ハードウェア性能世界最強クラスを誇るQNAPのNASは、企業用のファイル共有サーバはもちろん、ホームユーザ向けのマルチメディア機能を搭載しています。
QNAPのNASは、ホームユーザーが利用することを想定し初期セットアップを簡素化していますが、ネットワークやストレージ設定は企業向けで難易度が高いと感じる人もいます。
そこで今回は、ホームユーザにも人気なハイエンドNAS、QNAPの初期設定の他にストレージやネットワークの設定、初期化方法などの基本的な使い方について紹介します。
メモリの増設
高機能なQNAPのNASは標準で搭載されているメモリ容量でも安定して動作しますが、より多くの機能を快適に動作させるには最大限増設するのがおすすめです。
ホームユーザー向けのNASは、搭載可能なメモリの容量が少ない物や増設ができない物もあるので、QNAP公式サイトで仕様や互換情報を確認してください。
メモリの増設は決して難しくありませんが、本体カバーを外して基板に直接挿す必要があるので、静電気や水濡れによるショートには十分に気を付けてください。
メモリの増設が完了したら本体カバーを元に戻し、HDDもしくはSSDをドライブトレイに固定し、スロットへ差し込んでACアダプターを接続すればNASの準備完了となります。
Qfinder Proのインストール
QNAPに限らずNASはネットワーク接続して使用する物なので、まずは本体をブロードバンドルーターかネットワークスイッチ(HUB)に接続してください。
NASの初期設定を行うには、QNAPの公式サイトからダウンロード可能なQfinder ProをWindowsもしくはMacOSにインストールし、起動後リフレッシュをクリックします。
一般的な家庭向けのネットワークならNASが一覧に表示されるはずですが、異なるセグメントからでは検出できませんので、同一ネットワーク内でQfinder Proを実行してください。
同じネットワーク内にあるNASが検出できない場合は、ブロードバンドルーターやネットワークスイッチを中継せずに、直接LANケーブルと設定用のPCを接続してください。
QNAPの初期設定
Qfinder Proの一覧で初期設定を行うNASを選択し、右クリックのメニューから管理ウェブページへ接続すると、スマートインストールガイドが始まります。
こちらは、NASの名前と管理者パスワードを入力する画面で、最大14文字までの半角アルファベット、数字、ダッシュを使用して名前を付けることができます。
NASの名前はコントロールパネルの一般設定にあるシステム管理タブから、パスワードは画面右上にあるオプションからパスワードを変更することができます。
こちらは日付と時刻の設定を行う画面で、リストからタイムゾーンの地域を選択した後に、日付/時刻を3種類のタイプから選んで次のステップへ進んでください。
一般的な家庭内で使用するNASにセキュリティを強化する二要素認証は必要はありませんが、日時に大きなずれがあると二度とログインできなくなるので正しく設定してください。
二要素認証を利用する場合は、インターネットタイムサーバーに自動的に同期化を選択するのがおすすめですが、NTPサーバーとの通信が可能か定期的にテストしてください。
こちらはネットワーク設定の構成画面で、IPアドレスをDHCPから自動で取得するか手動で固定IPアドレスを設定したり、ゲートウェイアやDNSサーバのIPアドレスを入力します。
IPアドレスは他の機器と競合しないように、事前に空いているIPアドレスを調べた上で設定する必要があるのですが、ブロードバンドルーターで設定しているDHCPのスコープ範囲にも気を付けなければなりません。
次はクロスプラットフォームファイル転送サービスの設定になりますが、基本的にWindows(SMB/CIFS, File Station)を選択するだけで問題ありません。
Mac(AFP, SMB/CIFS, File Station)にチェックを入れても構いませんが、将来性がないApple Talkを利用するよりもSMBで接続するのがおすすめです。
今まで設定した情報を確認し、問題がなければ適用ボタンをクリックすることで初期設定の完了となりますが、IPアドレスだけ忘れないようにメモなどに控えてください。
仮にIPアドレスを忘れてセットアップ後にブラウザでアクセスできない場合は、初期セットアップに使用したQfinder Proを利用すれば検索可能です。
システムを初期化すると、全てのドライブデータが消去されるので、動画や写真などのファイルが保存されたディスクを使用する場合、事前に他のストレージへバックアップしてください。
初期セットアップでは、RAID構成やネットワークチーミングなどの冗長構成や、SSDキャッシュやQtierなどのストレージ設定は行いませんので、必要に応じて後から変更します。
デバイスドライバのインストールに時間がかかるWindows Serverと違い、QNAP NASのウィザードを進めるだけで簡単に設定が終わるので、はじめての方でも安心してセットアップできます。
初期設定が完了した後はNASが自動的に再起動しネットワークが切断されますので、新しく設定したIPアドレスをブラウザに入力して管理画面へアクセスしてください。
初期化方法
QNAPのNASを何らかの理由で初期化しなければならない時は、管理画面から工場出荷時設定へ復元したり、本体のリセットボタン押してシステム設定を初期値へ戻すことができます。
QNAPのコントロールパネルからシステムを初期化する方法は、共有フォルダの消去やディスクのフォーマットなどのデータ消去が伴うので注意が必要です。
システム管理者のパスワードがわからない場合は、NASの電源投入後本体背面にあるリセットボタンを3秒押すことで、システム設定だけを初期化することができます。
ネットワーク構成やセキュリティレベルなどが初期化されてしまいますが、データが消えることはないので、特別な理由がない限りはリセットボタンによる初期化をおすすめします。
ただし、本体の電源投入後リセットボタンを10秒以上押し続けると高度なシステムリセットとなり、作成したユーザー、グループ、共有フォルダが削除されるので注意してください。
初期設定の完了後、RAIDレベルの設定やネットワークのポートトランキングなど、システムの可用性を高める設定を行う必要があるので、こちらの関連記事を参考に設定してください。
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