WiFi6なのに遅い!?失敗しない11ax無線ルーターの選び方

スマートフォンで圧倒的な人気を誇るiPhoneやGalaxyが、最大通信速度10Gbpsに迫る高速無線規格であるWiFi 6に対応するという発表に合わせるかのように、各メーカーからIEEE.802.11axに対応した無線LANルーターが次々とは発売されました。

これから普及が進むであろう10ギガのインターネット接続サービスのパフォーマンスをフルに発揮させるためにも、WiFi6に対応した無線LANルーターやアクセスポイントが必要になりますが、様々なトラップが潜んでいるので製品選びは十分気を付けなければなりません。

フレッツなどの家庭用インターネット接続サービスは、仕組み的に契約したサービス通りの速度が出ないのは皆さんもご存知だと思いますが、1ギガを越えるネットワークは他にもボトルネックになる要素があり、期待通りのパフォーマンスを発揮させるのはかなり難しいのです。

有線ポートがボトルネックに

最大通信速度9.6Gbpsを誇るWiFi6の無線規格ですが、発売されている製品のハードウェア性能の問題なのか5GHzで4,803Mbpsが限界な上に、10Gbpsに対応したLANポートが少ないので注意が必要です。

こちらの表は、各メーカーから発売している家庭向けのWiFi6(11ax)対応無線ルーターのハイエンドモデルが搭載しているWAN/LANポートの速度を一覧にしたものです。

ASUS
GT-AX11000
Buffalo AirStation
WXR-5950AX12
Netgear
RAX200
tp-link
Archer AX6000

WAN:1Gbps×1
WAN/LAN:2.5Gbps×1
LAN:1Gbps×4

WAN:10Gbps×1
LAN:10Gbps×1
1Gbps×3

WAN:2.5Gbps×1
LAN:2.5Gbps×1
1Gbps×4

WAN:2.5Gbps×1
LAN:1Gbps×8
57,200円(参考価格)43,780円(参考価格)58,996円(参考価格)35,150円(参考価格)

各メーカーから発売されているハイエンドモデルなら、2.5Gbpsや10Gbpsに対応したWANやLANポートを一部搭載していますが、ミドルエンドクラス以下の製品は1Gbpsが主流です。

最新規格のWiFi6対応無線ルーターを購入しても、肝心の有線LANやWANのポートが1GbpsではWiFi5(11ac)と大差ありませんし、マルチギガポートで直接インターネット接続できない製品もあるので注意してください。

一般的な家庭で使われる無線ルーターの価格とハードウェア性能を考えると、有線LANポートを1Gbpsに制限した方が安定して動作するのではないかと思いますが、高速なネットワークを期待して購入したユーザーからすると少し騙された気になります。

様々なメーカーからWiFi6に対応した無線LANルーターが登場していますが、部分的でもWANとLANポートが10Gbpsに対応しているのは、調べた限りではBaffaloの製品だけでした。

3Gbps越えはハードルが高い!?

1Gbps以上のネットワーク帯域をフルに活用するには、インターネット回線の品質だけでなく、アクセスするPCやスマートフォンのストレージも高速でなくてはなりません。

SATA6GbpsのHDDを搭載したNASと、SSDを搭載したPCを10Gbpsネットワークで接続してファイルコピーしましたが、稀に3Gbpsを越えるトラフィックが発生する程度で平均が2Gbps前後でした。

クライアントとサーバー両方にNVMe SSDを搭載すれば、10Gbpsの帯域でもフルに消費することができますが、現時点のWiFi6対応無線ルーターは9.6Gbpsの半分しか速度がでない物ばかりなので、急いでWiFi 6対応無線ルーターを購入する必要はないと思います。

インターネット接続速度はともかく、SSDを搭載したPCからホームサーバのアクセス速度を少しでも快適にしたいのであれば意味がありますが、コストパフォーマンスが良いとは決して言えません。

こんな人におすすめ

正直、ベストエフォート方式のインターネット回線を利用していたり、サービス側で帯域制限をかけられていては、WiFi6対応無線ルーターも威力を発揮しませんが、ホームサーバーのアクセスが高速になり動画やテレビ番組の再生速度が改善する可能性があります。

WiFi 6(11ax)の規格で定められている性能をフルに発揮できる環境が整うのは、当分先になるのではないかと思いますが、最新の技術をいち早く取り入れたい方には、ハイエンドモデルの製品をお求めください。

WiFi6(11ax)対応機器を揃えたところで、家庭内ネットワークが快適になる不透明な部分がありますが、新しい無線規格は通信の高速化だけでなく接続性を向上させる技術も盛り込まれています。

例えば、3階建てや地下室のある戸建てや、複数アンテナの設置が難しいスモールオフィスや小規模な旅館の電波状況を改善したいと思う方にもおすすめです。

おすすめのWiFi6無線ルーター

導入コストや10Gbps未対応のポートがあるなど、高速通信を実現するための課題が解決されていない状況で、おすすめのWiFi6(11ax)対応ルーターを紹介するのは筋違いのような気がしますが、あえて購入するならBuffaloー製を選びます。

NEC Atermシリーズ以外の無線ルーターは正直良い思い出がないのですが、単純に10GbpsのWAN/LANポートを部分的にでも搭載しているのは評価しても良いのではないかと思います。

Buffaloの無線LANルーターが飛び抜けて優れている訳ではありませんが、本体が異常なまでに高温になるネットギアや独自の技術で囲い込みを狙うASUSよりサポートが頼りになります。

今の状況を考えると、WiFi5(11ac)の無線LANを購入した方がコストパフォーマンスが圧倒的に優れているので、最先端な技術をいち早く体験した方は自己責任でWiFi6無線ルーターをお試しくださいと言いたくなるのが正直な気持ちです。

ただ、大は小を兼ねるという言葉があるように、WiFi6対応無線ルーターを購入すれば現状よりは通信の高速化や接続性が安定するので、興味のある方は是非挑戦してみてはいかがでしょうか。