知らないと失敗する衣類乾燥除湿機の上手な選び方

除湿機が活躍する季節と言えば、湿度が高くてジメジメする梅雨や夏というイメージがありますが、寒くて乾燥する冬や穏やかな春でも活用するシーンはあります。

例えば、春は花粉やPM2.5の飛散で外に洗濯ものを干せない時に除湿機があると便利ですし、寒くて乾燥する冬もキッチン周り湿度が高くて結露するので除湿機があれば便利です。

そこで今回は、意外と奥が深い除湿機の基本的や利用シーンを紹介しながら、目的に合う製品の選び方について紹介します。

湿度は常に変化する

日本には四季があり、暖かい穏やかな気候が続く時もあれば、梅雨のようにジメジメした日が続き、洗濯物から生乾きの臭いがしたり、クローゼット内の衣類にカビが生えてしまう時があります。

下のグラフは、ある建物内の一室の湿度と気温を計測したグラフで、左側が1週間の気温(赤)と湿度(緑)の変化で、右側が2日間の湿度の部分を拡大したグラフです。

24時間常にエアコンの冷房を稼働させている部屋での計測なので気温は20度前後で安定していますが、湿度は5月の穏やかな陽気でも急激に変化しています。

湿度と気温を計測した場所は、動かしていない換気扇のある窓のない密室に近い小部屋ですが、外気やクーラーの自動運転の影響を受けて湿度が激しく変化しているのかもしれません。

製品にもよりますが、除湿力の弱い製品を気密性の低い建物で使用すると、ただ単に電気代を消費するだけの結果になります。

除湿機を使用する時は、建物の気密性などを考えた製品選びも重要となります。

除湿機のタイプを知る

除湿機にはコンプレッサー方式、デシカント方式、ペルチェ方式などがありますが、基本的に市場で販売されている製品は、コンプレッサー方式かデシカント方式です。

パナソニックは、唯一コンプレッサー方式とデシカント方式の両方に対応したハイブリッドタイプの製品を発売していますが、値段がトップクラスに高いというデメリットがあります。

その他には、ペルチェ方式を採用した製品もありますが、どちらかというと小型のワインセラーに利用されることの多い方式で、除湿機で利用されるケースは非常に少ないので忘れてください。

コンプレッサー

気温の高い夏に威力を発揮する除湿機で、本体内の冷却媒体で空気を冷やし結露を発生させて、空気中の水分を取り除く方式です。

もう少しわかりやすく言うと、夏の暑い季節に冷たい飲み物をグラスに注ぐと水滴が付着しますが、この時に発生する水分を拭き取るまでの作業がコンプレッサー方式の除湿機です。

コンプレッサー方式は、先ほど述べたように気温が高い夏場に威力を発揮するという点と、加熱処理をするデシカント方式と比べると消費電力が少ないという点です。

逆に言うと、冷たいコップに水滴が付着しにくい冬場は、コンプレッサー方式の除湿機は大の苦手で、冬場の結露対策や洗濯物の部屋干しには向いていません。

また、コンプレッサー方式は、デシカント方式と比べて運転音が大きいのと、本体の重量が重いというデメリットもあります。

ただし、除湿機を利用するのは梅雨や夏のジメジメした時期が多いことを考えると、コンプレッサー式やハイブリッドタイプを選んだ方が満足度が高いのではないでしょうか。

デシカント方式

デシカント方式は、除湿機内にあるゼオライトに水分を吸着させて空気を乾燥させるという、押し入れやクローゼットのなかに入れる、水とりぞうさんのような方式です。

水とりぞうさんは一度水分を吸いきると使えなくなりますが、デシカント方式の除湿機は水分が付着した乾燥材をヒーターの熱で乾燥させ、その時に排出される水分をタンクにためるという仕組みです。

デシカント方式の最大の魅力は、冬の寒い部屋でも除湿能力が落ちないので、キッチンなどの結露対策にも使えるという点です。

ゼオライトを使うデシカント式は、軽量コンパクトなので軽々と移動できるのもメリットですが、消費電力が大きいヒーターを使用するため、結露対策のように常時使用していると電気代が心配になります。

コンプレッサー方式と比べて運転音が静かなので、赤ちゃんが寝ている時の部屋干しにも使えるのが魅力的ですが、ヒーターで加熱するために気温が上がりやすくなるということも考えなければなりません。

冬の結露対策や夜の部屋干しをメインで使うのであれば静かなデシカント方式をおすすめしますが、そうでないのならコンプレッサー方式や、ハイブリッドタイプを強くおすすめします。

除湿機の利用シーン

それでは、季節ごとに除湿機を利用するシーンなどをまとめて紹介しますので、どのタイプの除湿機が目的に合うものなのか再確認してみましょう。

花粉やPM2.5の春

春になると日差しが暖かくなりますし湿度も高くないので、気候的には外で洗濯物を干したくなるものですが、3月から5月にかけて花粉、黄砂、PM2.5などが飛散します。

辛い花粉やPM2.5などが洗濯物に付着することを考えると、洗濯日和の気候が続く春でも部屋干しする機会は多くあります。

コンプレッサー式は、気温が15℃以上にならないとパフォーマンスを発揮しないので、まだ肌寒い春に除湿機を使うならデシカント方式がおすすめです。

ただし、梅雨や夏の蒸し暑い夜にも使いたいのであれば、夏も冬も使えるパナソニックのハイブリッド式除湿機をおすすめします。

蒸し暑い夏

梅雨や夏に使う除湿機をお求めになるなら、蒸し暑い日に活躍するのがコンプレッサー方式がおすすめですが、製品のよっては部屋干し専用の製品もあれば、部屋全体の除湿まで行う物もあるので、製品選びには注意が必要です。

除湿機の多くは洗濯物の乾燥を売りにしていますが、部屋のなかの湿度が高いと布団の湿気取りシートなどがグショグショになるので、洗濯物だけでなく屋内の除湿も重要です。

また、エアコンが苦手という方は、部屋の除湿をするだけで涼しくなるので、部屋全体の除湿に対応した製品をおすすめします。

夏でも湿度が低ければ熱中症になりにくいのですが、逆に気温が低くても汗が乾かない高い湿度だと、熱中症になりやすくなります。

台風が多い秋

秋は洗濯物が乾きやすい快適な気温と湿度になる時期なので、除湿機を使う必要がないと思うかもしれません。

ですが、秋と言えば一年を通して最も台風が発生する時期でもあるので、風で飛ばされないように部屋干しする必要があります。

また、運動会や衣替えで急に洗濯物が増えるので、効率よくこなすためにも衣類を乾かす除湿機が必要になります。

ただし、湿度が低い時は洗濯物に扇風機かサーキュレーターから風を送れば乾きが早くなるので、無理して除湿機を使う必要はありません。

結露する冬

冬に使用する除湿機と言えばデシカント方式で、日照時間の短い寒い季節でも衣類を素早く乾かしてくれます。

ただし、日本の冬は基本的に湿度が低いので、洗濯物を乾かす程度の利用であれば、DCモーターを搭載したサーキュレーターを使用した方が、電気代が断然お得です。

洗濯物が乾く仕組みとは、乾いた空気に衣類の水分を吸収させ湿った空気を風で飛ばすことなので、サーキュレーターで乾いた風を送るだけで早く乾きます。

また、洗濯物に風を送ることで室内の湿度を上げることができるので、冬場の洗濯物を乾かすためだけに除湿機を買うくらいならバルミューダのサーキュレーターをおすすめします。

キッチンなどの湿度の高い場所のガラス窓が結露する場合も、少しだけ窓を開けておけばある程度解消できますので、無理に除湿機を使用する必要はありません。

完全なる結露対策をしたいのであれば、デシカント方式の除湿機をおすすめしますが、常時運転させることを考えると経済的ではありません。

除湿機を使うシーンで方式を選ぶ

製品にもよりますが、衣類乾燥除湿機という名前からしてわかるように、除湿機そのものは主に衣類を素早く乾燥させることにあります。

梅雨や夏の季節に部屋干しをすると湿度が急激に上がりますので、乾いた風を洗濯物に送ることで部屋の湿度を上げるのを防いでくれます。

夏や梅雨に洗濯物を乾かしたいのならコンプレッサー方式を選び、寒い冬場の洗濯物を乾かすならデシカント方式のものを選んでください。

その他に除湿機を使うシーンと言えば、結露を防止したり、クローゼットのなかのカビ予防に使用しますが、コンプレッサー方式の除湿機は本体のサイズが大きいので、短時間でピンポイントの乾燥ならデシカント方式のものがおすすめです。

健康管理のために梅雨や夏場に部屋全体の湿度を下げた熱中症対策をするなら、気温が上昇するデシカント方式よりも、コンプレッサー方式の方が向いています。

もし、夏場に赤ちゃんが産まれるなら、洗濯物が早く乾かしたり部屋の湿度を下げるのにも使えるコンプレッサー方式がおすすめですが、運転音が気になるレベルなので、デシカント式とエアコンを併用する方法もあります。

特殊な例として、外気の影響を受けやすい環境の悪いサーバールームなどは、部屋の温度を上げないようにコンプレッサー方式がおすすめです。

除湿面積と除湿能力の関係

除湿機を選ぶ上で欠かせないのが、除湿面積の大きさに対応した除湿能力のある製品を選ぶという点です。

日本電機工業会規格によると、木造の一戸建て住宅の6畳間で使用する除湿機の場合、除湿能力4.5リットル/日~5リットル/日が必要で、マンションの場合は、2.2リットル/日~2.5リットル/日が必要になります。

当然、除湿能力が高い方が洗濯物を早く乾かしたり部屋の湿度を下げられるので、使用する部屋の大きさに対応した製品よりも能力の高いものを選んだ方が無難です。

除湿機の王様Panasonicの最高級な製品は、最大除湿能力が20リットル/日(60Hz地域)とダントツの除湿能力を誇りますが、この性能だと鉄筋の集合住宅で43畳もの広さに対応します。

シャープのCV-G120は1日の除湿量が12リットルなので(60Hz地帯)、鉄筋コンクリートのマンションだと約30畳もの広さに対応していることになります。

ただし、パナソニックの製品の場合は最上位機種でないと、お部屋丸ごとモードがついていないので、購入の際には注意が必要です。

掃除のしやすさも

空調家電で重要なのがフィルタの掃除方法で、各メーカーの製品毎にお手入れの方法が違い、掃除のしやすさで言うと一番がシャープで次いでパナソニック、手間がかかるのが三菱という印象です。

シャープはフィルタを取り出さなくても掃除ができるのが良いのですが、ひどい汚れの時は付け置き洗いが必要な程度です。

パナソニックの製品もお手入れが簡単で、フィルタが破れるまで何度も繰り返し使えるのが良い点です。

それに対し三菱の除湿機は、コンパクトで良い製品なのにムーブアイの掃除や、フィルタの付け置き洗い、定期的なフィルタの交換が必要で、少し手間がかかるという印象です。

おすすめの除湿機

おすすめは、部屋全体の除湿にも対応したパナソニックですが、最上位機種は値段がとても高いので、常に最高クラスの製品が欲しい人だけが購入されるようです。

パナソニックの除湿機は本体が大きく移動が難しいので、リビングなどの広い場所で使うのが良いでしょう。

個人的におすすめなのは、三菱の除湿機と言いたいところですが、掃除の手間が他の製品より若干かかるのが難点です。

お手軽な値段で買えるシャープの除湿機が本命ですが、2016年モデルと2017年モデルの仕様は大差ないので、常に新しい製品でなくても良いのであれば、値段の安い2016年モデルをおすすめします。

シャープのサイトをみると2016年モデルよりも2017年モデルの方が、低騒音化の性能が向上したように思えるのですが、表記の問題で実際は2017年モデルの方が若干音が大きいです。

常に最新機種が良いという方は、旧モデルよりも値段が多少高いこちらのモデルをお選びください。

予算に余裕がある方で最高級な除湿器が欲しい方はパナソニック、そこそこの値段で部屋全体の除湿ができる製品が必要ならシャープという感じでしょうか。

ここまでならカタログスペックの情報を並べているサイトと同じなので、我が家でも新製品1個前のモデルを購入しました。

除湿機などの機能が大きく変化しない家電は、旧モデルの取り扱いをしないヨドバシなどの家電量販店よりも、Amazonで購入した方が断然お得です。

今回の内容は以上となりますが、別記事にて実際に除湿機を安く購入する方法や、実際に製品を使用した感想を詳しく紹介します。