大切なデータを保存するPCやNASに搭載するHDDは故障率の低い製品を選びたいものですが、何を選べば良いのかわからず通販サイトのレビューや評価の高い製品を選んでいる人が多いのではないでしょうか。
レビューの内容が良く売れている人気の製品を選んだ方が安心という気持ちは分かりますが、NASに搭載するディスクは利用規模や目的に合わせて選ばないと、損してしまうことがあります。
NASに搭載するHDDと言えばWestern Digital Redが人気ですが、ホームサーバーやスモールオフィス向けで使うことを想定して作られているので、実は大容量の映像データを扱う現場やバックアップでは使いにくい仕様の製品です。
NASのHDDはワークロード率で選ぶ
HDDには1年間のワークロード率やMTBF(平均故障間隔)が設定されているので、利用規模や用途に合わせて最適なハードディスクを選ぶことが、データの保護や無駄なコストの発生を抑えることになります。
例えば、データアクセスの少ない一般家庭やスモールオフィスで多く使われるノーマルのWestern Digital Redのワークロード率は180TB/年で、MTBFは1,000,000時間となります。
中規模から大規模のNAS向けのWestern Digital Red Pro WD101KFBXのMTBFもノーマルRedと同じですが、ワークロード率が300TB/年とノーマルタイプの約1.66倍となります。
MTBF1,000,000時間は年に換算すると114年にもなるので、現実的に検証するのは不可能と考えると参考にすべき値はワークロード率で、1年間にデータアクセスする量でディスクを選ぶのがおすすめです。
1年間に300TBというワークロード率は到達不可能な数値と思うかもしれませんが、10TBのファイルサーバのフルバックアップを毎週実行すると520TB/年にもなるので、スペック的には不足してしまいます。
週に10TBのデータアクセスが発生するNASやPCにはワークロード率が180TB~300TBのRedよりも、MTBFが2,500,000時間でワークロード率が年間で最大550TBに設定されているゴールドがおすすめです。
NASに搭載するハードディスクを選ぶ時は、パフォーマンスに影響する回転数や対応するセクタサイズを意識するのも重要ですが、耐久性の指標となるワークロード率を越えない製品を選ぶことが何よりも重要です。
EXOSベンチマーク測定結果
左がSeagate EXOSの10TB HDDであるST10000NM0086、右が同じSeagateのノーマルIron Wolf ST10000VN0004をCrystal Disk Markで計測したものですが、意外なことに互角の勝負でした。
それに対し、Western Digital RED 10TB HDD WD100EFAXは、回転数が5,400rpmということもあり、Seq Q32T1とSeqの読み書きが200MB/sを下回る結果となりました。
Western Digital Proモデルは回転数が7,200rpmなので、より高速なデータアクセスを望むのであれば、PROモデルを選ぶのがおすすめですが、HDDを利用している以上は速度に限界があります。
ワークロード率年間550TBを誇るEXOS HDD
今回購入したSeagateのエンタープライズ向けSATA HDDであるEXOSは年間ワークロード率が550TBと、Western Digital Red Proや、Seagete IronWolf Proを遥かに凌ぐ耐久性を誇ります。
ワークロード率やMTBFなどの指標は、製品の品質を保証する物ではありませんが、目的に合わない仕様の製品を選ぶよりも、メーカーが想定する範囲内で使える製品を選ぶことが重要です。
EXOSはSeagete Ironwolf Health Managementに対応していませんが、現時点ではユーザーが大きなメリットを感じるものではないので、より耐久性の高い仕様のEXOSシリーズを選んだ方がメリットがあります。
Seagate EXOSはデータセンターでも使われる信頼性が高い仕様の製品にも関わらず、Western Digital Red PROやSeagate Iron Wolf Proと比べると価格が同等か安い場合があるので、PROモデルを買うならEXOSシリーズをおすすめします。
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