NAS初心者におすすめな家庭用ホームサーバの正しい選び方

  • NAS
  • 5793view
  • 0件
NAS

一般家庭で使われることが多い国内メーカーのNASは、サーバ本体とディスクがセットで販売されており、写真、動画、テレビ番組を録画することに特化して作られているので、はじめての方でも導入しやすいと言えます。

ただ、販売価格を抑えるために耐久性能が不十分なハードディスクを搭載していたり、後からメモリを増設したり機能を追加することが難しいので、使い方次第では不満に感じることがあります。

一眼カメラのデビューなら機能が限られたエントリ―クラスモデルがおすすめですが、大切な思い出のデータを保存するNASはデータ保護の仕組みが充実していて丈夫なディスクを搭載できる製品を使用してください。

スマホ対応が重要

高機能なNASを使えば、外出先からリモートアクセスして保存したデータにアクセスしたり、ブログを書いてインターネット上に公開することもできます。

ただ、はじめて家庭向けのNASを導入する方が高度なセキュリティ機能が必要になるとは思えないので、まずはスマートフォンとパソコンのアプリが充実しているメーカーの製品を選んでください。

今まで様々なメーカーの個人・企業向けNASを導入してきましたが、スマホやパソコンのアプリが充実、使いやすさ、機能の品質、安定動作を総合的に評価すると、Synologyが絶対的におすすめです。

Synology製品については後で詳しく説明するとして、まずは使い方次第でNASが不要になるケースや、外付けHDDを購入することでNASにする方法を紹介します。

関連記事

ホームサーバーのNASと言えば、テレビ番組の録画先に使用したり写真や動画を保管するための物ですが、高機能な製品は外出先からリモートアクセスしたり、仮想環境でWindowsを動かすこともできます。スマートフォンへアプリをインストールす[…]

最強NAS Synology

TV番組の録画専用ならNAS不要

一部対象外の製品もありますが、USB接続の外付けハードディスクを接続するだけで、TV番組の録画ができる製品もあるので、まずはご自宅にあるテレビの機能を確認してください。

もちろん、写真や動画を大切に保存したいのであればNASが必要になりますが、TV番組の録画専用として大容量のストレージが必要なら、ネットワークの構築が必要なNASを購入する必要はありません。

USB接続の外付けHDDには異なるインチサイズのディスクがあるのですが、より多くのTV番組を録画すなら大容量の3.5インチで、配線が気になるなら小容量の2.5インチがおすすめです。

最近の新築住宅は無線LAN環境が整備されていることから、有線LANの配線がされていない場合がありますが、その状況なら無理してNASを無線接続するよりもテレビにHDDを接続した方が簡単です。

無線APに外付けHDDを接続

かなり変態的なやり方ですが、家庭用無線LANアクセスポイントに外付けHDDをUSB接続し、簡易的なNASとしてファイル共有を可能にする機能がある製品もあります。

無線アクセスポイントがあるなら低予算でNASを構築できますが、USBは長時間接続すると認識しなくなる場合があるので、一時的なデータの物置として使うのが良いでしょう。

一応、2台のディスクを冗長化した外付けHDDを接続すれば、データ保護機能を持たせることができますが、無管理状態で故障に気が付かない場合があるので、大切なデータの保存には向いていません。

家庭用ホームサーバーに保存するデータの大切さや使い方にもよりますが、基本的にデータが消えても問題がない一時的なデータ保存場所として使うのがおすすめです。

必要なドライブベイの数

NASを利用する目的にもよりますが、結婚式や子供などの大切なデータを保存するなら、ディスクの冗長化ができる複数のドライブベイがある製品を必ず選んでお求めください。

データ保護の考え方次第で必要になるディスクの本数は異なるのですが、バックアップの仕組みや煩雑な配線よりも初期投資を抑えたいのなら、2ドライブベイモデルがおすすめです。

2ドライブベイあれば、ディスク1本が故障してもデータを守ることができるRAID-1が利用できるので、データ消失のリスクを大幅に減らすことができます。

ただ、同じ時期に導入したディスクは同じ時期に壊れる可能性や、ディスクの故障に気が付かない場合があることを考えると、バックアップなしではとても不安です。

内蔵ドライブにバックアップが可能な4ドライブベイの購入が理想ですが、予算の関係で2ドライブベイモデルを購入した方は、必ず外付けHDDを接続してバックアップしてください。

因みに、故障した1TBを越えるHDDを専門業者に復旧依頼をかけた場合、個人ユーザーでも軽く20万円を請求されるので、絶対にバックアップを軽視してはいけません。

ハードウェア性能と拡張性

NASを選ぶ時は搭載可能なディスク容量と本数の他に、最大メモリ、CPU性能、ネットワーク速度、利用可能な無線規格、拡張性などを総合的に見て判断する必要があります。

もちろん、スマートフォンで撮影した写真や動画を保存するだけならエントリ―クラスモデルで構いませんが、高解像度のビデオカメラで撮影した映像を頻繁に編集するなら、ハードウェア性能や拡張性は重要となります。

ハードウェア性能重視でNASを選ぶなら、ホームユーザー向けの製品には珍しい拡張スロットが使えるQNAPが断然おすすめで、必要があれば10Gbpsネットワークに対応させることもできます。

ただ、QNAPの製品は最新技術のストレージ管理技術を搭載するなどハイエンド志向の人におすすめですが、管理画面の設計や機能に雑な部分が多いので、技術的なことに興味がない人には向いていません。

ある程度のハードウェアスペックがあれば拡張性が不要という方は、使いやすい管理画面と機能の品質が高いSynologyがおすすめなので、自分の好みや知識レベルに合わせてお選びください。

管理画面と機能

機能が豊富に使えることからハイエンドなNASは専門用語が目立つので、パソコンにあまり詳しくないという人は、無難な国内メーカーの製品をお選びください。

ただ、SynologyとQNAPのNASは、削除したり上書きしたファイルを日時を選んで復元できるスナップショット機能が使えたり、SSDを搭載可能な製品もあります。

更に、一般的な家電量販店で売られているNASと違い、より高機能なSynologyとQNAPのNASは、パッケージをインストールすることで、更なる機能の追加や強化をすることができます。

一部のパッケージには有料の物もありますが、パソコンのバックアップやブログサイトの公開に使える機能が、無料でインストールすることができます。

因みに、Synologyは製品クラス別に利用できる機能を制限しているので、ビデオカメラで撮影した動画ファイルをスマートフォンで再生したり、上書き保存したファイルの復元ができる機能が必要ならPlusシリーズがおすすめです。

スマートフォンで撮影した写真、動画の保存や音楽の再生に利用するならエントリ―クラスの製品で構いませんが、SSD Trimに対応していない場合があるので、制限されている機能をよく理解した上でお求めください。

ディスク非搭載モデルがおすすめ

家電量販店で売られているNASには、予めHDDがセットされているので購入してからすぐに使える便利さがありますが、大切なデータをより安全に保存するならディスク非搭載モデルを選んでください。

一般家庭向けの製品にもNAS専用HDDが搭載されている物もありますが、価格を抑えるために安価なディスクを搭載しているケースもあるので、データ消失のリスクを考えると不安です。

パソコンのハードディスクは1日の稼働時間や製品保証期間が、NAS専用ディスクよりも短く設定されているので、大切なデータを保存するならディスク選びは重要になります。

NAS専用HDDと言えば昔からWestern Digital Redが人気で、今まで80本以上購入し故障したのが3本ですが、メジャーブランドの製品ならどれも品質が高いと感じています。

最近はNASの高速化のために大容量化が進んでいるSSDを搭載するのが人気ですが、HDDと比べるとまだ高価なのでヘビーユーザーでなければ搭載する必要はありません。

関連記事

一般家庭で使うためのサーバにNAS専用HDDを搭載する必要がないという意見もありますが、それは全くの嘘ではないかもしれませんが、とても正解だとは言えません。個人よりも企業で使うNASの方が、データアクセスする頻度や保存するデータ量が[…]

最強NAS専用HDD

簡単操作と品質重視ならSynology

NASを管理する設定画面の操作性という意味ではQNAPも大変優れていますが、全体を通してみるとSynologyの製品の方が直感的な操作がしやすく初心者でもわかりやすいと思います。

この画面はSynology DiskStationの初期設定画面で、NASとパソコンをネットワークに接続し、インストールした設定用アプリを実行するだけで簡単にアクセスが可能です。

企業向けの製品と言えば専門的な用語や知識がないと使いこなせないと思うかもしれませんが、Synologyの製品は直観的に操作がしやすい管理画面です。

Synologyの製品に限らず、ホームサーバーはストレージやネットワークなどやや難しい設定がありますが、ユーザーをサポートするアプリやヘルプが充実しているので、初めてNASを購入する方でも比較的楽に初期設定ができます。

SSDを搭載する必要がない場合や、スマートフォンで撮影した写真や動画ファイルの再生だけで十分ならエントリ―クラスのDS220jがお手頃価格でおすすめですが、より便利に機能制限を気にすることなく使いたい方にはDS720+がおすすめです。

エントリーモデルでありながらクアッドコアで管理画面の操作が快適に動作するDS220jの機能制限と、実機に製品を購入して使用してみた感想については、こちらの記事にまとめてみましたので、ご興味がある方はこちらも参照してください。

関連記事

高機能・高性能・高品質で人気のSynology NASは写真や動画を保存するだけでなく、充実したスマートフォンアプリでコンテンツを楽しんだり、仮想環境を構築して複数のOSを動かしたりすることができますが、製品ランクによりハードウェア性能や利[…]

エントリークラスのNAS Synology DS220j

ハイスペックを求めるならQNAP

パソコンを再起動するとiSCSI接続が自動で再接続されない、RADIUS認証の動作が不安定、スマホアプリの作り込みが雑な点をみると、初めてのNASは安心して使えるSynologyがおすすめです。

ただ、今後普及が予想される10Gbpsネットワークの対応やSSD対応など、ホームユーザーレベルのNASで拡張性が高くハイスペックのNASに魅力を感じるならQNAPが断然おすすめです。

QNAPのNASは企業ユーザーを強く意識しているので、管理画面に専門用語が多く設定が難しく感じますが、家庭で使う範囲の機能であれば初心者の方でも設定することは可能です。

スマートフォンやパソコンのアプリの差を考えるとSynologyの製品が絶対的におすすめですが、ホームサーバを使い倒したい方にはQNAPの方が面白いと感じます。

ホームユーザー向けのNASを買うのであればTS-251Dがおすすめですが、バックアップなどのデータ保護機能を充実させるならTS-453Beがおすすめです。