SynologyのNASはVideo StationやMomentsなど、ホームサーバをより便利に活用するアプリが充実していますが、NASに搭載されているCPU性能の差でインデックス処理に時間がかかる場合があるので、アプリケーションの仕様を理解した上で適切に運用する必要があります。
試しに、64bitクアッドコアCPUを搭載したエントリークラスのホームサーバDS220jに、写真を管理するMomentsやPhoto Stationをインストールし、動画ファイルをアップロードしてインデックス処理をさせてみると、長時間CPUに大きな負荷がかかることが判明しました。
普段は企業向けのハイエンドなNASを使用しているので、動画ファイルのインデックスにかかる負荷を気にしたことがありませんが、DS220jは処理が完了するまでCPU使用率が常に99%まで上昇するので、写真と動画を別々のアプリで管理した方がリソースを節約することができます。
NASが遅くなる原因
ホームサーバに保存した写真や動画ファイルにパソコンからアクセスするだけなら、Video StationやMomentsなどのアプリケーションをインストールせずに、分類したファイルを共有フォルダに保存して管理した方が最も簡単に運用できますが、それでは高機能なSynologyのNASを購入する意味が薄れてしまいます。
ただ、エントリーユーザ向けの製品はメモリの容量が少なくCPU性能も高くないので、企業向けのハイスペックなNASと同じ感覚で使用していると常時システムに高い負荷がかかるので、インストールするアプリケーションの選別や使い方に注意しなければなりません。
SynologyのNASに無料でインストールできるMomentsやPhoto Stationは、アップロードした写真や動画をパソコンやスマートフォンからアクセス可能にする優れたアプリケーションですが、インデックス処理でCPUリソースを大量に消費するので、動画ファイルの保存に適しているとは言えません。
写真や動画ファイルをひとつのアプリケーションで管理できた方が便利なのは間違いありませんが、比較的短い動画ファイルを試しに200本MomentsとPhoto Stationにアップロードしてみたところ、インデックス処理に一週間かかり実用的ではないと思いました。
Video Stationに動画ファイルをアップロードすると、自動サムネイルの生成でCPUリソースを消費しますが、インデックス処理を行うMomentsやPhoto Stationと比べると微々たるもので、短時間で処理が終わるので映像ファイルの管理に最も適しています。
因みに、写真の管理と共有が可能なMomentsでファイルをアップロードすると、日付形式のファイル名やタイムスタンプを参照して勝手にフォルダ分けしてくれるので、デジカメやスマートフォンで撮影した画像を整理する必要がないのが便利です。
NASで写真管理
写真や動画ファイルの管理ができるという意味ではどちらも同じですが、Photo Stationはフォルダ単位で管理するのに対しMomentsは画像認識による全自動管理が特徴で、人物を認識して分類したり位置情報を参照して場所別に写真を分類してくれるなど、より便利に写真を利用することができます。
MomentsはPhoto Stationと同様フォルダ一覧形式で表示することができますが、日付別に自動でフォルダ分けされていることからスクロールするのが面倒なのでタイムライン表示にした方が便利ですが、類似画像が多いと画像の一覧が多くなるので不要な画像ファイルの削除が必要になります。
そんな時に活躍するのが、類似画像をAIが自動判定して収集するMomentsの機能で、スマートフォンや一眼レフカメラなどで連射撮りした写真のなかから不要な画像を複数選択して削除することができるので、ストレージの容量やスクロールの無駄を減らすことができます。
Photo StationとMomentsのどちらを選択すれば良いのか迷うかと思いますが、今後のOSバージョンアップでは二つのアプリケーションを統合したSynology Photosが登場する予定なので、今の時点ではどちらを選んでも問題ありませんが、個人的におすすめなのはMomentsです。
Momentは共通のアルバムを作成して一部のユーザーに公開できるのはもちろん、ユーザー毎にアルバムを作成して自分だけのフォトライブラリーを楽しむことができますが、管理者権限があるユーザーなら閲覧することが可能なので、公序良俗に反する写真や動画の保存はしないでください。
NASで動画管理
SynologyのNASで動画ファイルを管理するには、Video Stationをインストールする必要がありますが、機種の違いでエンコード機能が使えるものとそうでない物があるので、NASをお求めする際には十分注意してください。
ただ、それはスマートフォンやWebブラウザで動画を視聴する必要がある場合の話であり、パソコンから直に共有フォルダへアクセスしてファイルを開く分には、Video Stationすらインストールする必要がなく、トランスコード機能の有無も関係なくなります。
NASにVideo Stationをインストールすると、スマートフォンやブラウザで動画の再生をしたり、動画のサムネイルを一覧化して素早く表示させることができますし、ハイエンド向けの機種は4K動画の解像度やプレイヤー非対応のファイル形式を変換して再生することができます。
DS220jなどのエントリーユーザ向けの機種は、ビデオカメラで撮影した動画をスマートフォンなどで再生可能にするトランスコード機能はありませんが、MX Playerなどのアプリをインストールすることで再生可能になります。
その場合、オリジナル解像度のデータを読み込むことになるので、4K解像度の動画など大容量になりやすいファイルの再生に時間がかかるので、フルHD以上のフィアルを保存するならハイエンドユーザ向けの製品をお求めください。
バックアップは必須
写真や動画のファイルを大量にNASへ保存した後は、必ずUSB接続の外付けHDDや内蔵ドライブにバックアップして欲しいのですが、Momentsなどhomeフォルダを利用するアプリの場合、Hyper Backupがデータにアクセスできない場合があります。
そんな時は、システムOSとHyper Backupのバージョンを最新版に更新すれば、homesフォルダにアクセスできるようになるので、昔のようにUSBコピーを使用して外付けHDDにバックアップをする必要がなくなります。
パッケージセンターからインストールするUSBコピーもhomesフォルダのバックアップが可能ですが、他の共有フォルダをバックアップすることができないので、特別な理由がなければHyper Backupを使用するのがおすすめです。
因みに、ユーザーホームサービスを有効にするとhomeとhomesの共有フォルダが作成されるのですが、一般ユーザからは自分専用部屋であるhomeだけが表示されるのに対し、管理者は自分専用の部屋だけでなく建物全体であるhomesにアクセス可能です。
トラブルシューティング
Video Stationのフォルダにスマートフォンやデジタルカメラで撮影動画をアップロードする時は、NASがインターネットに接続できる状態でホームビデオとして登録しないと、サムネイルが正しく生成されない場合があります。
NASにアプリケーションをインストールする時にダウンロードできたとしても、DNSの参照先に間違えがあると動画ファイルのサムネイルが生成されませんので、ネットワーク設定のデフォルトゲートウェイやDNSをルーターと同じアドレスにしてください。
NASのDNSが正しく設定されているか試す方法はいくつかありますが、一番簡単なのはNASにインストールしたアンチウイルスの定義ファイルを更新し、接続エラーが表示されなければ大丈夫です。
もしNASのCPU使用率が長時間高いレベルで動作するなら、MomentsやPhoto Stationが動画のインデックス処理をしている可能性があるので、ファイルをVideo Stationが管理するフォルダに移動するか削除してください。
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