NASに最強HDD WD Ultrastar DC HC500シリーズを搭載する意味

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NAS Western Digital Ultrastar DC HC520購入してみた

小規模オフィスやホームサーバとして使われるNASは、コストパフォーマンスと引き換えに性能と堅牢性を犠牲にした、簡易的なサーバという印象があるかもしれません。

確かにSATA規格のディスクは全二重や12Gbpsデータアクセスに対応していないため、SAS規格のディスクと比べるとパフォーマンスが劣るので、アクセスが集中する大規模なサーバの利用には向いていません。

ただ、中規模以下のオフィスで利用するファイルサーバや、映像アーカイブ、バックアップストレージとして利用するなら、今回紹介するSATA規格のディスクでも十分役に立ちます。

NASのためのディスク

今回購入したWestern Digital Ultrastar DC HC520のハードディスクは、エンタープライズ向けのサーバに使われるSAS規格に対応したモデルの他に、企業で使われるハイエンドなNASに搭載可能なSATA規格に対応した製品もあります。

SATA規格のディスクを搭載するサーバ製品もありますが、純正品以外のディスクを使うと警告を表示させるサーバもあるので、今回紹介するUltrastar DC HC500シリーズのディスクはNASで利用するのがおすすめです。

その気になれば、HP ProLiantサーバや映像編集用のワークステーションに、Ultrastar DC HC520を搭載することも可能ですが、SASやSSDと比べるとパフォーマンスの低下が気になります。

SynologyやQNAPのエンタープライズモデルにはSAS規格に対応した製品もありますが、SATA接続の製品が主流なのを考えると、やはりUltrastar DC HC500シリーズはNASに使うのがおすすめです。

SATAディスクが遅い理由

同じ6Gbps規格のハードディスクでもSATAとSASでパフォーマンスの差が大きいのは、SASディスクが全二重に対応しているのに対し、SATAは半二重でデータアクセスをしているからです。

全二重と半二重について簡単な例で説明すると、全二重が双方向が同時に会話できる電話だとしたら、半二重は片方の会話が終わるまで待たなければならないトランシーバーです。

昔懐かしの糸電話で会話をしてみるとおわかりになりますが、どちらの片方しか喋ることができない状況はとても非効率的で、意思の疎通に大幅な遅延が発生します。

一度、ネットワークスイッチの設定ミスで、広域イーサーネットを半二重通信にしたことがあるのですが、通信速度が低速になるだけでなくファイルコピーでセッションが切れるなど、様々なトラブルが発生するようになりました。

通信機器と違い、SATAディスクが半二重だからとファイルのコピーに失敗することはありませんが、データアクセス速度が極度に低下する場合があるので、利用目的を明確にして購入するのがおすすめです。

NASならSATAで十分

家庭のホームサーバーはもちろん、中規模以下の企業が使うファイルサーバや各種サーバのバックアップストレージとして使うなら、SATA規格のハードディスクを搭載したNASで十分です。

ただし、PCと同じSATA規格のディスクだからとNASに一般的なPCで使うHDDを搭載するのではなく、24時間365日稼働を想定したNAS専用ハードディスクや故障率が低く高速なSSDを使うことをおすすめします。

SSDとNASに搭載すると、データアクセス速度だけでなく管理画面の操作が快適になるので、1TBのストレージを構成するなら長寿命で高速なSSDがおすすめです。

PCサーバでも利用可能!?

これは余談ですが、古いサーバにUltrastar DC HC520を搭載したところHP ProLiantサーバは正常に認識し、Dell Power Edgeサーバは起動時に警告が表示されたものの普通に使えました。

Power Edgeに搭載されているRAIDコントローラーのファームウェアを、特殊な方法でOEM提供しているLSIのファームウェアに書き換えれば、警告表示を消すことができますが、当然ながらサポート対象外となります。

一部のメーカーは柔軟に部品の交換が可能な製品もありますが、ユーザー独自で調達したパーツの利用を制限するメーカーもありますので、あくまでも自己責任でお試しください。

企業なら最上位モデルを

テレビ番組の録画、動画編集、ファイルサーバのバックアップなど、大容量なストレージを必要とする場合は、データ消失時のダメージを考えた適切なクラスのハードディスクを選ぶのが何よりも大切です。

例えば、ハードディスクメーカーとして知名度の高いWestern Digitalの場合、ホームユーザー向けのNAS専用HDDにRed、企業や個人のプロフェッショナル向けにRed Pro、エンタープライズ向けにUltrastar DC HC500シリーズを用意しています。

テレビ番組の録画ならノーマルのRedで問題ありませんが、家族の写真や動画を残したり企業の大切なデータを保護するなら、ミドルレンジモデルのRed ProかエンタープライズのUltrastar DC HC500シリーズがおすすめです。

エンタープライズモデルが安い!?

ディスク容量次第では、ミドルレンジクラスの製品よりもエンタープライズモデルの方が低価格で販売されていることがあるので、必要なディスク容量だけで判断するのではなく価格をチェックしてから選んでください。

今回購入した12TBの容量を誇るUltrastar DC HC520は、エンタープライズ向けの製品なだけにコンシューマーモデルのRedとの価格差はかなりありますが、実はミドルレンジのRed Proよりも低価格で売られていました。

今回購入したエンタープライズ向けのUltrastar DC HC520(HUH7212ALE600)が大手通販サイトで約58,321円で売られているのに対し、同じ日に売られていたRed Pro(WD121KFBX)は71,213円でした。

通常はエンタープライズ向けの製品は、ミドルレンジモデルよりも高値で販売されていますが、供給量や為替の影響を受けて価格が大きく変動する製品でもあるので、タイミングやモデル次第では安く購入できる場合もあります。

大容量HDDはリスクが高い!?

1TBのストレージで足りるなら製品寿命が長いSSDが使えるので、レガシーな技術で故障リスクが高いHDDを使う必要はありませんが、ファイルサーバのバックアップや動画編集する現場では、当然ながら大容量のHDDは現役です。

NASに搭載可能なHDDの容量が10TBを越えてくると、搭載するディスクの本数を減らせるので喜ばしいのですが、それだけリビルドやマイグレーションに時間がかかり無防備な状態が長く続きます。

試しに、Synology DiskStation DS1819+にWestern Digital Ultrastar DC HC520を4本搭載し、RAID1からRAID5, RAID6へ順次ライブマイグレーションを実行したところ、約12日間かかりました。

流石にディスク交換時のリビルドなら数日で終わりますが、ディスクの耐久性に問題があるとストレージ再構成中の無防備な時に障害が発生し、全てのデータが消失してしまう恐れがあります。

過去にリビルド中の障害発生で、RAID復旧に400万円かけた事故を目の当たりにことがあるので、そうならないためにも大切なデータを保存するディスクはコストをかけるようにしています。

耐久性が重要

大容量のハードディスクはNASに搭載するディスクの本数を減らすことができますが、ディスク障害やストレージの拡張中に無防備な状態が続くので、使用するディスクは耐久性の高い製品を使用してください。

コンシューマーモデルのRedシリーズは保証期間が3年と、5年保証のミドルレンジやエンタープライズ向け製品よりも短いだけでなく、MTBFやWorkload Rateにも大きな差があります。

製品モデルによりMTBFやWorkload Rateに違いがあるので詳しくここでは説明しませんが、BackupExecでファイルサーバのフルバックアップを毎週する場合は、よりWorkload Rateが高い製品をお選びください。

エンタープライズ向けのHDDには他にもSeagate EXOSがあり、QNAPのNASで10本以上使用していますが、今回Western DigitalのデータセンターUltrastar DC HC520を選んだのは、このHDDがHGSTの技術を引き継ぐ製品だからです。

旧HGSTの技術を引き継ぐ製品

HGSTと言えば、金融業界のシステムにも使われるIBM System iのサーバに搭載される信頼性が高いディスクを提供していたメーカーで、デスクトップPCやNASのディスクでも人気です。

そのHGSTをWestern Digitalが買収し、エンタープライズ向けのハードディスクを刷新したのがUltrastar DC HC500シリーズで、今後企業向けNASに搭載するHDDの本命になるかもしれません。

現在、Seagateのエンタープライズ向けHDD EXOSとWestern Digital Ultrastart DC HC520の両方を使用していますが、どちらも仕様上の耐久性が高いので企業向けにおすすめな製品です。

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