高機能・高性能・高品質で人気のSynology NASは写真や動画を保存するだけでなく、充実したスマートフォンアプリでコンテンツを楽しんだり、仮想環境を構築して複数のOSを動かしたりすることができますが、製品ランクによりハードウェア性能や利用できる機能に大きな違いがあるので、コスト重視で選ぶと後悔する可能性があります。
ただ、家庭向けでもハイエンドユーザーを対象とした製品になると本体だけでも5万円を超えてしまうので、写真や動画ファイルの保存以外の機能が本当に必要なのか、よく考えた上で選ばないと無駄な投資になる可能性もあるので注意してください。
大は小を兼ねるという言葉があるので本来ならハイエンドクラスの製品をおすすめしますが、NASを導入する目的が保存したデータをスマートフォンやパソコンから活用するのがメインであれば、エントリークラスでありながら最低限のデータ保護機能を備えたSynology DS220jでも十分役に立ちます。
機能制限を正しく理解
SynologyのNASは、ストレージのスナップショットによるデータ保護、無料で使えるクライアントバックアップの集中管理、Virtual MachineによるWindowsサーバの仮想化など、高い品質の機能が低価格で利用できるシステムとして多くの企業で採用されています。
ただ、今回紹介するDS220jは超エントリーユーザー向けの製品なので、ストレージのスナップショット機能など削除だけでなく上書き保存したデータの復元が可能な機能が使えませんし、NASの超高速化には必要不可欠なSSD Trimの機能をサポートしていないなどの制限があります。
もちろん、写真、動画、音楽、ドキュメントファイルを保存して、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットからも利用することもできるので、主に家族や友人との思いでを安全に保存するストレージとして利用する分には十分使えます。
HDDよりも長寿命で高速アクセスが可能な大容量のSSDを搭載してみたり、10Gbpsの高速なネットワークで動画ファイルのコピー時間を少しでも短縮したいと考えているユーザーには向きませんが、ホームサーバーにあまり費用をかけない代わりに多くを求めない人におすすめです。
DS220jは、ハイエンドな製品と比べるとハードウェア性能も高くありませんし多くの機能が制限されていますが、NASを導入する目的に対して必要な機能が不足していなければ問題なく使えるので、制限や仕様を正しく理解することが重要です。
仕事柄普段はハイスペックで拡張性が高く機能が豊富なNASを使用しているので、ホームサーバーのなかでもエントリーユーザー向けに位置するDS220jを購入するべきか躊躇しましたが、実際に使用してみると予想よりも動作が快適で不自由なく使うことができました。
気になる制限のまとめ
企業で使用されることが多いプラスシリーズと、エントリークラスのJシリーズのDS220jを比較するのはとてもナンセンスなことですが、ハイエンドユーザー向けの製品でなければ本当に満足できないのか、制限されている機能を整理してみたところ以下の点が気になりました。
- ビデオトランスコーディング機能
- メモリ増設
- SSD Trim
- Btrfsとスナップショット
- 10Gbpsネットワーク
- ホットスワップ
まずはビデオトランスコーディング機能ですが、Synology NASの上位モデルや一部のモデルには、4K映像やスマトフォンやメディアプレイヤーがサポートしていないファイルを再生可能にする変換機能があります。
ただし、今回購入したDS220jや一部のモデルはビデオトランスコーディング機能がなく、AVCHDなどビデオカメラで撮影した映像をスマートフォンやブラウザで再生できない可能性があります。
ただ、MX Playerなどをインストールすることで、スマートフォンアプリが対応していない映像ファイルを再生することができるようになりますので、ファイルサイズが大きくなりやすい4K映像を扱わなければ、あまり悲観的になる必要はなさそうです。
ただ、スマホアプリの不具合なのか映像を再生する際に自動で変換する機能が動作しない、一部のファイルフォーマットではNASで変換した映像の音が遅れることがありますが、ビデオトランスコーディング機能が利用できた方が便利なのは間違いありません。
その他に、メモリが増やせないことやSSD Trimが利用できないことなどが気になるなら、ハイエンドクラスのNASを選ぶべきですし、頻繁にディスクの交換をする訳ではないので、ホットスワップに対応していないことは致命的ではありません。
因みに、Synology公式サイトではSSD Trim非サポートとされているDS220jですが、Crucial 2TB 2.5インチSSDを搭載してみたところ問題なく認識しましたし、Trimを有効にしてスケジュールの設定をすることができました。
ただ、SSD Trimが正常に動作しているのかまでは確認することができませんでので、高価な大容量のSSDを無理矢理エントリークラスのNASに搭載よりも、正式にTrimをサポートしているミドルエンド以上の製品を購入するのがおすすめです。
Btrfsのファイルシステムに非対応なので、データ復元に便利なスナップショット機能が使えませんが、写真や動画の保存が中心であれば大きな問題になりませんし、スナップショットはバックアップにはならないので、家庭では必須の機能ではありません。
DS220jはSSDの搭載や10Gbpsネットワークが利用できませんし4K動画の変換にも対応していないので、次世代ホームサーバーと言える代物ではありませんが、最低限のデータ保護機能はあるので目的や利用する規模を見誤らなければ問題なく使うことができます。
動画編集のために大容量のファイルへアクセスする頻度が高いのなら役不足ですが、スマホで撮影した写真や動画の保存や再生が中心なら動作が意外と快適で、エントリ―クラスのホームサーバのなかでは断トツのおすすめです。
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