この世の中から消えたものと消えるもの

1980年に国鉄が民営化されるまでは、駅の改札に切符切りの職員が沢山並んでいましたが、今では無人駅でも自動改札があるのが当たり前となり、そんな仕事が存在していたということを知らない世代が沢山います。

今でも東京メトロ葛西駅にある地下鉄博物館に行けば、昔の改札タイプの入場口があり切符型の入場券にハサミを入れてくれるので、今では存在しない仕事を子供に体験させることができます。

この数十年で世の中から消えた仕事は、電車の切符切り、ボーリングのピンセット、牛乳配達、電話交換手等がありますが、これからはレジ打ちの仕事だけでなく音声を文字に起こす仕事もなくなると言われています。

銀行はATMを普及させて銀行窓口の数を大幅に減らしましたが、今後は実店舗を減らすためにキャッシュレスとネット化を進めることを目的としているので、街から銀行が消える日も遠くなさそうです。

技術や知識が必要な仕事もなくなる

ロボットの進化によりルーティンの単純な仕事だけでなく、細かな溶接や研磨などの高度な技術力を必要とする分野の仕事や、音声の文字起こしや翻訳の仕事も消えています。

実際に徳島県庁では、Googleの音声入力システムを利用した文字起しを採用することで、その日に発表された音声発表をリアルタイムに文字へ変換する、画期的な仕組みを取り入れています。

このシステムを取り入れることで、職員の残業時間が大幅に短縮されたとのことですが、驚くべきは音声文字入力よりもAIを使用した要約機能で、必要な長さに自動で瞬時に文書を調整してくれます。

深夜にまで及ぶ残業時間が減るという意味では、精度の高い音声入力やAIの要約機能は人の役に立つ物ですが、そのうち翻訳の仕事や文書を作成することも全て機械がすることになるかもしれません。

誤字や変換ミスのない正確性な文書を作成するという意味では、既に人間よりもAIの方が存在価値が高い気がしますが、将棋やチェスのAI同士の戦いが全く面白くないことを考えると、まだ人間でなければならない分野もありそうです。

これからはAIが更に進化し、小説だけでなく絵画や作曲までも人間より上手にできる時代になるかもしれませんが、コンテンツは人の手により創るものでなければ味がありません。

人を排除した結果が人手不足に

残念なことに経営を圧迫するのは人件費であり、相次ぐ値上げで批判されているAdobe CCなどのクラウドサービスの費用は、実は微々たるものという現実があります。

もちろん、Adobe CC自体にはコンテンツを作成する能力がないなので、道具のひとつと人件費を比べるのは筋違いですが、将来的にAIが搭載されると人件費の削減につながりそうです。

ただ、バブル景気の崩壊後に人件費が安い中国へ製造現場をシフトさせてきたことで、仕事のない人や給料が上がらない人が増えてしまい国内の消費が長期にわたり低迷してしまいました。

当時の景気の冷え込みをみると人件費削減は仕方ないことですが、景気が回復した今も昔の様な安定した生活が見えてこないので、消費よりも節約することが若い世代を中心に身についています。

若い世代の人がお金を使わないことを批判するバブル世代の経営者もいますが、その様な状態にしたのは旧世代の経営者であり、お金がなくて諸費できない世代は何も悪くないと思います。

そんな安定した生活が見えない若い世代の人が、結婚や育児をコストパフォーマンスが悪いというのも無理もないので、人口減少や人手不足を本気で解消したいなら内需を拡大させる政策が必要になります。

実体経済を反映させない株価を気にしても仕方ないことで、子供を産んでも我慢する必要のない生活が続けられることがわかれば、次第に消費意欲が湧いてくるのではないかと思います。

最近は、スーパーだけではくコンビニエンスストアや、ファストフード店もセルフレジ化が進んでいますが、ロボットやAIは食事をしませんし車も買わないので、今後増々内需が冷え込む可能性が高くなります。

物価上昇で家が買えない時代に

2018年頃から落ち着きを取り戻し安定した相場を推移している新築マンションですが、2020年以降に大幅な下落をするかというと誰にもわからないので、どのタイミングで購入するかは自分で判断しなければなりません。

今は新築マンションや一戸建てを買う時代ではないと言う人がいますが、都内の中古マンションは一千万円近く値上げしている物件もあるので、新築を購入した方がお得な場合もあります。

例えば、住宅ローンは店頭表示金利から優遇した金利で組むのが一般的ですが、力のあるデベロッパーの物件を買うと更に金利を優遇してもらえることがありますが、中古物件はそうはいきません。

専門家の方は知識はあるかもしれませんが、実際に今このタイミングで新築物件を購入した人の経験ある意見ではないので、数値上だけで判断している意見はあまり参考になりません。

そんなことよりも、物価の上昇率と比例して伸びない賃金の方が問題で、新築マンションだけでなく中古マンションのローン審査が通らない若い人が多いのも事実です。

10年以上住んできたマンションが購入した時よりも、高く売却できので多くの頭金を用意できたので、新築物件に住み替えることができましたが、若い人が5千万円を超える住宅ローンを組むのは難しいと思います。

技術の革新により消えた物の話から住宅の話にまで発展してしまいましたが、今後このままだと新築分譲マンションや夢の一戸建てに住める人は限られてくるのかもしれません。

いくら低金利時代だからと、5千万円を超える住宅ローンを組むのは大変なので、親に支援を求める人もいますが、その瞬間から夢のマイホームが悪夢化す場合もあるので親の人間性をみて判断してください。

親に支援を頼めないので、仕方なく中古物件の住宅ローンを夫婦ペアで組む人も多いのですが、10年以内に出産する予定があるなら住宅ローン控除の対策なども考えて、割合を変えて契約するのがおすすめです。

我が家の場合、稼ぎの多い妻と一緒に半分の割合で住宅ローンを組みましたが、子供が産まれる2年から仕事をしていませんので、年末調整で受け取れる5年分の住宅ローン控除を放棄することになりました。

その時の教訓から、新築マンションに住み替えた時の住宅ローンは単身で組むことにしましたが、それも家を売却した差額を頭金として使えるからで、賃貸住宅に長年住んでいたらスタートラインにも立つことができませんでした。

そう考えると、これからも物価の上昇が続けば、新築の分譲住宅というものは一部の人間が住めるものであり、一般人には賃貸住宅に暮らすしかない世界になるのかもしれません。

保育園や幼稚園がなくなる日

待機児童や介護問題を解消するために、働き改革として自宅勤務を推進しようとしていますが、家で働きながら乳幼児の世話をするのは無理があると思います。

他にも子連れ出勤を推奨したりしますが、混雑する都心の通勤ラッシュの電車に子供を乗せる訳にもいかないので、子供を預けられる施設を増やしたり自宅で育児する方を支援した方が良さそうです。

そんな意味で、保護者の負担を軽くする幼稚園や保育園を無償化するのではなく、施設で働くスタッフの手当や労働環境を改善するのに使用した方が良いのではないかと思います。

これから幼稚園や保育園が無償化されるのは、2歳の子を持つ親としてはありがたいのですが、それ以前に預ける施設のスタッフに余裕がないのが不安で仕方がありません。

このまま、スタッフの手当や労働環境が改善されなければ、保育士の離職が加速したり保育士を目指す人も増えないので、施設そのものもが存続できなくなる可能性もあります。

いつの間にか人間中心の暮らしやすい世界という感じではなくなりましたが、だからと何も手を打たずに動かなければ状況は好転しないので、何かを失う前に得る努力をするのがおすすめです。

脳波新しいことを嫌うので努力を続けるのは大変なことだと思うかもしれませんが、どんなに苦手なことでも1日10分続けていけば次第に苦手意識がなくなります。

これからの時代、英語ができることが人生で有利に働くことはないかもしれませんが、人ができないことを続けられるということは大きな才能のひとつなので、自分に限界を設けず挑戦してみてください。