スマホ対応が便利!?2020年版ホームサーバ(NAS)の失敗しない選び方

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NAS 最強NAS Synology

ホームサーバーのNASと言えば、テレビ番組の録画先に使用したり写真や動画を保管するための物ですが、高機能な製品は外出先からリモートアクセスしたり、仮想環境でWindowsを動かすこともできます。

スマートフォンへアプリをインストールすることで、NASに保存した動画や音楽を気軽に再生できる製品もあるので、保管庫として利用していた時代の時よりも利用価値が高くなりました。

そこで今回は、一般家庭向けから企業向けのNASを使い倒した経験を活かし、2020年に買うべきホームサーバーの選び方とおすすめ製品について紹介します。

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おすすめのNAS Synology DS918+

高性能化が進むNAS

テレビ番組の録画をするだけなら低い性能で最低限の機能を搭載した製品で十分ですが、SSDによるストレスを感じさせないアクセス速度や、写真と動画のデータ保護性能を重要視するなら、高性能で機能が充実した製品がおすすめです。

高機能なNASの管理画面へアクセスすると、慣れない用語や操作画面に戸惑うかもしれませんが、ホームサーバとして使用する場合の設定は難しくないので、初めての方でも安心して使用することができます。

ただし、高性能で高機能なNASは海外メーカーが主流なので、サポートに高い品質を求めないことを前提に製品を購入できる方でないのであれば、無難な国内メーカーの製品をおすすめします。

ただし、国内メーカーの多くは面白みがない製品ばかりで、データアクセスを劇的に高速化させるSSDに対応しない、スマートフォンアプリが充実していないなど、単なるデータ保存場所にしかなりません。

しかも、一般家庭向けのNASには信頼性やパフォーマンスが低いHDDが予め搭載されているので、友達や大切な家族の写真や動画データを保存するにはリスクがあり、テレビ番組の録画用として利用するのに向いている製品と言えます。

ディスク非搭載がおすすめ

低価格で購入することができる一般的な家庭向けのNASは、超低速で耐久性が低いハードディスクを搭載していることが多いので、大切なデータの長期保存には向いていません。

もちろん、RAIDでディスクをリアルタイム複製したりバックアップを活用すれば、データ保護を強化することはできますが、故障しやすいディスクを利用していると、肝心な時に機能しない場合があります。

例えば、2本のHDDをRAID構成にした場合、仮に1本のディスクが故障したとしてもデータが消えることはありませんが、リビルドが完了する前に破損して復旧できなくなる場合があります。

突然データが消えても問題がないテレビ番組の録画なら、信頼性が低いディスクを搭載した低価格モデルで十分ですが、家族や友達との大切な思い出を保存する場合には問題です。

大容量だけが取り柄の安価なディスクが故障し、データ復旧に20万円以上支払う可能性を考えると、大切なデータを保存するNASは、自分でディスクを搭載するメーカーの製品を選んでください。

理想は4ドライブベイ以上

ホームサーバ向けのNASと言えば、1ドライブベイもしくは2ドライブベイが一般的ですが、RAID-6構成や内蔵ドライブへのバックアップができる4ドライブベイ以上ある製品が理想です。

2ドライブベイならRAID-1のディスク冗長化設定をすることができますが、バックアップデータを取得するには外付けドライブを接続する必要があり、電源やUSBケーブルを整理しなければなりません。

4ドライブベイあればRAID-1でディスクを冗長化し、残りの内臓ドライブにバックアップとホットスペアを設定することができるので、NAS本体だけで大切なデータをより安全に保存できるようになります。

ただし、4ドライブベイ以上のNASで低価格帯モデルは性能や機能面に不満を感じるので、ミドルエンド以上のモデルがおすすめですが、個人で購入するにはあまりにも大きな費用の負担となります。

常に最高パフォーマンスと安全性を求めるユーザーであれば、ハイエンドな4ドライブベイ以上の製品をおすすめしますが、一般的には導入コストを抑えることができる2ドライブベイモデルを購入するユーザーが多数派となります。

スマホアプリは要チェック

NASにデータを保存するだけなら国内メーカーの製品でも構いませんが、スマートフォンで保存した動画を再生したり音楽を聴くなら、QNAPもしくはSynologyがおすすめです。

どちらのメーカーもスマートフォンアプリでコンテンツを楽しむことができますが、ビデオカメラで撮影したAVCHD形式に対応している点や品質の高さを比較すると、個人的にはSynologyをおすすめします。

国内メーカーのNASは、スマホアプリでホームサーバーにファイルをアップロードすることはできますが、専用アプリが提供されていないので使い勝手が良いとは言えません。

性能と拡張性が優れたQNAP

高い性能と拡張性が優れたハイエンドなNASと言えばQNAPが有名ですが、エントリ―クラスのモデルは機能を十分に活かすことができないので、購入するならミドルエンド以上の製品がおすすめです。

QNAPのNASは企業で使われる製品だけに、スナップショット機能やQtierなどのストレージ技術が充実しているので、情報システムに詳しい人が好んで購入する傾向があります。

iSCSIイニシエータを再起動すると再接続されない、RADIUS認証サーバが使い物にならないなど、かなり雑に感じる部分を感じますが、ファイル共有サーバとしての能力は優れています。

QNAP NAS管理画面

スマートフォンアプリの完成度も決して高くないので、一般的なユーザーがコンテンツを楽しむためのホームサーバというよりも、ハイエンド志向の人が試行錯誤しながら楽しむためのNASです。

メリットデメリット
壊れにくい
ディスクを自分で搭載する
SSD搭載可能
複数のMac OSをTime Machineで管理可能
スナップショット利用可能
SSDとHDDを組み合わせるQtier利用可能
拡張スロット搭載モデルは10Gbps通信対応可
AVCHD動画のMP4変換未対応
スマートフォンアプリがやや不便
操作画面が煩雑
PHP、Apacheのバージョンを選べない
SSL証明書のインストールが面倒
拡張ボード搭載時一部USBポート使用不可
ファイアウォールがない

因みに、QNAPのNASにWordPressをインストールすることは可能ですが、PHPやApacheのバージョンはファームウェア次第となるので、Webサイトの公開に使用するのはおすすめできません。

QNAPのNASは、10Gbpsネットワークに対応可能なミドルエンド以上の製品を購入できる予算がある人で、ストレージの高速化や安全性向上のための最新技術を求める人におすすめです。

自宅のホームサーバを含めてトータルで20台以上のQNAP NASを導入してきましたが、シンプルな構造だからか今まで一台も本体が壊れたことがない丈夫なシステムです。

ただし、スマートフォンアプリや細かい機能が粗削りで癖が強い部分があり、サポートも親切丁寧とは言えないので、ファイル共有以外の用途で利用するなら忍耐力が必要になります。

高い品質のSynology

ホームユーザーにもわかりやすい操作性と充実したスマートフォンアプリ、そして企業の大切なデータを守るストレージとしても使える安定動作が人気のNASと言えばSynologyです。

Synologyは頻繁にモデルチェンジをしないので、QNAPよりもハードウェア性能や拡張性で少し劣る部分がありますが、一般的な家庭向け製品よりも高性能で機能もかなり充実しています。

Synology NASコントロールパネル

SynologyのNASは、操作性の良さや安定稼働だけでなく機能の品質も高く評価されていることもあり、最近は販売代理店の取り扱いが増えていて多くの企業が導入しています。

操作が簡単なSynologyのNASは、当然ながらホームサーバとしても利用できますが、製品クラスや機種により利用できる機能が制限されているので、製品選びがかなり重要となります。

例えば、ホームサーバで売れ筋のDS218jはメモリや拡張ボードが追加できないのは仕方がありませんが、ビジネスユーザー向けの機能が一部制限されていて利用することができません。

もちろん、ホームサーバとして利用するなら複数台のPCをバックアップする機能は必要ありませんが、スナップショットレプリケーションを使えないのが少し残念です。

それでもHyper Backupを利用できるので致命的な問題ではありませんが、管理画面へアクセスせずに復元できるスナップショット機能はとにかく便利なので、可能であれば上位モデルをお選びください。

テレビで録画した番組の管理機能を重要視するなら、DiXiM Media Serverが唯一使えるDS218jがおすすめですが、そうでなければDS718+以上のモデルがおすすめです。

メリットデメリット
安定動作
ディスク非搭載
高スペックモデルあり
高性能ファイアウォールあり
わかりやすい操作
使いやすいスマートフォンアプリ
Apache、PHPバージョン選択可
Webサイト構築が簡単
ハードウェア更新サイクルが遅い
機種ごとに細かく機能制限されている
日本語サポートが不安

SynologyのNASを何台か購入しサーババックアップ用ストレージとして毎日酷使していますが、一度もフリーズしたことがありませんし故障したこともありません。

Synologyも国外メーカーなので日本企業並みの手厚いサポートは期待してはいけませんが、ヘルプが充実していますし噂では他社よりも評判が良いとのことです。

安心サポートのBuffalo

国内メーカーのNASは最初からハードディスクが搭載されているので、パソコンに詳しくない人がサポートを受けながら、テレビ番組の録画や簡易的な共有サーバを構築するのに向いています。

ただ、国内メーカーのNASはメモリや拡張ボードを追加したり、データアクセスが高速なSSDを搭載することができませんし機能も少ないので、ハイエンド思考の人には退屈と感じてしまいます。

Buffaloの法人向けNASにSSDを搭載してディスクが認識するか試してみたことがありますが、TRIMコマンドに対応していないのでストレージの高速化を断念したことがあります。

テラステーションSSD検証

今回はホームサーバーに最適なNASを紹介するのが目的なので、テレビ番組の録画がしやすい国内メーカーの製品でも良いのですが、スマートフォンアプリに不満があります。

メリットデメリット
安心の国内メーカー
ディスク搭載で導入が楽
スマートフォンアプリが不十分
予めディスクが搭載されている
SSD Trim非対応

国内メーカーの製品は、テレビ番組の録画や写真と動画の保存に使用するだけならおすすめですが、スマートフォンやタブレットでコンテンツを楽しむなら国外メーカーのSynologyが断然おすすめです。

とにかくテレビとホームサーバをできるだけ簡単に接続したい人におすすめなのがBuffaloのNASで、高度なデータ保護機能や高速なストレージアクセスを求めるならQNAPかSynologyをおすすめします。

各メーカーの特徴まとめ

優れたハードウェア性能と高い拡張性、超高速なデータアクセスが可能なQtier技術など、個人ではあまり必要としない機能や性能を手に入れたいハイエンド志向な人におすすめなのがQNAPのNASです。

iSCSIイニシエーターを再起動させると接続が切れたままなど、かなり雑に作られている部分もありますが、データ保護機能やパフォーマンスはかなり優れています。

新製品更新スピードが緩やかで、QNAP程ハイスペックではありませんが、安定した動作と使いやすいスマートフォンアプリが人気のSynologyは人気急上昇中で、2020年に買うべきNASの大本命と言える存在です。

ただし、テレビ番組の録画がメインであればSynologyのNASである必要もないので、国内メーカーサポートが受けられれて導入が簡単なBuffaloで十分ですが、搭載されているディスクの性能は高くありません。

スマートフォンアプリの品質や分かりやすい操作性、企業でも使えるだけの安定動作と機能など、ハードウェア性能は決して高くありませんが、総合的に評価するとSynologyのNASが一番のおすすめです。

個人的におすすめなのは4ドライブベイでハイエンドなSynology DiskStation DS918+ですが、2ドライブベイタイプの省スペースで少しでもコストを抑えたいのなら、仮想環境の利用制限やドライブベイの拡張に制限があるもののバランスが良いDS218+の最新機種DS220+がおすすめです。