200台以上のパソコンとファイルサーバのデータを一台のNASにバックアップして一元管理するために、Synology DS2419+という12本のディスクを搭載可能な製品を購入しました。
単純計算で100TBのストレージを構成するには、16TBのHDDが6本以上必要となりますが、RAID-6で冗長化を持たせるとなると8ベイでは足りないので、12ベイあるDS2419+を導入することにしました。
NAS専用HDDを8本以上搭載するなら、IronWolf Proなどの上位モデルを搭載しなければなりませんが、複数あるバックアップストレージを集約することができたので結果的には満足しています。
無料でバックアップを一元管理
今回購入したSynology DS2419+は、サーバ向けとは言えCPUがAtomなので性能は決して高くありませんが、パソコンやサーバのデータをバックアップして一元管理するActive Backup for Businessが無料で使えるのが魅力的です。
SynologyのNASは機種により機能が制限されたり性能を強化することができないのですが、今回紹介するDS2419+はActive Backup for Businessを使うことができますし、ネットワークを10Gbpsにアップグレードすることもできます。
クライアントマシンや一般的なサーバのバックアップなら1Gbpsのネットワークでも十分ですが、10TBを越えるファイルサーバをバックアップするなら10Gbps対応にした方が短時間でジョブが終了します。
Synology DS2419+は、100TB越えのストレージを構成したり10Gbpsネットワークカードの増設が可能なハイエンドNASなので、バックアップストレージとして利用すると威力を発揮します。
規格外の大きさ
大容量のNAS専用HDDを12本搭載可能なSynology DS2419+なら、100TB越えのストレージを構築することができるのですが、とにかく大きな本体のサイズに驚いたのが最初の感想です。
上部のカバーを開けることで本体内部を更に詳しく確認することができるのですが、ディスクを搭載する部分以外は空洞で、このスペースが本体サイズをかなり大きくしている原因です。
サーバールームがある企業や広い作業部屋があるYoutuberなら置けなくもなありませんが、奥行が340mmとダースで頼んだペットボトルの段ボールよりも大きいので、スモールオフィスや自宅には設置したくありません。
比較画像がないので伝わりにくいと思いますが、8ドライブベイのDS1819+と比べると奥行が1.5倍近くあるので、設置する場所のスペースを予め確認してから購入するのがおすすめです。
本体内部
こちらはSynology DS2419+の内部を正面から撮影した写真ですが、ご覧の通り内部は非常にシンプルなので長く使えるのか不安に思うかもしれませんが、今まで導入してきたNASのなかではかなり品質が高い思います。
本体内部にはPCI Expressスロットがあり、ネットワークインターフェイスボードを追加することで10Gbpsに対応させることができるので、共有フォルダやバックアップストレージへのアクセスを高速化させることができます。
Synology DS2419+の様なハイエンドNASは、10Gbpsネットワークカードの増設だけでなく、メモリも32GBまで増やして強化することができるので、企業でも問題なく利用できるスペックです。
ただ、CPUがサーバー用Atomなので同時接続者数が多い企業の場合は、Xeonを搭載したワンランク上のNASや12Gbps SASディスクを搭載した本格的なサーバをおすすめします。
最大24ベイまで増設可能
最大ボリュームサイズが108TBなのを考えると、DS2419+のドライブを増設する意味はないのかもしれませんが、同じNASをもう一台購入するよりもコストを抑えることができます。
8ドライブベイのDS1819+がeSATAケーブルでの接続に対し、DS2419+はInfinibandという信頼性・可用性・保守性に優れた接続方式を採用しているのが特長です。
ネットワークは1GbpsのLANポートが4個ありチーミングさせることができますが、10TBを越えるファイルサーバのバックアップストレージで使用するなら、10Gbpsのボードを搭載するのがおすすめです。
今まで経験したことがあるNASの故障と言えば、9割以上がディスクの障害で残りの1割はファンの故障で、ローエンド向けの製品には交換できない物もありますが、Synology DS2419+なら交換して修理することが可能です。
NAS本体の電源を落とし電源ケーブルを抜いた状態で、背面からファンを引き抜けば簡単に取り外すことができますが、繊細なピンがあるので、稼働させる前だからと無理に確認する必要はありません。
自由度が高いNAS
正直、本体が大きい割にCPU性能や拡張性に大差ないことを考えると、8ドライブでコンパクトなDS1819+がおすすめですが、今回は100TBを越えるバックアップ用ストレージが必要という理由でDS2419+の導入となりました。
8ドライブのNASでも搭載するディスクを20TBにすれば、RAID-6構成で100TBのストレージの構成ができますが、トータル的なコストを考えると12ドライブにした方がコストメリットがありそうです。
また、12ベイ全てを使用しない場合は、残りのディスクスロットに新たなストレージプールを作成することもできますし、ホットスペアとしても利用できるのでドライブ数が多いと何かと便利です。
バックアップストレージに最適
DS2419+はクライアントの同時接続推奨数が550なので、中小企業の共有サーバとして利用しても問題ありませんが、電源ユニットが冗長化されていないことを考えると、業務に大きく影響するような場面で使うには少し不安を感じてしまいます。
今まで何十台と導入してきたNASの電源が故障したことはありませんが、24時間当日対応のサポートは望めないので、ダウンタイムが長くなると困るシーンで使うのはそれなりにリスクがあります。
DellやHPのサーバでも電源ユニットは壊れるくらいなので、NASに可用性を求めるなら冗長化が可能な機種を選ぶ必要がありますが、ラックマウント式となるのでサーバラックが必要になります。
その点、クライアントマシンやサーバのデータをバックアップするストレージなら、システム障害で復旧に数日要したとしてもクリティカルな問題にはならないので、低価格なNASでも導入しやすいと言えます。
復旧が簡単なNAS
10年以上前から20台以上のハイエンドなNASを導入してきたものの、ディスク以外の部品が壊れたことがないのも魅力的ですが、どんな堅牢なシステムでも未来永劫使える訳ではありません。
可用性が高いハードウェア構成のサーバを導入したとしても、落雷などの自然災害や経年劣化による故障や避けられないので、日頃から短時間でシステムを修復できるように備える必要があります。
ディスクが故障した場合は時間をかけてバックアップをリストアする必要がありますが、マザーボードや電源ユニットの問題でシステムが起動しないだけなら、他のNASへディスクを移設するだけで簡単に復旧させることができます。
今回はバックアップデータを残したままシステムを移行する必要があるので、RAID-6で構成した50TBのディスクを丸ごとDS2419+へ移設したのですが、10分程度の時間で簡単にマイグレーションすることができました。
100TB越えの大容量ストレージが構築可能なSynology DS2419+は、クライアントやサーバのデータ保護が無料で可能な便利なNASなので、企業のバックアップストレージとして大変おすすめです。