飲食店や小規模の事務所用に無線LAN環境を何度か構築した経験があるのですが、家庭などで使用するアクセスポイントでは、頻繁に通信が切断されてしまいす。
ASUSが発売しているゲーマー向けのハイエンドな無線LANアクセスポイントであれば高機能で高いパフォーマンスを発揮してくれますが、ビジネスで使用することを考えると企業向けの製品を導入した方が安心です。
そこで今回は、今まで導入した企業用無線LANアクセスポイントのなかから、小規模な店舗から広いイベント会場などでも使えるおすすめの製品を紹介します。
無線コントローラー不要の時代に
ひと昔の無線LANアクセスポイントは企業用でも同時接続数が10台程度で、ひとつのアンテナで接続できる無線LANクライアントの数に制限がありました。
ただ、ここ最近の無線LANアクセスポイントは、1つのアンテナで50~100クライアントまで接続できるものがあり、数百万円していた無線アクセスポイントのコントローラーが不要な時代になりました。
もちろん単独のアクセスポイントで使用するなら高価なコントローラーは不要ですが、その動作の遅さは正直使い物になるレベルではありませんでした。
無線LANのアクセスポイントのCPUが高速になり、APそのものがコントローラーの役割をできるようになりましたので、大規模な無線LAN環境でも低コストで構築できるようになりました。
企業と家庭の無線LAN製品の違い
家庭用無線LANアクセスポイントと企業用製品の違いは沢山ありますが、簡単な違いを言えばLANポートがひとつしかないことです。
家庭で使われる無線LANアクセスポイントにはインターネットに接続する有線LANポートと、家庭内にある機器に接続するための有線LANポートがいくつかあります。
企業向けの無線LANアクセスポイントには有線LANポートがひとつだけで、インターネットへの接続設定ができないアクセスポイントモードのみの動作となります。
企業用製品でもインターネットに接続できる設定ができるものも一部ありますが、細かなセキュリティ設定や安定稼働などを考えるとアクセスポイントモードでのみ動作する製品の方がおすすめです。
その他の違いと言えば、同時接続可能なデバイスの数の違いなどがあり、企業向けでは1アクセスポイントにつき50台~100台に対し、家庭向けの製品では10台~15台程度が限界です。
同時接続できるデバイスの数やセキュリティ設定の違いから、家庭用が1万円前後で購入できるのに対し企業向けの製品は5万円前後で購入することができます。
家庭用無線LANはセキュリティが弱い
ホームユーザー向けの無線LANアクセスポイントにもプライバシーセセパレーター機能があるので、無線端末同士が干渉しないようにすることができます。
ただ、無線LANのローカルポートに接続されたファイルサーバやプリンターには接続できてしまうので、知識のある人であれば簡単にアクセスできてしまいます。
今までバッファローやNECなど、家庭で使われる人気のアクセスポイントで試してみましたが、全て有線LANのポートに接続している機器にアクセスできました。
家庭であれば問題ないのかもしれませんが、事業活動を行う上で致命的な仕様なので、不特定の人にアクセスさせる無線LANアクセスポイントは企業向けの製品にしましょう。
企業用ならフロア移動も楽々
最近の無線LANアクセスポイントは電波が強いので3階程度の建物であれば電波が届きますが、フロアが広いとひとつのアクセスポイントではカバーしきれません。
そこで各階に無線のアクセスポイントを設置するのですが、家庭用の無線LANアクセスポイントだと、各APとの連携がとれないので同じSSIDで設定できない場合があります。
フロア毎にSSIDを別名にすると切り替えがスムーズに行えなかったり、何台ものアクセスポイントに同じ設定をしなければなりませんが、企業用のアクセスポイントであれば一度の設定で済みます。
無線LANのセキュリティ設定などをアクセスポイント毎に設定していると、機器ごとに設定の違いによるセキュリティの穴が発生しやすくなるので、100人を越える規模の企業であれば企業用のADを導入しましょう。
安定動作のYAMAHA無線LAN
店舗や事務所のインターネット接続にYAMAHAのルーターを使用しているなら、YAMAHAの無線LANアクセスポイントをセットで使うと設定が便利です。
ただ、YAMAHAのルータは本格的な通信機器なので、今でこそGUIベースである程度の設定ができるようになりましたが、VLANの設定などはやはりコマンドベースで設定しなければなりません。
YAMAHAの公式サイトにコンフィグのサンプルが公開されているので頑張れば設定できますが、ネットワークに慣れていない人にはあまりおすすめしません。
一度ルーターと無線LANアクセスポイントの連携設定が終われば、後はGUIベースでの操作となりますので、どうしてもYAMAHAの通信機器を使いたいとい方は、初期設定だけ専門家にお願してください。
YAMAHAの無線LANアクセスポイントは安定して動作しますしクライアントの同時接続数も多いので、おすすめする無線LANアクセスポイントのひとつです。
ただ、YAMAHAのルーターとセットで使わなければならないのがネックで、手軽さという意味ではやや欠けるのではないかと思います。
アルバのAPがおすすめ
パソコンメーカーのDELLでも企業向けの無線LANアクセスポイントを販売しているのですが、中身は無線ネットワークで定評のあるアルバネットワークスの製品です。
アルバの無線LAN製品を以前から注目していたのですが、実際に購入してみるとシスコやアライド、YAMAHAとは違う小回りの利くセキュリティ設定ができるおすすめの製品です。
YAMAHAの製品はルータ側でVLANを設定しアクセス制限などのセキュリティ設定をするのですが、DELLのIAP103という製品はアクセスポイント側で仮想のVLANを簡単に作ることができます。
フルアクセス可能なローカルネットワークのSSIDと、インターネットしか接続できないSSIDを無線LANのアクセスポイントだけで分けることができるので、他の製品よりも簡単にセキュリティの設定ができます。
ゲスト用のSSIDでアクセス制限をする製品もありますが、ゲスト用のSSIDにパスワードが設定できない製品もあるので、痒い所に手が届くアルバのAPがおすすめです。
当然、接続できる端末の数も多いので、店舗や小規模の事務所だけでなくイベント会場など、広い場所で数百人規模で使用するのにも適しております。
過去に同時接続が180を越えるイベント会場の無線LAN接続を6台のAPだけで構築した経験があるのですが、動作も非常に安定していました。