美しい景色は住まい選びのポイントになるのか

マンションのモデルルームに行くと、「高層階のお部屋を契約すれば富士山や東京タワーが見えます」、「東京スカイツリーや隅田川の花火が見えると自慢できます」と言われることがあります。

マンションからみえる景色は、好みの問題があるので否定するつもりはありませんが、素晴らしい絶景が常にマンションからみえる必要があるのでしょうか。

我が家からは遠くに小さな東京タワーや富士山、そして比較的大きなサイズで東京スカイツリーや花火大会の花火がみえます。

そんな環境のマンションに5年住んでみた感想について今回は書いてみたいと思います。

都会の景色は飽きる

東京タワーやスカイツリーが家からみえると言っても、1ヶ月もすれば飽きて自分から積極的にみることがなくなり、クリスマス限定カラーでも3分もすればみなくなります。

それでは、花火大会の花火はどうかと言うと、年に1度の行事なので毎年欠かさずみるのでは!と思うかもしれませんが、よほど近くでみえない限り10分もすればクーラーの効いた家の中でビールです。

新居に引越してから1、2年は自慢の為に親戚や友達を家に招き入れたりしますが、遠く離れた迫力不足の打ち上げ花火をみても、すぐに飽きてしまいます。

また、入居当時はマンションから花火大会の花火が見えたとしても、数年後に新たに高層マンションが建設され、突然花火が見えなくなるなんてこともあります。

やはり花火やタワーは、できるだけ近くで迫力を感じながらみるのが一番です。

日本で最も大きい山である富士山はどうかと言うと、どんなに高いマンションに住んでいたとしても、空気が澄んでいる季節でないと東京からは全く見えません。

ですが、冬場の空気が澄んでいる時に見える富士山はとても綺麗で、富士山が大好きな人なら高層階に住むのもありではないでしょうか。

正直、都会の景色はすぐに飽きてしまいますが、見晴らしが良いこと自体は決して悪いことではないのではありません。

最近、高級ブランドマンションのモデルルームと、建設予定地の見学をしてきましたが、目の前に大きな廃棄工場があるのをみて、見晴らしの良さは重要だと再認識しました。

眺望の素晴らしいマンションに長年住んでいると、例え高級ブランドのマンションでも目の前に廃棄工場が見えるようなマンションには、何も魅力を感じませんでした。

これは先に建設されていた工場が悪いのではなく、マンションを建設する場所を単純に間違えたのではないかと勝手ながら思っております。

都心で空き地を確保するのは困難なので仕方ないことですが、マンションデベロッパーのセールストークに惑わされるのではなく、住みやすさなどを考えて住む場所を決めた方がいいと思います。

理想と現実は違う

人それぞれ価値観は違うもので、個人的には明るい都会の夜景よりも自然豊かな景色の方が価値があると思いますが、無理して通勤をしたり、高い家賃を払う覚悟はありません。

若い頃は、都心近くに住むことにステータスを感じて高い家賃の住まいを借りたり、子供ができる年齢になると自然を求めるようになり、2時間以上の通勤時間をかけて高台にある家に住むことに憧れたりしますが、無理をすると長続きしなくなります。

それなりに年を重ねると、今すぐにでも海の見える場所に住んでみたいと思う方も多くいるのではないかと思いますが、やはり仕事のことを考えると通勤時間や電車の混雑状況を考えてしまいます。

知人に、自然豊かな環境で子育てたいという想いで、長野から東京まで新幹線で通勤をしている人がいますが、覚悟していたつもりでも辛いと感じる時があるそうです。

美しい海や山の景色に憧れるのは皆さん同じだと思いますが、本当に田舎暮らしが自分に合うのか慎重に決めてください。

それでも自然豊かな環境で生活したいと思う人は、まずは専門家や経験者に相談して話を聞いたり、生活の拠点にしたい場所に足を運ぶことが大切です。

家を買うことは人生そのものを決めることなので、時には大胆に時には慎重に考えて行動を起こすことが大切です。