エントリークラスのNAS Synology Jシリーズは買いなのか調べてみた

  • NAS
  • 753view
  • 0件
NAS 最強NAS Synology

初めてのNASを購入する時に特に気を付けてもらいたいのがエントリー向けの製品で、一眼レフカメラと同じ感覚で初心者向けの製品を選んでしまうと、動作が重くストレスばかりを感じてしまいます。

SynologyやQNAPなどの高機能なNASは、管理画面上でドキュメントを作成したり保存した動画をスマートフォンで再生可能な形式に自動変換したりと、昔のNASよりも多くのリソースを必要とします。

NASの機能を全て使用することはありませんが、ハードウェアの性能が低すぎると意図しないエラーが発生したり、機能制限によりSSD Trimが使用できないなど致命的とも言える問題を抱えながら使うことになります。

そこで今回は、SynologyのエントリークラスのNASであるJシリーズ全機種を比較し、初めてのNASとして購入すべき製品とそうでない製品を比較した結果から、おすすめの機種をいくつか紹介します。

Jシリーズは超エントリークラスのNAS

エントリークラスのNASであるJシリーズは価格が安い故に、同じSynologyのハイエンドなPlusシリーズのNASや、ミドルエンドのValueシリーズと比べると、かなり性能が劣ります。

低価格なエントリークラスの製品はハードウェアの動作が遅いだけでなく、制限により利用できない機能がとても多くあるので、写真やドキュメントファイルを保存するのを主な目的として使用するのがおすすめです。

こちらは、DS216se、DS218j、DS416slim、DS418jのハードウェア性能を比較した表ですが、メモリが少ないだけでなくCPU性能もかなり貧弱なので、使用できる用途がおのずと限られてしまいます。

DS216seはメモリが256MBと極端に少ないだけでなくCPUコア数が1と今時のPCでは考えられない性能なので、安いからと購入したら絶対に後悔する部類の製品のひとつです。

気を付けるべきはDS416slimで、ドライブベイが3.5インチに対応していないため2テラバイトを越える大容量のHDDを使えないだけでなく、SSDを装着してもTRIM機能に対応していないなどのトラップがあります。

DS216se、DS218j、DS416slim、DS418jの機能面を調べてみると、基本的にどの機種も制限が多く設定されているので、企業向けの製品やハイエンドなホームサーバを求めている人はどれも購入すべき製品ではありません。

これらエントリ―クラスのNASが向いている使い方は、写真や動画などのファイルをPCよりもデータ保護に優れたストレージに保存したり、DLAN対応デバイスにテレビ番組を録画することです。

もしくは、JシリーズのNASはiTunes Serverの機能を使用できますし、Windowsのバックアップ用アプリケーションも用意されているので、PCのバックアップに使用するのがおすすめです。

家庭で使用するNASということを考えるとあまり影響はありませんが、共有フォルダの同期最大タスク数がどの機種も2なので、複数作成した共有フォルダを別ディスクに異なる設定で同期させる人は要注意です。

ただ、通常はバックアップジョブを作成したり単一のレプリケーションジョブで十分に対応できますし、複数のディスクへ念入りにバックアップするのは企業くらいなので気にする必要はありません。

残りは1ドライブベイのDS115jと、HDDやSSDなどのディスクを搭載しないEDS14ですが、エントリークラスの製品とは言えハードウェアスペックや機能な低すぎるので購入すべき製品とは言えません。

CPU性能の低さや搭載可能なメモリの量が少ないという問題も大きいのですが、何よりもHDDやSSDなどのディスクを2本搭載してRAID構成を組むことができないので、大切なデータを保存するのはリスクがあります。

nasneの様に録画した番組が消えても良いという前提で使うくらいで購入するのがベストですが、それなら大画面液晶テレビに直接HDDを接続して使用した方がコストや使い勝手の面でメリットがありそうです。

DS115jとEDS14のソフト面の機能は他のJシリーズの製品と基本的に同じなので、PCのバックアップやWordPressのテスト環境構築に使えますが、やはりHDD1本での運用はおすすめできません。

せめてSSDのTRIM機能に対応していれば、HDDよりも高速で故障率の低いSSDにすることもできるのですが、そこは上位機種を購入させる戦略やシステムへの負荷を考えると、今後のファームウェアで対応するとは思えません。

HDD搭載ならDS220Jで十分

Synologyに限らずエントリ―クラスの製品はハードウェアスペックが低いので、高機能と言われているNASをフルに活かしきれないどころか、高機能故に動作が遅くストレスを感じることがあるのでおすすめできません。

なのでハイエンド志向のユーザーが機能制限を気にせずにNASを使いたいのなら2ドライブベイのDS720+か、4ドライブベイのDS920+がおすすめですが、ハードディスクを搭載して写真や動画の管理をするならDS220Jでも十分使えます。

本来はJシリーズで唯一SSD Trimに対応していてメモリを1GB搭載しているDS420Jがおすすめですが、写真や動画を保存するためだけならコストを抑えることができるDS220Jがそれなりに使えて便利だと、実際に導入してみて思います。

1TBを超えるSSDの価格も低価格化が進んでいますが、写真や動画の保存するストレージとしては容量は足りませんし、毎日頻繁にNASにアクセスする予定がないのなら低価格で大容量なNAS専用HDDを導入した方が良いと思います。

関連記事

高機能・高性能・高品質で人気のSynology NASは写真や動画を保存するだけでなく、充実したスマートフォンアプリでコンテンツを楽しんだり、仮想環境を構築して複数のOSを動かしたりすることができますが、製品ランクによりハードウェア性能や利[…]

エントリークラスのNAS Synology DS220j