を暖めるエアコンは省エネで空気が汚れない優れた暖房器具ですが、外気を取り入れて部屋のなかに放出するので、花粉や排気ガスが家の中にまで入ります。

3月は暖かくなるとは言えまだ冷え込む日が多いので、花粉やPM2.5のアレルギー反応に悩む人にはセラムヒートやオイルヒーターがおすすめです。

オイルヒーターの気になる電気代

今回は、オイルヒーターのなかでも特に人気の高いデロンギというメーカーの、HJ0812という製品の消費電力を計測してみましたので紹介します。

まずはHJ0812のカタログスペックですが、最大消費電力は1,200wで8-10畳までの部屋の広さををカバーできる製品で、表面温度は約80℃までの暖かさとなります。

10畳の広さをカバーするエアコンの最大消費電力が850W前後なのを考えると、オイルヒーターの消費電力と大差ないように思えますが、エアコンはインバーターがあります。

エアコンは素早く部屋のなかを温めた後は消費電力を抑えて運転しているのに対し、オイルヒーターは常にフルで出力をしていることになります。

もちろん、オイルヒーターにも出力ワット数を抑えて運転するモードがありますが、部屋のなかが暖かくなるまでかなりの時間がかかるので、常に最大出力で使用してしまいます。

まずは、弱モードの500Wで運転した場合の消費電力をワットモニターで計測してみましたが、カタログに記載されている数値にかなり近い電力を使用していることになります。

地域や電力の契約にもよりますが、500Wモードで1時間使い続けた場合およそ13.00円の電気代になり、1日8時間使用しても104円程度となります。

1か月30日で計算した場合、オイルヒーターだけで3,120円程度の電気代となりますが、この程度であれば許容範囲ではないでしょうか。

続いては、ミドルモードの700Wで運転した場合ですが、ワットモニターで計測すると631Wという数値となり、若干低い消費電力となりました。

仮に700Wモードで1時間運転した場合の電気代は18.20円で、1日8時間使用すると145.6円、1か月で4,368円となります。

この程度の電気代であればまだ許容範囲ですが、問題は700Wのモードでも部屋を暖めるのに時間がかかるので、最大出力で使用することが多いということです。

次は、1,200Wの強モードで運転した場合の使用電力ですが、1,009Wとカタログスペックよりも200W近く低い消費電力で運転していました。

家のブレーカーが1,500Wまでしか使えなことを考えると、1,000Wで運転するのはありがたいのかもしれませんが、何か腑に落ちない点があります。

因みに、1,000Wで1時間運転を続けた場合の電気代は26円で、1日8時間だと208円、1か月だと6,240円となるので、常時使用するのは考え物かもしれません。

仮に1,200Wで常に運転できた場合の電気代は1時間あたり31.2円で、1か月利用した場合だと7,488円と1万円にかなり近くなる電気代となります。

赤ちゃんが産まれたばかりの年は常に室内の温度を25℃に保つ必要があるので、オイルヒーターを新生児のために購入するなら本体価格以上の出費を覚悟してください。

オイルヒーターを使う時の注意点

これはオイルヒーターだけの問題ではありませんが、1,000W以上の消費電力を使う暖房器具と同じコンセントに、電子レンジ、卓上IH調理器、大画面テレビなどの機器は接続しないでください。

電源タップをみるとわかりますが、、一般的にひとつの電源で使える電気は1,500Wが限界で、消費電力が高い家電を複数台接続するとブレーカーが落ちてしまいます。

戸建てや分譲マンションであれば各コンセントで20A単独の電源を使える場合もありますが、賃貸住宅だとひとつの電源を複数のコンセントで共有している可能性があります。

ブレーカーが落ちて部屋が暗くなり赤ちゃんが驚くことにならないように、消費電力の高い電化製品を購入する時は、今現在契約している電気の契約内容や、ブレーカーの数などを事前に確認しましょう。

特に注意しなければならないのは、産まれたばかりの赤ちゃんは暖房が暑くても自分で動くことができないので、絶対にオイルヒーターの近くに寝かせないようにしてください。

また、ハイハイしだすと漏れなくオイルヒーターに触るので、火傷したり製品を倒してケガをしてしまう可能性があるので、必ず大人がみていなければなりません。

空気が汚れないオイルヒーターはとても魅力的な製品ですが、室内の温度を常に安定した状態にコントロールしなければならないことを考えると、エアコンの方が良さそうです。

花粉症やPM2.5などの大気汚染に悩む人であればオイルヒーターはエアコンよりも適しているので、利用シーンをよく考えてから製品を選んでください。

オイルを使わないマルチダイナミックヒーター

今までオイルヒーターの説明をしてきましたが、デロンギにはオイルを使わないマルチダイナミックヒーターという製品もあります。

マルチダイナミックヒーターはオイルヒーターの弱点と言われる室内が暖まるまでの時間を大幅に短縮した製品で、レスポンスの遅いオイルヒーターとでは難しい室内の気温のコントロールがしやすくなりました。

マルチダイナミックヒーターもオイルヒーター同様、エアコンやセラミックヒーターの様な熱風が吹きだす物ではありませんし、空気を汚さないので花粉症に悩む人や赤ちゃんに優しい製品です。

消費する電力は基本的に高いので決してエコな製品ではありませんが、オイルヒーターと違い室内の温度に合わせて独立したモジュールをオンオフするので暖め過ぎになりません。

静音性や室内の温度をコントロールできることを考えると、赤ちゃんがいる環境で使うのならオイルヒーターよりも適した製品です。