サーバのバックアップは正しくリストアできるまで確認することが何よりも大切ですが、Synology Active Backup for Businessを紹介しているサイトは、どこも操作手順の紹介ばかりで実践的な情報ではありません。
そこで今回は、Synology Active Backup for Businessを使用して、PCクライアントだけでなく本番使用の物理サーバ、ファイルサーバのバックアップを復元してみることにしました。
Active Backup for Businessは、バックアップデータを取得したシステムとディスク構成が同一であれば、全く別のパソコンやサーバへユーザデータだけでなくシステムの復元も可能な大変便利なツールです。
リストアメディアの作成
Active Backup for Businessで取得したバックアップをリストアするには、Synology公式サイトへアクセスしてリカバリメディアクリエーターをダウンロードしてウィザードを実行します。
Synology Active Backup for Businessのリカバリメディアは、USBメモリもしくはDVDのどちらかを選んで作成できますが、ここでは簡単なISOメディアで説明させていただきます。
作成ボタンをクリックすると、Windows ADKのダウンロード画面が表示されますので、そのままダウンロードをクリックしてリカバリメディアクリエーターのウィザードを進めてください。
ダウンロードを実行するとWindowsアクセスメント&デプロイメントキットのセットアップが始まりますので、デフォルトのまま進めてインストールを完了させてください。
Windowsアクセスメント&デプロイメントキットのインストール完了後、リカバリメディアクリエーターのウィザードを進めると指定した場所にISOイメージが作成されるのでDVDに書き込んでください。
バックアップをリストアする方法
Active Backup for Businessのリストアは手順が多いので、二つのステップのスクリーンキャプチャを横並びにしてみましたが、画面の説明が非常に読みにくいので文章で解説させていただきます。
バックアップのリストアは難しそうに思えますが、サーバもしくはパソコンをリカバリメディアクリエーターで作成したUSBメモリやDVDで起動し、ウィザードを進めるだけで誰でも簡単にシステムとデータを復元することができます。
システムを正常に復元するためには、ハードウェア毎にリカバリメディアクリエーターを実行するのがベストですが、汎用性が高い上にドライバーをリストア前に読み込むことができるので、パソコンで作成したメディアでもサーバの復元ができたりします。
ログイン情報には、Active Backup for BusinessをインストールしたNASのホスト名もしくはIPアドレス、管理者権限を持つアカウントとパスワードを入力して接続ボタンをクリックします。
Active Backup for Businessのリストアは、NASのローカル管理者アカウントもしくはバックアップしたドメインユーザーアカウント、Administratorであれば実行できますがデバイスの一覧が表示されない場合は、共有フォルダやアプリの権限を確認してください。
管理者アカウントでログインした場合、Acitve Backup for Businessでバックアップを実行したサーバやパソコンの一覧が表示されるので、リストアしたいデバイスを一覧から選択して次のステップに進んでください。
復元モードにはデバイス全体を復元、システムボリューム復元、手動で指定ボリュームを復元がありますが、通常ならデバイス全体を復元を選択することで簡単にリストアすることができます。
今回リストアを実行するデバイスは一度しかフルバックアップをしていませんが、ジョブをスケジュールすれば復元ポイントを選んでシステムを元に戻すことができるので、ランサムウェアの被害にも対応することができます。
因みに、バックアップしたデータは新しいハードウェアに復元が可能ですが、旧デバイスよりもディスク数やボリュームサイズが少ない場合、復元することができないので注意してください。
今回は、システムドライブにIntel SSDを搭載したワークステーションに、データストレージ用としてシングルのNAS専用HDDを接続した構成ですが、RAID設定したストレージでも問題なくリストアすることができました。
因みに、Active Backup for Businessのマニュアルには現時点で4Kネイティブのストレージには対応していないと記載されていましたが、EXOSやSASで試したところ正常にリストアすることができました。
今回リストアしたワークステーションのストレージ容量は9TBですが、保存されていたデータを復元するだけなので、使用量が少ない場合は予想残り時間よりも短時間でジョブが完了します。
Active Backup for Businessのバックアップジョブ実行と同じで、リストアしている時もネットワーク帯域を使い切ることがない割に、高速でシステムを復元することができるのも大きなメリットです。
因みに、下の画像左側がバックアップを実行した直後とリストアした直後のストレージを比較したものですが、どちらも利用領域が全く同じ結果となりデータを正しく復元することができました。
特殊な機材を使用しなければリストア中のスクリーンキャプチャが取得できないので、一般的なワークステーションを使用して解説していますが、RAID-6構成にしたラックマウントサーバでも正しく復元できています。
トラブルはツールで解決
リストアがジョブが完了した後は再起動するだけの簡単なバックアップソフトですが、システム復元後に起動しない場合は、画面右上のツールを利用してトラブルシューティングしてください。
DHCPが利用可能であれば基本的にネットワーク設定を変更する必要はありませんが、ホストやIPアドレスでNASに接続できない場合は、コマンドプロンプトでNASにPingが届くか確認してみてください。
Synology Backup for Businessのバックアップとリストは非常に高速で、メジャーなバックアップソフトでは二日かかる10TBのジョブも半分の一日で完了するので、大容量のサーバに適しています。
このソフトには物理サーバやパソコンのバックアップを一元管理するだけでなく、ファイルサーバ専用のバックアップ機能もあるので、オンプレでシステムを運用する企業なら導入してみる価値は十分あります。
今回の内容は以上となりますが、Backup ExecやArchserve BackupのストレージとしてNASを購入する計画があるなら、Active Backup for Businessが無料で使えるSynologyのNASを是非お試しください。