聖路加産科クリニックショートステイ体験記

聖路加産科クリニックのショートステイをネットで調べてみると、実体験のないパンフレットの内容をまとめただけの情報が目立ちます。

パンフレットの内容に忠実であれば問題ありませんが、事実と異なる内容を紹介しているサイトもあり、これからショートステイを利用しようと考えている方が戸惑うかもしれません。

そこで今回は、聖路加産科クリニックのショートステイに14日間滞在した経験を基に、パンフレットや実体験なしではわからないことを体験記という形でまとめてみました。

尚、今回はショートステイについて限定した内容であり、分娩やマタニティー・ヨガ、ベビーマッサージなどの説明はありませんので予めご了承ください。

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ショートステイへの申し込み

聖路加産科クリニックのショートステイに申し込むには、出産した病院を退院する3日前に自ら電話で連絡する必要があります。

パンフレットには生後 8 週間以内の赤ちゃんとその母親が対象で、産科クリニックの医師の診断にて入院を決定いたしますと書かれていますが、聖路加国際病院で出産された方は診察なしで入院できます。

聖路加国際病院の資料によると退院は通常午前11時までとなり、産科クリニックへの入院手続きは午後1時からとなります。

転院まで大分時間ありますが、聖路加国際病院の助産師さんへショートステイすると伝えれば、退院時間を調整してもらえるので、新生児を連れて人混みのなかで待機することはありません。

もし、退院が当日の昼過ぎまで決まらない場合、聖路加産科クリニックから催促の連絡がきますが、事情を説明すれば大丈夫です。

一部、融通の利かない人がいますが強気でいけば大丈夫ですし、他のスタッフは皆さん優しいので焦る必要は全くありません。

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滞在期間

ショートステイする期間は基本2週間を1セットとしていますが、1週間で退院される方もいれば、部屋が空いていれば延長して滞在することもできます。

産科クリニックの部屋数は決して多くないので、満室の場合は部屋が空くまで自宅で待機したり、延長できない場合もあるそうですが、2週間滞在した時は常に満室という感じではありませんでした。

今回14日間滞在した費用は28万円程度でしたが、短期滞在よりも長期滞在の方が1日辺りの費用が安くなるので、ショートステイをするなら1週間以上の滞在がおすすめです。

基本情報

こちらは、聖路加産科クリニックの設備に関する基本設備で、育児に不要と思われるテレビや音楽プレイヤーなどの機器はありません。

  • 和室・洋室選択制
  • ICカードセキュリティ
  • 空調完備
  • 冷蔵庫
  • クローゼット
  • トイレ・洗面所
  • 哺乳瓶殺菌器(ミルトンの薬剤は購入可能)
  • 授乳クッション
  • フロア共通シャワー
  • 面会・休憩用テラス

全室個室なので育児に専念できる環境でもありますが、孤独感を感じやすい閉鎖された空間なので、ラジオや音楽を流すと良いです。

聖路加産科クリニック和室

ただし、各部屋の壁は賃貸アパート並みに薄いので、大きな音で音楽を流したり談笑すると周囲に聞こえますし、分娩室から発せられる叫び声なども聞こえてきます。

個室にシャワーはなくトイレと洗面台が一緒にあるだけですが、一時でも赤ちゃんから目を離さないようにガラス張りなので、家族以外は個室に入れない方が良いでしょう。

自分で用意するもの

ここでは、パンフレットに書かれていないもので必要と感じた物や、実はレンタル可能な物について紹介します。

  • 搾乳機(聖路加国際病院でレンタル可)
  • 哺乳瓶(聖路加産科クリニックでレンタル可)
  • 哺乳瓶消毒剤(聖路加産科クリニックで購入可)
  • 粉ミルク(聖路加産科クリニックで購入可)
  • 吐き止めクッション
  • 湯飲み茶碗(柿の葉茶を飲むのに利用)
  • 汚れたシーツの上に敷くもの(シーツの交換は週1回)

紙オムツやおしり拭きは近くにドラッグストアがあるので、自宅から持ち込む必要はありません。

出産直後は手動で搾乳をする余裕はないので、聖路加国際病院で申し込みができる自動搾乳機のレンタルがおすすめです。

新生児の排泄物は予想以上に飛び散り、衣類やシーツを汚してしまいますので、着替えや汚れた時にシーツの上に敷くものは多めに用意してください。

聖路加産科クリニックに吐き止めクッションはありませんので持参しましたが、使い方を間違えると事故につながりますので、製品の使用上の注意を読んでからご利用ください。

和室には椅子がありませんので、ベッドに座りながらの授乳となりますが、背もたれがないので背中が痛くなります。

和室で授乳をする時は、壁際のベッド角に座りながら寄りかかる形にすると少し楽になります。

基本サービス

聖路加産科クリニックは、基本的に赤ちゃんの面倒は自分でみるというスパルタ形式ですが、何かわからないことがあれば助産師さんに相談することができます。

  • 朝食・昼食・おやつ・夕食・夜食あり
  • タオル・バスタオル(1日各1枚)
  • 授乳・沐浴アドバイス
  • シーツ交換週1回
  • 助産師24時間待機

聖路加国際病院と違い赤ちゃんを長い時間預けることはできませんが、新生児をひとりにするのは危険なので、シャワーを浴びる時は面倒をみてもらうことができます。

授乳や沐浴に慣れない状況に慌てるよりも、頼りになる看護師さんが24時間体制で待機しているのは、心の大きな支えになります。

時にはナースコールが重なり30分以上待たされることもありますが、看護師さんは母乳が出やすくなるためにマッサージをしてくれるので大変助かります。

オプションサービス

母親の衣類はクリーニングサービスに出すことができますが、赤ちゃんの衣類は自分で手洗いする必要があります。

これは、施設内での感染を予防するための措置だと思いますが、出産したばかりだと洗濯をする余裕はないので、素直に旦那に頼んで家で洗濯をしてもらうのがおすすめ。

産科クリニックでは、カロリー計算された贅沢なご飯が食べられるのですが、事前にお願いすれば1食2,100円で追加注文することができます。

聖路加産科クリニックの食事

ただし、全ての料理をひとりで調理されているので、前日の決められた時間までに予約をする必要があることと、食事の時間も決められているので、週末に予約される方が多いようです。

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面会について

面会時間は午前10時~午後22時までで、受付業務終了後の時間や休業日でも自由に面会することができます。

ご家族には家族カードが付与されますので、あるサイトで紹介されているように、面会の度に母親が1階の扉を開錠しなければならないということはありません。

各フロアにはラウンジがありますので、お友達や親戚などの面会で使用したり、他の患者さんと一緒に食事をすることもできます。

面会について特筆することはありませんが、2階のラウンジには簡易的なキッズスペースもあります。

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マイナスポイント

ここからは、聖路加産科クリニックに長期滞在して感じた、マイナスポイントについて紹介します。

  • 壁が薄いので声や物音が響く
  • 孤独を感じる部屋
  • カーテンをしないと隣のビルから室内が見える
  • エアコンがカビ臭い

簡単にまとめるとこの様な感じになりますが、部屋の壁が薄くて声が響く以外は大きなマイナスではありません。

孤独を感じるのは人との交流がなく、テレビがなくて静かな狭い部屋で生活するからですが、音楽を流したりラウンジで息抜きをすれば多少は紛れます。

部屋に備え付けのエアコンはカビの臭いがして残念ですが、クリニック内は常に気温が25℃前後なので、結局必要ありませんでしたが、夏や冬はどうなのかは不明です。

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個人的な総合評価

聖路加産科クリニックのショートステイは、母親が楽をするための施設ではなく、慣れない育児に戸惑う母親をサポートをするための施設だと思いました。

リラックスしながら体力を回復するという感じではありませんが、一部のサイトで紹介されているような不便を感じるサービスという訳ではありません。

慣れない授乳で赤ちゃんが泣き止まない状況の時に、助産師というプロにサポートしてもらえる安心感は心の大きな支えとなります。

また、黄疸の検査も産科クリニックでしてもらえましたし、何よりも赤ちゃんに何かが起きた場合は、目と鼻の先に聖路加国際病院があるので安心できます。

14日間で28万円の費用がかかりましたが、周囲にサポートをしてもらえる人がいない時や、母乳で育てるためにコンディションを整えたいと考える人には、十分に価値のあるサービスだと思います。

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ここからは追記となりますが、今の聖路加産科クリニックでは出産ができなくなり、その影響からか常駐している助産師さんの数が以前よりも少ないようです。

助産師さんの業務が激務なので人材確保が難しいのか理由はわかりませんが、実際にショートステイしていた頃とは若干状況が異なるようです。