一般的な家庭用のNASはテレビ番組を録画したりファイルを共有するのが限界ですが、企業でも使えるSynologyやQNAPの製品はアプリケーションをインストールして機能を拡張することができます。
企業サイトやブログをWordPressで構築する割合が増えていますが、インターネット上に公開する前にテストをしたり、バックアップ目的でNASにWordPressの環境を構築するケースが増えています。
SynologyのNASを使えば、誰でも簡単に日本語版WordPressの環境を構築することができますが、パッケージインストールではセキュリティ面に問題がありますので、一部手順をかえてインストールする方法を説明します。
QNAPに日本語版WordPressをインストールする方法について説明します。WordPressのインストールはApp Centerから可能ですが、英語版のWordPressがインストールされてしまうのと、今回の目的である仮想サイト[…]
WordPressのインストール
Synologyの管理画面へアクセスし、パッケージセンターのユーティリティからWordPressのアイコンをクリックし、アプリケーションのインストールを実行します。
新しいNASにWordPressのインストールを実行すると、Web station、MariaDB、PHP 5.6、Apache HTTP Server2.2のインストールも行われます。
他のNASと違いsynologyのNASは複数のボリュームを作成できるので、パッケージをインストールしたいボリュームを選択し次へボタンをクリックします。
セットアップウィザードでは、WordPressのデータベースやデータベースアカウントを作成するためにMariaDB管理者の資格情報を求められるので、アカウントとパスワードを入力してください。
ただし、デフォルトではMariaDBの管理者アカウントはrootのパスワードが空欄なので、セキュリティ面を考慮し最低限パスワードだけでも変更することをおすすめします。
別途phpMyAdminをインストールすれば、データベースを作成するアカウントもroot以外に設定できますが、ネットで検索すれば情報がありますのでここでは割愛します。
WordPressをインストールする途中でMariaDBの管理者パスワードを変更したい場合は、画面左上のメインメニューボタンをクリックしMariaDBを起動します。
MariaDBのパスワード変更ボタンをクリックし、管理者パスワードを入力してOKボタンをクリックすれば変更画面が表示されます(デフォルトパスワードは空欄)。
WordPressのインストールウィザードで入力したMariaDBのIDやパスワードに誤りがあるとパッケージのインストールに失敗しますので、戻るボタンを押して正しい情報を入力してください。
次に、WordPressで使用するデータベース名、ユーザーアカウント、データベースユーザーパスワードを入力して、次へのボタンをクリックしてください。
デフォルトのデータベース名やユーザーアカウントはセキュリティ的に問題があるので、ローカルエリアネットワークに設置するサーバだとしても、必ず変更するようにしてください。
インストールウィザードの確認画面に表示される内容に誤りがなければ、適用ボタンクリックしてWordPressのインストールを開始してください。
WordPressのインストールが成功するとメインメニューにアイコンが追加されますので、クリックしてWordPressの初期設定作業に進みます。
パッケージのインストールした後に初めてWordPressを起動すると、使用する言語の選択画面が表示されるので、日本語を選択し続けるボタンをクリックしてください。
言語設定をした後は、サイトのタイトルやログインするユーザー名、パスワード、登録するメールアドレスを入力しWordPressをインストールボタンをクリックしてください。
ローカルエリアネットワーク内で運用するサーバであれば設定する必要はありませんが、念のために検索エンジンがサイトをインデックスしないようにするにチェックを入れてください。
ダッシュボードが表示された後は、WordPressやインストールされているテーマ、プラグインの更新を行ない、最新のバージョンへアップデートできるか確認してください。
トラブルシューティング
SynologyのNASに日本語WordPressをインストールするのはとても簡単な作業ですが、NASの設定状況により正しく動作しないことがありますので確認できた事例を紹介します。
もし、WordPressの言語選択画面ではなく英語のログイン画面やダッシュボードが表示されたり、ダッシュボードの動きが極端に遅い場合は、NASのネットワーク設定を確認してください。
今回はテスト的にNASにDNSをインストールしたのですが、外部のDNSを正常に参照できる状態にしていないため、ダッシュボードの操作が極端に遅くなる現象が発生しました。
NASにDNSをインストールしていない場合でも、インターネットに接続可能なDNSのアドレスやIPv6が無効になっているか、今一度ネットワークの設定を確認してください。
今回の内容は以上となりますが、SynologyのNASは他の製品と違い初心者でも簡単に日本語WordPressをインストールできるので、これからNASをお求めの方におすすめです。
ただし、インターネット上に公開する目的でWordPressのサイトを構築するのであれば、細かいセキュリティ設定の必要な自前サーバよりもXserverなどのレンタルサーバーをお借りするのをおすすめします。
NAS上にWordPressのサイトを構築する場合は、あくまでも家庭内や企業内のテストサイトとしてローカルエリアネットワーク上で動作させることをおすすめします。
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