旧世代サーバをデュアルプロセッサ化して仮想ホストを強化してみた

Hyper-VやVMwareなどの登場により、複数のシステムを1台のサーバ上で動かすことができるようになりましたが、数世代前のサーバCPUはコア数が少なく仮想マシンを同時に動かせる数は決して多くありませんでした。

Windows Server 2016は最低でも16コア分のライセンスから購入しなければなりませんが、コア数の少ないCPUは多くの仮想マシンを同時に動かすことができないので少し損した気分になります。

今でこそコア数の多いXeonも手の届きやすい価格になりましたが、2010年前半のCPUは6コアでも高価でしたので、予算が少ない企業では気軽にデュアルプロセッサ構成にするのは難しい状況でした。

全てのシステムに堅牢性は必要ない

サーバ機器も年数が経過するとRAIDコントローラーのバッテリーが劣化したり、堅牢性の高いSASディスクのHDDも故障率が上がるので大切なシステムを動かすハードを長く使い続けるのは危険です。

ただ、WSUSやSNMPマネージャーなど、数日停止したところで業務に影響を与えないシステムであれば、少し古いシステムを強化して使い続けてたとしても問題になることはありません。

WSUSやSNMPマネージャーを再構築する手間を考えると安定して動作することが一番であるのは間違いありませんが、人事や経理などの基幹系システムがダウンすることと比べると気持ちは随分と楽です。

Excelで現在稼働しているシステムの一覧を作成し、堅牢性やパフォーマンスを重要視するシステムをAランク、バックアップシステムなどをBランク、WSUSやSNMPなどをCランクに分類して管理しています。

Cランクに含まれるシステムは、ライセンスコストを削減するためにバックアップしていませんが、仮想マシンとして動かしているので1年に数回エクスポートして、いつでもシステムを戻せる状態にしています。

デュアルプロセッサ化の注意点

当時はコスト的に難しいサーバのデュアルプロセッサー化も、5年以上前に購入した製品であればAmazonで安くCPUを購入できるので、非常に低価格でサーバを強化することができます。

慣れない作業でCPU増設に失敗するとサーバが故障するのではないかという心配してしまいますが、自作PCを組める人であれば誰でもできる簡単な作業なので憶する必要はありません。

1st CPUのメモリスロットと同じ場所に挿入

2nd CPUを増設する上で一番気を付けなければならないのは、1st CPUと同じ様に2nd CPUのメモリスロットの同じ位置に同じメモリを増設することなので、半分のメモリを移設するか同じ量を増やしてください。

CPU2スロット側にメモリを搭載しなくてもF1キーを押せばシステムを起動させることはできますが、Warning:Unsupported memory configuration detected. CPU 2 installed with no memory.と表示されます。

純正ヒートシンク購入も忘れずに

こちらの画像左はDell EMCのサーバに搭載されているCPUのヒートシンクなのですが、追加購入したXeonのCPUに付属しているヒートシンクは右の物になるので、純正のヒートシンクは必ず購入してください。

古いサーバで使用していたCPUを再利用するのはリスクがありますが、ヒートシンク、メモリは再利用できる場合があるので廃棄せずに保管するか、中古品として出品するのも面白いかもしれません。

マザーボードにCPUを取り付ける

2nd CPUをマザーボードに取り付けるには、ソケットからプラスチックカバーを外してからCPUを装着し、グリスを塗り付けてヒートシンクを上から被せて固定するという簡単作業です。

自作PCを何度か組んだことのある人であれば誰でもできるレベルなので、経験のないサーバのハードウェアやXeonのCPUだからと必要以上にナーバスになる必要もありませんし。

シリコングリスの塗り方

CPUにシリコングリスを塗るのが苦手な人のためにシートタイプもありますが、放熱効果が若干弱いので今回購入したXeonのCPUに付属していた液状グリスを使うことにしました。

こちらは、CPUに付属していたシリコングリスと、99.9%と純度の高い消毒剤を含んだシートですが、グリスの容器が怪しくてあらぬ疑いをかけられて大騒ぎになるという出来事がありました。

PCを自作したことのあるユーザーであれば何も疑問も持ちませんが、シリコングリスと無縁な人が容器をみて勘違いをするのも仕方ないことなので、使用後は放置せずに速やかに処分してください。

自作PCを組む上で一番悩むのがシリコングリスの塗り方で、小豆大の量をCPU中心に乗せてヒートシンクで押し潰しながら広げるか、ヘラで満遍なく塗るか議論が分かれることろです。

念のために不要なサーバのヒートシンクを外してみたところ、中央に小豆大のグリスを塗るのでもなくヘラで満遍なく塗るのでもなく、予想外な形でシリコングリスが塗られていました。

新しいシリコングリスが広がるまでや塗が方に過不足があるとCPUの熱が高くなりシステムが不安定になることがあるので、可能であれば2日間電源を入れたまま様子をみてください。

2ndプロセッサ追加でサーバが快適に

旧世代のCPUを搭載したサーバだからかプロセッサの脆弱性に対応するパッチの影響なのか、コア6のXeonでもWindows Server 2016を搭載したマシンの動作が重く感じましたが快適になりました。

CPUのコア数が増えたことで同時稼働させる仮想OSを3から6に増やすことができましたので、他のサーバで動かしている仮想マシンを統合し、物理的なマシンの台数を減らすこができました。

今回デュアルプロセッサー化したサーバのコア数は12ですが、ホストが使用するリソースを考えると2コアを割り当てたマシンを動かせるのは6台以下となりますが、実際は6台以上を動かすことができます。

仮想マシンがコアを占有する訳ではないのでCPUコアを12割り当てたとしてもHyper-Vは動作しますが、メモリが不足するとゲストマシンは起動できないので、メモリを増やすか動的メモリを利用してください。

今回デュアルプロセッサ化したのはDell Power Edgeシリーズのサーバで、XeonのCPUとDell純正のヒートシンクはAmazonから輸入品を購入して利用しましたが、特に問題なく動作しています。