エコキュートを10年以上使い続けて感じたメリットとデメリット

オール電化住宅の代表的な設備とも言えるビルトインIHクッキングヒーターは、ガスコンロよりも安全で便利という口コミが徐々に広がり、賃貸住宅や新築分譲住宅での導入が増えています。

その一方で、ヒートポンプでお湯を沸かすエコキュートは、様々なメリットよりも初期導入費用の高さというデメリットが目立つので、ビルトインIHクッキングヒーターの様な普及率の増加はありません。

その原因はメリットの分かりにくさにあるのですが、実際にエコキュートを10年使い続けた後にガス給湯器の生活をしてみると、様々な利点について気が付くことができました。

エコキュートの基本

電気の力でヒートポンプを動かしてお湯を沸かすエコキュートは、ガスと違い瞬時に熱湯を沸かすことができないので、事前に沸かしたお湯をタンクに溜めておく必要があります。

電気料金が安い時間帯に一日で消費する分だけのお湯を自動で沸かすのがエコキュートですが、今まで生活してきた10年間でお湯が底を尽きたことは一度もありません。

ただ、年末年始などの宿泊を伴う来客がある時は、予めお湯を満タンにするなどの工夫が必要ですし、ガス給湯器の様に好きなだけお湯を使える訳ではありません。

使えるお湯に限りがあると考えてしまうと不便に感じるかもしれませんが、逆に言えばお湯を無駄に使わなくなるので、本当の意味でのエコな給湯システムだと言えます。

お湯の排出がはやい

エコキュートを使う生活からガス給湯器の生活に移行して感じた大きな違いは、お湯をタンクに溜めているエコキュートの方がお湯の排出がはやいので、圧倒的な短時間でお風呂のお湯はりができる点です。

その差は10分程度ですが、小さな子供がいるご家族ならお風呂のお湯はりがはやいと助かりますし、夜遅くに帰宅した時に温かいお風呂へすぐに入れるのはとてもありがたいことです。

お風呂のお湯はりがはやいだけならメリットに思わないかもしれませんが、シャワーを使用している時にキッチンや洗面所でお湯を使われると困ることがあるのはガス給湯器の方です。

冬はお湯の減りが早い

エコキュートはヒートポンプで温めた熱湯を保温効果があるタンクに溜め、使う時に水を加えて設定した温度にする給湯システムですが、冬になるとタンクが外気に冷やされてしまいます。

発砲スチロールでタンクの冷却を防止していますが、それでもタンク内部の熱湯が若干冷えてしまうので、気温が10℃を下回る季節は沸き増しをする回数が増えました。

ただ、使用していたエコキュートは進化の途中にある10年前の製品で、保温性能が向上しエネルギー効率が改善された最新の給湯システムを搭載したモデルなら気にする必要はないと思います。

備蓄飲料水になるタンク

エコキュートタンク内のお湯は、災害が発生した時の備蓄用飲料水になりますが、東日本大震災の時も水道水が使えたので、一度も非常用コックを捻ることがありませんでした。

当時は都内のインフラに大きな被害がないため、タンク内のお湯を非常用として利用することはありませんでしたが、万が一の時は役に立つのではないと思います。

ただし、温められたタンク内の湯は高温なので取り扱いには注意が必要ですし、一週間以上前に溜めたお水は飲んではいけないので、過度に期待するのは禁物です。

因みに、東日本大震災の時は重いタンクが震度5強の揺れで倒れないか心配しましたが、14階建てのマンションで一件も被害がでていないのが不幸中の幸いでした。

なので、エコキュートのタンクを直接地面に設置する戸建なら、地震による転倒事故を心配する必要はないと思いますが、それはしっかり固定されている前提でなければなりません。

エコキュートのタンクが簡単に倒れることはないと思いますが、万が一のことを考えてに大きな地震が起きた時は小さな子供が近づかないように気を付ける必要があります。

タンクの容量が重要

エコキュートのタンクは家族の人数に合わせて容量を選ぶ必要がありますが、建売住宅や分譲済みマンションの場合は既に決められている場合があるので、大家族の方は注意が必要です。

370リットルあれば三人から五人家族でも間に合うかと思いますが、それ以上に家族が増えるとなると不足する可能性がありますし、それよりも家族が少ないとお湯が無駄になります。

エコキュートは必要な分だけ自動にお湯を沸かす量の管理をしてくれるので、仮にタンクの容量が大きくても問題にはならないのかもしれませんが、容量が極端に少ないと不便に感じてしまいます。

エコキュートメンテナンス

10年間一度も壊れることなく使い続けることができたエコキュートですが、8年経過したタイミングでメンテナンスサービスに加入し、配管の清掃と壊れやすい部品の交換を行いました。

配管内部を専用の薬剤で清掃することで、溶け出したゴムが10日間程度出続けましたが、小さな子供がいるご家庭なら定期的に清掃するべきだと思いました。

メンテナンス作業をしてくれた人によると、エコキュートの構造は複雑ではないので簡単には壊れないが、バルブだけは保守が切れる前に交換するのがおすすめとのことでした。

バルブの交換費用は1万5千円程度だと記憶していますが、エコキュート本体を丸ごと交換する費用を考えると、かなり格安なので10年経過する前に必ず交換してください。

不便と感じたことはない

10年以上エコキュートを使い続けた後にガス給湯器を使う生活になりましたが、どちらの給湯器を使用しても困ることがないというのが正直な感想です。

唯一エコキュートで気にしなければならないのが、深夜・早朝に稼働する室外機の配置場所で、寝室の近くにあると音が聞こえるので窓を開けて寝られなくなりますが、それはエアコンも同じです。

ガス給湯器と比べて光熱費を安く抑えられる可能性があるエコキュートですが、200Vの専用電源が必要になりますので、オール電化住宅を建てる前提でなければ導入できません。

オール電化住宅はガス住戸と比べて光熱費が安く抑えられると言われていましたが、東日本大震災の時に槍玉に挙げられ電気料金の割引がなくなる事態が起きました。

その後、電力の自由化で電気料金が安くなりましたが、契約する電力会社のプラン次第で割高になるので、徹底的にシミュレーションする必要があります。

高額な導入費用などを考えると、特別な理由がない限りガス給湯器の方がおすすめですが、毎月の光熱費を大幅に抑えられる可能性があるなら検討する価値は今でも十分にありそうです。