初めてSSDを購入した2009年当時は、OSがカクカク動作するプチフリ問題を起こしたり8MB病になるなど、趣味以外ではとても使えるレベルではありませんでしたが、気が付けば既にSSDを400個以上の購入しています。
古いパソコンでもディスクをSSDにするだけで高速化できるので、HDDからSSDに積極交換してきましたが、各メーカー毎に故障率の違いに大きな差があることに気が付き、コスパだけでなく安定性を重視した製品選びをしています。
SSDを400個以上購入したとは言え、世に出回る数と比べると微々たるものでデータ量としては不十分ですが、これからSSDを購入する方の参考になればと思い執筆させて頂きました。
購入したSSDの割合
今回の内容は、10年以上前から利用を始めて累計400個以上にもなるSSDの使用目的やブランドの割合、そして最も重要なポイントとなる故障率など、今までの経験を整理する形で紹介します。
SSDが発売された当初と今とでは容量や価格だけでなく品質も異なるので、古すぎるデータを公表する意味はないのかもしれませんが、過去の出来事を整理する意味で整理してみることにしました。
こちらは過去10年間に購入したSSDを年毎に分けて表にしたものですが、過去に発生した8MB病などのリスクを分散させるために、メーカーを分散させて購入する年もあれば、安定動作する製品を集中して購入する年もありました。
2009年 | Intel | 4個 | 2014年 | Intel | 10個 |
Crucial | 2個 | Crucial | 20個 | ||
2010年 | Intel | 20個 | 2015年 | Crucial | 40個 |
Samsung | 20個 | 2016年 | Crucial | 60個 | |
2011年 | Samsung | 52個 | 2017年 | SanDisk | 10個 |
2012年 | Samsung | 40個 | 2018年 | Crucial | 80個 |
2013年 | Intel | 20個 | Samsung | 30個 |
こちらは、年代や製品モデル関係なく購入したSSDの数をメーカー毎に分け、故障した数を加えて表にしたものですが、Crucialが若干突出しているもののSamsungとIntelの数もそれなりにあり、バランスよく購入できたのではないかと思います。
メーカー | 購入数 | 故障数 |
Intel | 84 | 8 |
Crucial | 202 | 3 |
Samsung | 112 | 1 |
SanDisk | 10 | 3 |
408 | 14 |
故障や不具合があることを承知した上で同じ製品を購入する訳にもいかないので、購入したSSDの割合に差があるのは予めご理解いただきたいのですが、逆に言えば割合の高い製品が安定して動作した製品と言えます。
SSDなどの電子機器は初期不良もありますし購入時期やモデルも違うので、故障内容関係なく同列に扱うのは如何なものかと思いますが、データが消失したという事実は同じなので、使用期間関係なくカウントしています。
NASとServerにもSSDを搭載
こちらは、今まで購入した累計400個を超えるSSDの容量を表で、容量が少ない頃のSSDは主にOS起動専用として利用していましたが、近年はOSだけでなくデータも保存できる容量になりました。
40G | 26個 | 256GB | 90個 |
80G | 72個 | 512GB | 130個 |
128GB | 70個 | 1,024GB | 10個 |
高速で寿命が長いSSDも実は万全ではなくデータ復旧が難しいという課題がありますが、過去に起きた8MB病や5184時間問題などを乗り越えて、安心して使えるまで成熟してきました。
PCに搭載した120GB以下のSSDは全て512GB以上に交換したので、今はSNMPマネージャーなどの専用システムでしか利用していませんが、10年前に購入した製品でも現役で使用しています。
SSDの信頼性が実践で証明されるまでは、主にPCのHDDをSSDに交換して利用していましたが、SSDを利用開始してから2016年頃からNASやサーバにも使用するようになりました。
NASに搭載しているのはPCにも使用している一般的なTLCのSSDで、サーバに使用しているのはインテルのデータセンター向けSSDですが、今のところどの製品も問題なく動作しています。
NASはデータ共有するFTPSとしてを稼働させているので、高速なディスクアクセスは必要ありませんが、HDDよりも長い寿命と高い信頼性を期待してTLCタイプの1TB SSDを搭載しています。
TLCやQLSのSSDは、SLCやMLCと比べて信頼性が低いと言われていますが、あくまでも論理的なだけでHDDをしようしていた頃と比べると圧倒的に故障率が低いので、300台を超えるシステムの管理コストを大幅に削減できました。
パソコンのディスクをHDDからSSDに変更することでパフォーマンスが劇的に向上するだけでなく、故障率も大幅に下がりましたので最近は新しいPCを購入することも少なくなりました。
SSDを搭載するNASは、基本的にTrimに対応しているSynologyの製品を使用していますが、バッファローなどは製品は企業向けでもSSDに対応していない製品が主流なので、SSDを搭載するサーバには向いていません。
各メーカーのSSDを使用してみた感想
SSDを初めて購入した当時は、どのメーカーの製品が優れているのか情報が少ないため、価格重視でCrucialと知名度でIntelの製品を購入しましたが、これが大きな間違いだとはその時は知る由もありませんでした。
当時は、80GBのSSDが3万円もしていたので低価格なCrucialを2個購入したのですが、全てのSSDがプチフリを起こしたり認識しなくなりましたので、しばらくCrucialをの製品を購入しませんでした。
Crucialの次に購入したのが、半導体の世界で知名度が高いIntelのSSDで、根拠のない安心感から20個程購入したのですが、8MB病によりデータが消失した被害を受けたのでSamsung製に乗り換えることにしました。
Intelと同じく半導体で有名なSamsung製のSSDはとても好調で、8年前から購入し続けた製品80個のうち1個が初期不良を起こしましたが、大きなトラブルを起こすことなく未だ現役で使用しています。
そのままSamsung製のSSDを使い続けるという選択もありましたが、それでは検証にはならないのでCrucialに再チャレンジしたまでは良かったのですが、SanDiskのSSDに手を出したの不運の始まりでした。
SanDiskのSSDは、Crucialでは使えない古いノートパソコンでも認識してくれる場合があるので重宝していたのですが、突如認識しなくなりデータが取り出せなくなる事件が3件もありました。
コンパクトフラッシュの実績を考えるとSSDの故障は偶然だと思いたいのですが、SamsungやCrucialの故障率と比べるとSanDiskの20個中3個が認識しなくなる問題は見逃せない事実なので今は購入を控えています。
今後の評判次第では再度購入することになるかと思いますが、今は低価格でありながら安定動作するCrucialのSSDを中心に購入しているので、SanDiskの検証はしばらく後になりそうです。
古いPCをSSDで復活
NEC全盛期の頃と比べればパソコンもかなり安くなりましたが、その分スマートフォンやタブレットなどの購入にお金を使いますので、パソコンのHDDをSSDに交換して長く使用しています。
パソコンの頭脳であるCPUの処理速度の向上やコア数が増えたとしても、足回りであるストレージが遅いHDDのままでは速度がでませんが、古いPCのディスクをSSDに交換するだけでかなり快適になります。
デルやHPの15.4インチタイプのノートPCなら、どのメーカーのSSDも使えましたが、かなり古い製品になると消費電力の問題で、一部のSSDが認識しない問題もあります。
今までの経験上、SSDはCrucialかSamsungがおすすめですが、低電圧タイプの古いノートパソコンをご利用の方は、自己責任となりますがSanDiskのSSDをお試しください。
普及が進むM.2 NVMe SSD
近年では、SATA接続のSSDよりも更に高速なデータアクセスが可能と言われるM.2 NVMe SSDが人気ですが、期待していたよりもアクセス速度が出ない場合や発熱が問題となるケースがあります。
また、M.2 TypeのSSDには超高速なNVMeの他にSATA規格に対応したタイプがありますが、SSDや接続するボードの規格の組み合わせ次第では、本来のパフォーマンスが出ないので注意してください。
最初からM.2 NVMe SSDを搭載した製品を購入するのであれば問題ありませんが、デスクトップPCの拡張スロットに搭載するなら、冷却対策が十分にできる方のみおすすめします。
SynologyやQNAPなどの高性能なNASには、M.2タイプのSSDを搭載しキャッシュや一時ストレージとして利用可能な製品もありますが、通信や接続クライアントの環境が整備されていなければ能力を発揮しません。
まだ成長途中にあるN.2 NVMe SSDのなかで個人的に高く評価しているのはIntel製品ですが、一般的に人気なのは2.5インチと同じく手頃な価格で購入できるCrucialです。
こちらは、デスクトップPCにM.2 SSD変換PCIeカードを取り付けて計測したベンチマーク結果ですが、SATA接続したSSDでは到達することがない高いスコアをマークしました。
体感速度の向上はともかく、PCとNAS双方向にM.2 NVMe SSDを搭載し10GbEネットワークで接続した環境なら、10Gbpsの帯域限界の速度でデータアクセスが可能となります。
ネットワーク環境が1Gbpsであれば無理してM.2 NVMe SSDをNASに搭載する必要はありませんが、1Gbpsを超えるネットワーク環境を構築しているならSSDは必須と言えます。
おすすめのSSD
発熱による速度低下やデータ復旧方法に課題が残るSSDですが、HDDと比べれば故障率が低くPCが高速に動作するのは間違いないので、積極的なSSDの導入をおすすめします。
データの重要性や予算の都合で選択すべきSSDは変わりますが、一般的なパソコンやNASのSATA規格に使うSSDであれば、優れたコストパフォーマンスで人気のCrucialがおすすめです。
WesternDigitalの様に色で製品の品質を区別する方法は、一見わかりやすく合理的に思えるかもしれませんが、ハードディスクで露骨な性能差を感じたのでSSDは購入していません。
CrucialのSSDは累計で200個以上購入していますが、初期の頃を除けば故障率がとても低くコストパフォーマンスも優れているので、Samsungとバランスよく混ぜて購入しています。
データ保護を重要視する企業向けのNASやワークステーションを使用した映像の編集をするなら、少し古い製品ではありますがインテルのデータセンター向けSSDがMLCタイプなのでおすすめです。
今のところMLCのSSDと比べるとTLCやQLCが本当に壊れやすいのか、判断する程のデータ数がないので何とも言えませんが、あまり論理的な壊れやすさに囚われすぎる必要がないくらいの耐久性がSSDにはあります。
HDDよりも高速で壊れにくいと言われているSSDですが、故障時のデータ復元はHDDよりも難しくなるので、いつでもデータを復元できるようにバックアップを確実に取得することが何よりも大切です。
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