低金利だからこそ必須!?繰り上げ返済で利息とリスクと不安を減らす

10年前に購入したマンションを売却し新築分譲マンションに買い替えたことで、住宅ローンの借入額が増えたものの超低金利時代の恩恵で、月々の返済額を減らすことに成功しました。

ただ、超低金利の住宅ローンに組み直すことで気を付けなければならないのが金利上昇に対するリスクで、借入金額が増えたことや返済期間が延びたこともあり、積極的に繰り上げ返済をすることにしました。

不動産価格が高い水準を維持していることを考えると、低い金利で住宅ローンを組めるのは喜ばしいことですが、頭金なしの無謀な返済計画に乗せられてお金を借りたり、125%ルールや5年ルールのリスクを考えずに契約してはいけません。

超低金利は本当にメリットなのか

住宅ローンの金利が低いということは銀行に支払う利息がそれだけ少なくなるので、契約者からするとメリットしかないと思うかもしれませんが、それは今後の金利が大幅に上昇しないという前提で考えているからです。

銀行は、住宅ローン契約時よりも金利が低下したとしても契約者が支払う予定の利息を減らしてくれませんが、金利が上昇した場合は元金返済額を減らしたり毎月の支払い額を平気で増やします。

もちろん、固定金利や元金均等という住宅ローンの支払い方法を利用者が決められるので、一方的に金融機関は悪者と言う訳には行きませんが、収入や不動産価格を考えると、変動金利の元利均等を選択する人の方が多いのではないでしょうか。

125%ルールと5年ルールのリスク

一番厄介なのが、急激に金利が上昇した時に住宅ローン契約者を守ると言われている125%ルールと5年ルールが、実は銀行を守るために考えられた仕組みであり、契約者は金利の推移に無頓着でいると痛い目に遭います。

125%ルールと5年ルールのリスクを簡単に説明すると、急激に変動金利が上昇すると住宅ローンを返済できなくなる人が増えるので、不良債権を増やさないために考えられた仕組みです。

125%ルールと5年ルールのおかげで毎月の返済額が変わらないので、住宅ローン契約者を守るための仕組みとも考えられますが、極端に言うと元本が減らず利息だけを支払うことになることもあります。

保険料の値上がりに注意

金融関係者は、超低金利が続いて利益が出ないと騒ぎますが、銀行は如何なる時も自分達が儲けることを最優先に考えているので、できるだけ利用者が損しない銀行を選択するのが重要です。

125%ルールや5年ルール以外にも気を付けなければならないのが保険料や保証料の支払いで、ある銀行の住宅ローン保険料は初期の頃は数百円ですが、徐々に値上がりし25年後には毎月4,000円近くかかります。

夫婦ペアで住宅ローンを組んだ日には、保険料だけでも月額8,000円支払うことになるので、金利の低さだけでなく保険料や繰り上げ返済手数料も比較して、少しでも損しないようにしてください。

不動産に抵当権を設定するだけでは損をしてしまう可能性が高いので、銀行は住宅ローン契約者から利息の他に保険料を徴収し、損しないのはもちろん少しでも儲けられるように工夫しているのです。

戻し保証料は雀の涙

35年で住宅ローンを借りた時に支払いをした保証料は約80万円なのに対し、10年後に期限前完済手続きをして戻された保証料は約20万円と、理不尽としか言いようのない仕組みがあります。

保証料を必要としない住信SBIネット銀行も戻し金がない手数料を払わなければならないので、少しでも保証料が戻るだけ良いのかもしれませんが、住信SBIネット銀行以上に金利が安く保証内容が手厚い銀行を探すのは大変です。

住宅ローンを借りる時に保証料を支払うのは仕方ないにしても、期限前完済手続きをした時は経過した年数に応じて戻し保証料を支払うのが筋ではないかと思いますが、転んでもただでは起きないのが銀行なのです。

低金利だからこそ繰り上げ返済を

低金利の時は繰り上げ返済をするよりも投資した方が良いと言う人もいますが、繰り上げ返済も投資と同じで支払う利息を減らしたり、毎月の支払いを減額させる効果があります。

一般的に金利が高い時は、大幅に利息を減らすことができる期間短縮型の繰り上げ返済をする方がお得ですが、金利が低い時に毎月の返済額を減らすことも意識した方が良いと個人的に思います。

今の金利が低水準でも将来上がる可能性があることを考えると、返済額軽減型で毎月の支払い額を減らした分を更に繰り上げ返済に回すことで、徐々に繰り上げ返済可能額を増やすこともできます。

返済額軽減型繰り上げ返済の魅力

4,100万円32年で借り入れた住宅ローンを1円も支払わない状態で10万円繰り上げ返済してみると、毎月の支払い額が約270円減額されるという結果となりました。

繰り上げ返済で減額された270円を32年で計算すると約10万円になるのですが、その分の返済額が毎月減ることよりも更に繰り上げ返済の額を増やせるのが、返済額軽減型繰り上げ返済の魅力です。

変動金利を選択しているので金利が上昇すると、繰り上げ返済した効果が薄れてしまうと思うかもしれませんが、何もしなければその分だけ元本の減りが遅くなるので、リスクに備える意味でも有効です。

ある程度毎月の住宅ローンの返済額を軽減できたら、次は期間短縮型に切り替えるてみるなどミックスして使うことで、利息や心の負担を減らすことができるので是非検討してみてください。

手持ち資金を残す

利息を減らしたり月々の返済額を減らしたい一心で、手持ちの資金を気にせずに繰り上げ返済を頑張りすぎると、いざという時に対処できなくなるので、余裕がない時は繰り上げ返済をすべきではありません。

繰り上げ返済と言えば、100万円単位でしなければ効果がないと思うかもしれませんが、100万円を貯めるのに時間をかけるくらいなら、毎月1万円でも構わないので返済を続けた方が効果的です。

繰り上げ返済した分は確実に元本を減らすることができますし、微々たる額でも利息が減れば気持ちも落ち着くので、繰り上げ返済手数料がかからなければ積極的に返済する価値はあります。

高いハードルの400万円控除

繰り上げ返済せずに控除される税金の額を守るのと、積極的に繰り上げ返済して利息や返済額を減らすのと、どちらがお得なのか長期的な目線で考えて動かなければなりません。

例えば、年収700万円で借入金額が4,000万円なら5年目まで34万円の税金が控除されますが、その後は徐々に減額され10年目には29.1万円になるので、不動産関係者が提案する返済計画を鵜呑みにしてはいけません。

単身で住宅ローンを組む人が400万円の控除(減税)をフルに受けるには、借入金額が5,490万円で年収が760万円以上でなければならないので、かなりハードルが高いと言えます。

損しない繰り上げ返済

住宅ローンの残債を減らしたいがために、控除(減税)を受けられる期間に繰り上げ返済をすると、確定申告や年末調整で戻るお金が減ることもあるので、計画的にしなければなりません。

ただ、消費税増税の度に拡大されてきた住宅ローン控除(減税)ですが、満額で恩恵を受けられるのは、10年後でも残債が4,000万円ある高級住宅を購入できる所得の高い人だけです。

毎月の住宅ローン返済で残債が減れば、それだけ控除(減税)も減ることを考えると、繰り上げ返済をしすぎるのも問題ですが、控除される税金の範囲を超えないのであれば問題ありません。

完済だけがゴールではない

30歳で35年の住宅ローンを組めば65歳で完済となりますが、晩婚化や100歳まで生きる可能性、マイホームの住み替えなどを考えると、必ずしも完済を目指す必要はないかと個人的には思います。

万が一の時は住宅ローンの保険で完済できる場合もあるので、返済額軽減型の繰り上げ返済をして毎月の支払い額を抑えられれば、無理して完済を目指す必要はないと思います。

物件価格を維持できる都内のマンションであれば、売却して手元に残るお金で低価格な物件に住み替えることができる可能性もあるので、住宅ローンを完済するだけがゴールではありません。

自己責任だからこそ計画的に

不動産会社やマンションデベロッパーが提案する返済計画に無理があると感じたとしても、契約した時点で自己の責任で住宅ローンを払わなければならないので、様々なリスクを想定する必要があります。

だからと慎重になりすぎると買えなくなるのがマイホーム購入の難しさで、自分や家族が暮らす家を購入する目的を明確したり、分譲物件に住むメリットを想像できないと、いつまでも決心することができません。

賃貸住宅生活を続けても何も残らないので、個人的には積極的にマイホームを購入した方が良いと思いますが、通勤時間や物件の魅力だけでなく子供の教育環境などを考慮した計画を自分で考えなければなりません。