知らないと失敗するリモートワークに最適なパソコンの選び方

リモートワーク用にパソコンの購入を相談されることがありますが、個人的におすすめな製品を紹介よりも、購入してはいけないメーカーを教えた上で、後は自分の好みに合う機種を選ぶようにアドバイスしています。

ただ、リモートワークのやり方次第では、利用するパソコン次第で作業効率に大きな影響がでる場合があるので、要件に合わせたオペレーティングシステムやパソコンタイプなど、大まかな選択方法も一緒に教えています。

自宅で使うパソコンなので完全自分の好みで購入するのは間違いではありませんが、いざ自宅やリモートワークで仕事ができないとなると大枚を叩いた意味がなくなるので、一番の目的に合わせた製品選びはとても重要になります。

BYODテレワークの失敗

大規災害の影響で突発的に在宅勤務を余儀なくされたのなら仕方がありませんが、テレワークが日常的もしくは長期化する可能性があるなら、作業用のパソコンだけでなくインターネット接続費用はできる限り企業側が負担すべきです。

従業員数100人の企業が個人の通信インフラを頼りに在宅勤務を一斉に開始した場合、情報システム部門は100通りのインターネット接続環境に対応可能なシステムの構築やサポート対応が必要になり、全スタッフがテレワークを開始できるまでかなりの時間がかかります。

もちろん、全従業員の自宅に光インターネット回線の契約をするとなると数ヶ月単位の時間がかかるので、データ通信制限やネットワーク混雑などの課題があるモバイルWi-Fiルーターの支給が前提となりますが、スタッフに費用の負担を丸投げする姿勢を問われる悪手より良いと思います。

社会全体がリモートワークを一斉に開始することで通信が混雑したり、データ通信量制限が原因で会社ネットワークにつながらなくなる可能性があるので、自宅のインターネット回線を利用しなければならない時もありますが、それはあくまでも保険として考えるのがおすすめです。

法人契約のモバイルWi-Fiルーターでも混雑時に接続しにくい状況が発生したり、パケット容量の制限で通信速度が低速になることがありますが、個人で契約するよりも費用が格段に安いキャリアもあるので、まずは見積りの額でみてから判断しても良いと思います。

インターネット接続環境と同じでパソコンも法人が用意することで、在宅ワークにかかる総合的なコストを抑えられることもあるので、短期的なスパンで物事を考えるのではなく中長期的に計画を練りながら、リモートワークを始めるのがおすすめです。

リモートワークに最適なOS

ひと昔にスタバでMac Bookを使うのが流行しましたが、実はMac OSはリモート接続が必要な作業が不向きで、ファイルサーバのファイルにアクセスしたり、会社にあるパソコンをリモート操作するのが少し苦手です。

通信環境の影響もありますが、Macで作業するなら本体にインストールしたアプリとローカルドライブに保存したデータを利用するか、クラウドサービスを利用した業務に留めるか、社内リソースのアクセスは有料リモート操作ソフトによる遠隔操作がおすすめです。

Appストアからインストール可能なマイクロソフトのリモートデスクトップ接続アプリを使えば、VPN接続した会社ネットワーク内にあるWindowsは辛うじて操作できますが、Macを操作する画面共有機能はウィンドウ操作やアプリケーションの反応が悪く、とても仕事に使える代物とは言えません。

また、社外から会社のパソコンへリモートアクセスする場合に問題になるのが、スリープ解除の設定やトラブルが発生した時の強制的な電源操作ですが、MacはWindowsのグループポリシーや電源制御が可能なvProが使えないので、リモートワークで必要な措置を迅速に施すことができません。

Mac OSでも資産管理ソフトを活用すれば部分的な管理が可能ですが、VPN接続やリモート操作した時のレスポンスの悪さや、高い管理コストのことを考えると、リモート操作先のパソコンはMacよりも、Windows PCに統一した方が在宅勤務しやすいと言えます。

因みに、Chrome Bookにも一部のファイアウォール用VPN接続ソフトや、Microsoftリモートデスクトップアプリのインストールが可能なので、自宅から会社のWindowsパソコンを操作してみましたが、特にストレスを感じることなく作業することができました。

作業効率に影響するパソコンタイプ

MMO RPGなどのオンラインゲームや株の取引きをする方なら、自宅にデスクトップパソコンがある方がもいますが、外出先でのリモートワークや自宅の作業スペースの問題、子供の世話をしながらリビングで仕事をするとなると、持ち運びが可能なノートパソコンの方が便利です。

ただ、複数のソフトを同時に起動して仕事をする経理系の仕事や、レイアウトソフトを使うデザイン業務などを画面が小さなノートパソコンでするのはとても効率悪いので、外部接続用の大画面ディスプレイ、キーボード、モニターの下に物を置ける台の購入をおすすめします。

その気になればリビングの大画面液晶テレビをノートパソコンと接続して外部接続のディスプレイとして利用することも可能ですが、24インチを超える画面サイズになると逆に作業効率が落ちる場合もあるので、パネル位置の調整が可能なパソコン用の液晶モニターがあると便利です。

リモートワーク用にパソコンを買うなら、オンライン会議がやりやすいカメラ内蔵のノートパソコンの購入をおすすめしますが、低価格な製品は作業効率がとても悪くなるので、最低でも本体価格が15万円以上する製品の購入をおすすめします。

パソコンの低価格化が進み消耗品感覚で買い替えるスタイルに変化したからか、ノートパソコンは壊れやすいという印象があるので、個人的にこれがおすすめと言えるメーカーは特にありませんが、折角なのでリモートワークに使用してみたパソコンの感想について紹介します。

Macintosh

Appleのパソコンは漢字Talk時代と比べると各段に安定したことや、ユニコードのネイティブ対応、Active Directory認証が利用可能など、デザイン業務以外の仕事でも使う機会が増えてきましたが、一元管理に不向きという側面があるため、あまり企業向けのパソコンとは言えません。

10万円以下のWindowsノートパソコンを購入するくらいなら、Mac Book Airを購入した方が断然仕事に使えますが、VPN接続時のネットワークの遅さとキーボードの打ちにくさが気になるので、仕事と関係がない趣味の世界で使うようにしています。

最新Mac Book Air

安定した高速通信が可能な環境であれば画面共有も可能かもしれませんが、10Mbpsで契約しているインターネット回線やモバイルWi-Fiルーターだと操作が困難なことや、ファイルサーバの共有フォルダを開くだけで時間がかかることを考えると、とても快適に仕事ができるとは言えません。

ただ、会社のリソースにアクセスする必要がない、リモート操作するパソコンはWindows、クラウドサービスを利用すれば仕事ができる、有料のリモートコントロールソフトを導入できるという方は、事前に検証をした上でApple製品を購入しても良いのではないかと思います。

Windows

昔から企業向けWindowsパソコンを購入するならDellと決めていましたが、ノートパソコンの電源接続端子の内部が壊れたり、トラックパッドのボタンが押せなくなるなど、最近はあまり良い印象がないのでHPのノートパソコンを購入するようにしています。

HPの製品が特別良いという訳ではありませんが、賛否両論ありながらもデザインを変更してみたりAIを活用した独自のセキュリティ強化をしてみたりと、事業規模を縮小している国内メーカーと比べるとパソコンに力を入れている雰囲気があります。

最新HP Elite Book

もちろん、超低価格帯の製品はプラスチック部品が多く耐久性に難がありますし、性能も高くないので使い捨て感覚で使うことになるのでおすすめしませんので、購入するなら延長保守を付けて15万円以上する製品を購入するのがおすすめです。

DellとHPと同じくコスパが優れたパソコンと言えばレノボもありますが、他国で販売した製品にマルウェアが仕込まれていたことや、IBM時代に販売していたThinkpadと比べると頑丈なイメージが薄れた気がするので、最近は購入するのを控えています。

マイクロソフトのSurfaceシリーズは、キーボードがとても打ちやすくて持ち運びしやすいのでモバイルパソコンのなかでは一番のおすすめですが、Surfaceドッグを使用して外部モニターやネットワーク接続を行うと、とてつもなく不安定になるという経験をしたことがあります。

最新のSurface Pro

一般的に市販されているUSBタイプの有線LANアダプターを使えば問題なく使えたので、Surface本体の問題ではないと思いますが、自宅に籠りながら外部モニターや有線LANケーブルを接続して作業をする必要がある時は少し心配です。

初代RTの頃から良い思い出がないので、これからもSurfaceを購入する機会は少ないと思いますが、Surface BookやSurface Studioなどの魅力的な製品が手に届く価格になれば、再度購入を検討しても良いと思う時もあります。

そして最後に紹介するのがタフなノートパソコンとして定評があるLet’s Noteですが、今まで50台以上購入しても壊れたことがないので噂通りの丈夫さがあると思いますが、高すぎる価格の割には性能があまり良くないので、使い方次第では困ることがあります。

Chrome Book

Chrome BookもVPN接続用アプリがファイアウォールメーカーから提供されている場合があり、Microsoftリモートデスクトップのアプリをインストールすれば、自宅から会社ネットワークへ接続しパソコンをリモート操作することができます。

インターネットに接続してG Suiteなどのクラウドサービスを利用すれば、スプレッドシートやドキュメントなどの簡単なデータの作成であればできますし、ブログ記事のアップやWebサイトの更新作業であれば、他のOSと同じ要領で行うこともできます。

ただ、プレゼン資料を作成する時にフォントが豊富に使えないことや、PhotoshopやIllustratorなどの便利な画像編集ソフトが使えないのも致命的なので、MacやWindowsと同じ使い方を想定して購入するのはおすすめしません。

仮にWindowsアプリを仮想環境にインストールして使えるようにしたとしても、Photoshopなどのソフトはサポート対象外となるので、Chrome Bookはあくまでもインターネットに接続するためのパソコンだと割り切ることが大切だと思います。

低コストで導入が可能なChrome Bookで、どこまでリモートワークが可能なのか興味があるので、別の機会に検証することにしますが、今の段階では会社と同じ要領で仕事をするには、他のOSをリモート操作する必要がありそうです。