ノートPCはもちろん、スマートフォンやタブレットなど無線LAN接続するデバイスが主流の今、有線LANケーブルを各部屋に配線しているマンションや戸建ては徐々に少なくなりつつあります。
今やゲーム機だけでなくテレビも無線で接続する時代となりましたが、ホームサーバであるNASは有線LAN接続が主流で、無線LAN接続するには純正オプションやUSB無線LANアダプターを利用しなければなりません。
ただ、企業向けのハイエンドタイプのNASでも、認識するUSB無線LANアダプターの数が限られているので、メーカーの互換情報を確認せずに購入すると無駄な出費となります。
無線速度が有線LANを越える
安定したアクセスとファイルアクセスのスピードを考えると、有線LANでNASを接続するのが鉄則ですが、屋内の配線事情やWiFiの高速化で10Gbpsに迫る速度が出ることを考えると、ホームサーバーを無線接続してみたくなるのが人情です。
10Gbps対応ネットワークアダプターやスイッチ価格の普及がなかなか進まない間に、無線LANの新しい規格が何度も登場し、今では論理値で最大9.6Gbpsにまで高速化されました。
HP ElitebookやDell XPSシリーズのノートPCはもちろん、最新のiPhoneやGalaxyなどのスマートフォンもWiFi 6に対応しているので、家庭なら有線ネットワークを10ギガにするよりも、最新の無線LAN規格のルーターを取り入れた方がメリットがありそうです。
無線と相性が悪いNAS
どんなデバイスでもNASが認識してくれるならホームサーバーの無線化も楽なのですが、Windowsと違い認識する無線LANアダプターの数が少ないので、それぞれのメーカーサイトで互換情報を確認することが大切です。
試しに、互換情報に含まれていないUSB無線LANアダプターを使い、人気メーカーのNAS10機種でデバイスを認識するか試してみましたが、QNAPの認識率は低いことがわかりました。
QNAP TS-251 | QNAP TS-253Pro | QNAP TS-873 | |
ELECOM WDC-433SU2M2 | ✕ | ✕ | ✕ |
NEC Aterm WL300NU-GS | ✕ | ✕ | ✕ |
IODATA WN-G150UM | △ | △ | △ |
Buffalo WLI-UC-G301N | ✕ | ✕ | ✕ |
Buffalo WLI-UC-GN | △ | 〇 | 〇 |
QNAP TS-251と互換があると公表されているBuffalo WLI-UC-GNですが、USB無線LADデバイスを認識するものの、動作が不安定で大容量のフィアルをコピーすると途中でエラーになります。
かなり古い機種を除けば正常に動作しますが、公式で互換確認が取れているデバイスでも動作が不安定な場合があることを考えると、動作確認済みでないUSB無線LANを購入するのは無駄になる可能性が高いと言えます。
QNAP TS-453Pro | QNAP TS-869Pro | QNAP TS-453A | |
ELECOM WDC-433SU2M2 | ✕ | ✕ | ✕ |
NEC Aterm WL300NU-GS | ✕ | ✕ | ✕ |
IODATA WN-G150UM | △ | △ | △ |
Buffalo WLI-UC-G301N | ✕ | ✕ | ✕ |
Buffalo WLI-UC-GN | 〇 | 〇 | 〇 |
表中の〇はNASがUSB無線LANデバイスを認識し正常に動作したマークで、△は認識したものの無線接続の失敗を繰り返したりファイルコピーが中断される、✕は全く認識しない状態を意味します。
検証した無線LANアダプターの殆どがメーカーが公表している互換情報に含まれていない物とは言え、ここまで認識しなことを考えるとQNAPのNASは純正品以外の無線LANアダプターを使うのは避けた方が良さそうです。
SynologyのNASも認識しない無線LANデバイスはありますが、QNAPよりも断然認識率が高いですし設定も初心者にも扱いやすい設定画面なので、ホームサーバーの無線化に適していると言えます。
Synology DS1819+ | Synology DS918+ | Synology DS1817 | |
ELECOM WDC-433SU2M2 | ✕ | ✕ | ✕ |
NEC Aterm WL300NU-GS | 〇 | 〇 | 〇 |
IODATA WN-G150UM | × | × | 〇 |
Buffalo WLI-UC-G301N | 〇 | 〇 | 〇 |
Buffalo WLI-UC-GN | 〇 | 〇 | 〇 |
本来、各メーカーが互換性を発表している無線LANアダプターを使用して検証するべきなのですが、それでは最新の無線LANデバイスを使いたい時に困るという趣旨で検証してみました。
ハイスペックなハードウェア性能が人気のQNAP NASは散々な結果でしたが、機能の品質が高いSynologyの製品は予想よりもデバイスの認識率が高く、かなり健闘した方ではないでしょうか。
おすすめのNAS
電波状況や無線LAN規格にもよりますが、パケットロスしたり期待していたよりもファイルアクセスの速度が出ない無線よりも、安定して動作する有線LANにNASを接続するのがやはりおすすめと言えます。
WiFi6対応USB無線LANデバイスが確実に動作するのであれば、NASを無線化する意味があるかもしれませんが、USB3.1Ge2ポートの搭載やデバイスの互換状況を考えると、無理して無線化する必要はなさそうです。
ただ、生活している住いに有線LAN配線がされていないなど、何らかの事情でNASを無線LAN接続したいなら、QNAPよりも認識率が上回るSynologyの製品をおすすめです。
今回の検証で使用したUSB無線LANアダプターやNASの数を考えると十分な内容とは言えませので、まずはメーカー公式サイトの互換情報を必ず確認してください。
ホームサーバーのNASと言えば2ドライブベイが主流ですが、内臓ドライブへのバックアップやRAID-6への対応を考えると、汎用性が高く豊富な機能が使えるこちらの製品がおすすめです。