仕事の関係で家庭用コードレス電話を扱う機会があり、過去におすすめのメーカーを紹介したことがありますが、あるユーザーからパナソニックの製品は電波が弱いとお叱りを受けました。
一応、その記事は所有しているコードレス電話を3階建ての戸建てで電波強度を確認した上での書いた内容でしたが、製品や利用環境により電波の届きやすさに違いがでるのかもしれません。
そこで今回は、パナソニック、シャープ、パイオニアの人気コードレス電話機を、前回よりもシビアな環境であるオフィスで使用し、電波の届く範囲の違いについて詳しく調べてみました。
コードレス電話の電波干渉
コードレス電話で採用されている電波の周波数には2.4GHzと1.9GHzがありますが、今売られている新しいコードレス電話は2011年3月に策定された1.9GHzDECT準拠方式が主流です。
2.4GHzの周波数は、電子レンジや無線LANのWiFiと干渉してすることから1.9GHzDECT準拠方式が登場した訳ですが、CSデジタル放送を受信している環境では影響を受けることがあります。
お叱りを頂いた方の話では、パイオニア製のコードレス電話からパナソニックに替えてから電波が弱くなったとのことですが、もしかするとCSデジタル放送を受信している方かもしれません。
これは憶測でしかありませんが、以前はCSデジタル放送と干渉しない周波数である2.4GHz帯を利用していて、1.9GHzDECT準拠方式のコードレス電話に買い替えされたのかもしれません。
CSデジタル放送を受信されている方で1.9GHzDECT準拠方式のコードレス電話の電波に不満を感じている方は、シールド性の高い衛星放送対応の分波器や分配器、接続ケーブルを使用してください。
コードレス電話機を使用すると、CSデジタル放送の特定チャンネルの画面が乱れるという方は、CS・BSに対応したSで始まる接続ケーブルを使用したり、F型の接続ケーブルのコネクターをお試しください。
検証場所
前回同様、オフィスビルで検証した家庭用コードレス電話は、パイオニア、パナソニック、シャープの人気メーカーで、どの製品も1.9GHz DECT準拠方式ARIB STD-T101を採用しています。
検証に使用した製品は、パイオニア TF-FD31S、パナソニック VE-GDS02DL-T、シャープ JD-XF1CL-Nで、建物は鉄筋コンクリート造の地上階7建てとなります。
コードレス電話機の電波強度を検証したオフィスには、複合機や電子レンジなどの電磁波を発生する機器が設置されているのはもちろん、フロア全体でWiFiが利用できます。
電話機の設置場所は、スチール製の壁に閉ざされた3階にあるサーバールームで、1階~5階までの上下2フロアの広範囲にコードレス電話の電波が届くのか試してみました。
1フロアの広さは平均180坪と3階建ての戸建てよりかなり広く、電波の通りを遮断する壁や電磁波を発する機械などの障害物があるので、電波環境は戸建てと比べて桁違いに厳しい環境です。
検証方法
コードレス電話の電波が届く距離を測る方法はアナログ形式で、電話を設置した場所から歩きながらどこまで切れずに通話できるのか、フロアを移動しながら確認しました。
フロア移動する際には通話しながら階段やエレベーターを使用したり、最も遠い場所にある会議室の扉を閉めた状態にしたのですが、同じ1.9GHz DECT準拠方式でも製品毎に電波の強さに違いがありました。
検証結果
体感的に最も電波が強いと感じたのはパナソニックのVE-GDS02DL-T、次点はパイオニアのTF-FD31S、そして最後がシャープ JD-XF1CL-Nという結果となりました。
パナソニックとパイオニアのコードレス電話の電波強度は10メートル程度の差しかありませんでしたが、シャープのJD-XF1CL-Nは20メートルもの差があり、電波の強さの差を感じてしまいました。
電波強度で言えばパナソニックのコードレス電話が一番でしたが、パイオニアとシャープの製品は電波が届かない状態でも親機を探して再接続する機能があるのは便利だと思いました。
製品毎にセールスポイントが違うので、電波の強さだけでコードレス電話を選ぶのはナンセンスですが、電波の強さを求めるのであればパナソニックかパイオニアがおすすめです。
今回の検証ではパナソニックのコードレス電話機が一番電波が強いという結果になりましたが、環境次第で電波が届く範囲も変わるので心配な方は中継器が使える製品を購入してください。
パナソニック RU・RU・RU デジタルコードレス電話機 親機のみ 1.9GHz DECT準拠方式 モカ VE-GDS02DL-T