オール電化住宅のマンションを購入した時は共働きをしていたこともあり、何も考えず夫婦でペアローンを組みましたが、住宅ローン控除(減税)の損得や家族の将来のことを考えると、大きな選択ミスをしたことを6年経過してから気が付きました。
そして10年間の住宅ローン控除(減税)を受けた後に、住み替えるための分譲マンションを新築で購入したのですが、今回は売却した物件の利益を頭金にして単独で住宅ローンを組むことにしました。
住宅ローンを借りる時は、借入審査の通過や完済するまでの金利変動を予想するのも大切ですが、これから変化する可能性のある家族構成を予測しながら、損しないための選択をすることが重要です。
住宅ローンはペアで組む時代!?
住宅ローンの借り入れをする時は、利用する金融機関の選定や固定・変動どちらの金利タイプにするのかを決めなければなりませんが、その他にも夫婦ペアローンにするか単独でお金を借りて返済するべきかを決めなければなりません。
若い世代の収入が増えない今の時代、一人で4,000万円を超える住宅ローンの審査をしても通りにくいのが現状で、不動産価格が上昇し続けた都内の新築物件は、夫婦でペアローンを組まなければ購入することができません。
我が家も10年生活したマンションを売却することで、頭金を1,000万円以上入れることができましたが、そうでなければ単身で住宅ローンの審査が通る年齢と収入ではないので、新築物件に住み替えることができて幸運でした。
ペアローンのメリットとデメリット
夢のマイホームとなる物件を探す時は、将来的な家族構成を考えて広さや間取りを考えて選びますが、いざ住宅ローンを借りるとなると今の世帯収入だけを判断材料にして決めてしまうことがあります。
賃金の増加が伸び悩む時代を考えると、今の状況を基準に判断するのは仕方がないことですが、35年の住宅ローンを夫婦二人で返済を続けるのは、かなりハードルが高いと言えます。
もちろん、どちらの一方が仕事を辞めたとしても毎月の住宅ローン返済ができれば問題ありませんが、10年以内に誰かが働かなくなると住宅ローン控除(減税)が受けられなくなるというデメリットがあります。
住宅ローン控除(減税)を限度額まで受けるためには、ペアローンを組んだ方がお得なのは間違いありませんが、出産や育児、思わぬ病気などで働けなくなる可能性があることも考えなければなりません。
単独で住宅ローンを組んだ人に万が一の事態が起きた場合、残債が全て免除される可能性があるのに対し、物件の持ち分半々でペアローンを組むと半分のローンが残るというデメリットがあります。
また、マイホームを買う時に離婚のことを考える人は少ないと思いますが、ペアで住宅ローンを組んだ場合、双方の同意がなければ物件の売却ができないばかりか、どちらかがローンの返済をしない場合があります。
残念ながら離婚協議の時に決めた養育費の支払いがなされないケースが大半という調査結果があるので、預貯金がなければ物件の持ち分を半々にするのも方法のひとつですが、その時は物件を売却する前提となる場合があります。
残債が少なければ銀行も持ち分の譲渡を承認してくれるかもしれませんが、一人で返済できるだけの収入がなければ難しくなるため、可能な限り頭金を入れて借り入れ額を減らさなければなりません。
単身住宅ローンのメリットとデメリット
個々の収入に応じて税金の控除額が変動する住宅ローンを単身で組んだ場合、所得税と住民税の控除額が限度額を越える高所得者でないと減税額が少ないので、セールストークには気を付けなければなりません。
価格.comの住宅ローン控除(減税)シミュレーションに借入額を4,000万円に設定し、年収を800万円に設定すると340.2万円の控除となりますが、年収500万円だとすまい給付金の20万円と合わせても227万円にしかなりません。
そう考えると、夫婦共働きで稼いで可能な限り税金の控除を受けた方がお得ですが、あくまでも短期的なメリットであり長期的に考えると単身で住宅ローンを組んだ方が良い場合もあります。
住宅ローンを完済するまで元気に働けるのが一番ですが、万が一の事態に遭遇し家族が残された場合、残債の半額とは言え収入がなければ大きな負担になるので、単身で住宅ローンを組んだ方が安心です。
ただ、この場合も離婚後の財産分与で揉めないように、物件の所有者とは別の方の名義で預貯金をするのがおすすめですが、預金を管理する人が浪費家だと手元に何も残らないので十分に注意してください。
人生と考え方が大きく変わる時
我が家もオール電化マンションの住宅を購入した当時は、夫婦共に正社員で働いていたので、6年間は住宅ローン控除(減税)を限度額まで受けられましたが、その後第一子を授かり妻が仕事を辞めたので半額の控除(減税)となりました。
結婚した後も夫婦共働きで住宅を購入してから10年以内に子供を産んだり仕事を辞めなければ、夫婦ペアローンの方が住宅ローン控除(減税)の面で言えば有利ですが、マイホームを購入する年齢になると人生が大きく変わります。
夢のマイホームを購入する時に、自分達がママやパパになるイメージがなくても、広いマイホームに何年も住んで、周囲に子供がいる家庭が増えると次第に自分達も子供が欲しくなります。
5,000万円を越える住宅ローンの支払いのことを考えると、育児休暇を取得した後に職場へ復帰しなければなりませんが、保育園の受け入れ先がなければ働くこともできません。
また、最初は育児休暇を消化した後に仕事をする予定でも、赤ちゃんの頃から過ごす我が子を施設に預けるのが嫌で、小学校に入学するまで一緒に過ごしたいと考える人も増えています。
良くも悪くも思い通りにいかない人生で、不確実で短期的に得られる目先の利益を大切にするのも悪いことではありませんが、10年先の未来だけでなく20年以上先を見据えて選択する必要があります。
住宅ローンは家族のための保険
もはや頭金の援助を親に頼むか夫婦ペアでローンを組まなければ購入できない都内のマイホームですが、万が一のことが起きた時に残された家族のことを考えると、保険として少し無理をしてでも手に入れる価値は十分にあると思います。
転勤したり災害が起きた時のことを考えると賃貸派の言い分も間違いではありませんが、同じ金額の賃貸住宅と比べる遥かにグレードの高い家に住むことができますし、売却すれば手元にお金が残る場合もあります。
もちろん、不動産価格が下落しない地域に限られることや、住いの状態次第ではリフォームをしなければならないので、最終的に赤字になる可能性もありますが、賃貸住宅暮らしでは万が一の時でも家賃が免除されることはありません。
超低金利に騙されて5千万円上の物件を背伸びして買うのはおすすめしませんが、頭金の援助があり少しずつでも繰り上げ返済をして、毎月の支払い額を減らせる方であれば、積極的にマイホームの購入をおすすめします。
住宅ローンは、短期的に得られる控除(減税)という目先の利益を追求して契約するよりも、完済するまでの保険として考えて組んだ方が結果的に得する場合もあるので、長期的な視点で考えてみてください。
金融のことに詳しいプロではないので内容の保証できませんが、実際に自分自身でペアローンや単独の住宅ローンを組み、控除(減税)で損した経験や家族が安心して暮らせることを考えたことをまとめた内容です。
住宅ローンを完済するまで夫婦で働いたり離婚しないのであればペアで組むのも選択肢のひとつですが、70歳を越えるまで住宅ローンの支払いが続く人は完済を意識するよりも、万が一の時に家族が困らない方法を考えるのがおすすめです。