NAS専用HDDの寿命は何年!?ハードディスクを限界まで使い続けてみた

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NAS エンタープライズHDD EXOS

一般的に家庭向けのNASで使われるHDDの寿命は3年、エンタープライズ向けHDDの寿命は5年とされていますが、本当は何年使うことができるのか壊れる限界まで使い続けてみました。

製品寿命を越えて壊れるまで使用したのは、NASに搭載する家庭向けのWestern Digital Redと企業向けのRed Pro、そして比較対象としてエンタープライズ向けサーバに搭載されているSASディスクです。

他にも、家庭向けのSeagate IromWolfや企業向けのIron Wolf Pro、エンタープライズ向けのWestern Digital Ultrastarシリーズ、Seagate EXOSなどを使用していますが、今のところ故障する気配がありません。

HDDの寿命は何年!?

ハードディスクにも様々なタイプがあり、一般的なパソコンに搭載されている物は保証が1年、8ドライブベイまでのNAS専用の物が3年、それ以上のプロやエンタープライズ向けが5年に設定されています。

通常のファイルサーバなら保証期間が切れる前にシステム全体を交換するので、ディスクが故障するまで使い倒すことはありませんが、レプリケーションやバックアップストレージなら多少壊れても致命的にはなりません。

そこで毎週50TB以上のデータをフルバックアップするレプリケーション用サーバと、NASストレージのディスクを壊れるまで交換せずに使い続けたところ、実に興味深い現象が起きました。

まず、旧Western Redなどのホームサーバ向けのNAS専用HDDですが、毎日休むことなくバックアップデータを書き続けていた割りには丈夫で、今まで20本以上導入していますが5年以内に故障したことがありません。

どちらかと言うと、エンタープライズ向けのファイルサーバに予め搭載されているSASディスクの方が故障率が高く、12本搭載可能なシステムで5年以内に2本程度故障する傾向があります。

ホームサーバ向けのNAS専用HDDは5年を経過すると電源を落として再投入したタイミングで突発的に故障することが多いのに対し、エンタープライズ向けのSASディスクは徐々に蝕まれて故障する傾向があります。

不思議なことにエンタープライズ向けのSASディスクはファームウェアにタイマーが仕組まれているのか、最大保守期間の7年が経過したタイミングで多発的に故障するようになりました。

同時購入したサーバのディスクを引き抜いて交換してもリビルド中に失敗するなど、3か月に12本中8本が次々と故障するのをみると、エンタープライズクラスのディスクでも5年を経過したら交換するのがおすすめです。

因みに過去に購入した家庭向けのNASには、デスクトップパソコンや外付けHDDに使用されるディスクが搭載されていたのですが、パフォーマンスが悪いだけでなく壊れやすいのでテレビ番組の録画以外には使いませんでした。

過去に家庭向けNASに搭載されていたWD Greenで仮想マシンのバックアップをしてみたところ、ジョブの完了に時間がかかるのはもちろん2年も経たずに物理破損したという苦い思い出があります。

それとは対照的に、約100台購入した東芝製の外付けHDDを8本バックアップ用にリサイクルしてみたところ、パソコン用にもかかわらず3年間無故障で利用できたので、用途違いでもメーカーの差は意外と大きいのかもしれません。

NAS専用HDDの選び方

今まで導入したことのあるNAS専用HDDは200本程度なので、統計や傾向を語るには説得力がないのかもしれませんが、NAS専用HDDならホームサーバレベルの製品でも簡単に故障することはありません。

ただ、人気のWestern Digital Redも、エントリークラスの製品でRAID構成に向かないSMRを採用するなど迷走している感があるので、最近はSeagate製品を中心に購入するようにしています。

批判を受けてからはRAIDに向かないSMR版をRed、ノーマルRedのCMR版をRed Plus、上位版をRed Proに別けて明確化しましたが、はじめてNAS専用HDDを購入する時には戸惑うだけです。

因みに、8ドライブベイ以上のNASにはPROモデルを使用したり、重要なデータを保存するシステムにはエンタープライズモデルを搭載するなど、用途に合う製品を選ぶ必要があります。

ある大規模なオンラインサービスを提供する企業が、毎年NAS専用HDDの故障率を公表していますが、使用している製品モデルと用途の温度差がありすぎるのが少し気になるところです。

オンラインサービスや企業向けのファイル共有で使うNASには、Seagate EXOSシリーズやWD Ultrastar DC HC550シリーズなど、エンタープライズ向け製品を使うのがセオリーです。

エンタープライズ製品とコンシューマーモデルには価格差がありますが、使用するドライブ数が少ないNASであれば家庭向けの用途でも搭載するだけの価値は十分にあります。

RAID構成には向かないSMR形式のHDDを掴む可能性を考えると、家庭向けでも最低限PROモデルを選択するのがおすすめですし、家族や友人との大切な思い出を少しでも堅牢に守りたいのなら、エンタープライズ製品を選んでも構いません。

流石に10TB以上のエンタープライズクラスの製品になると高額になりますが、4TB以下の容量だと意外と手が届く範囲の価格なので、保存するデータの価値と製品価格を比べてみる価値は十分にあります。

今までNASを導入してきた経験からすると、最低限WD Red ProやIronWolf Proなら安全にデータを守るだけの耐久性がありますが、万全ではないので保証期間を超えるまで使い続けないことと、必ずバックアップを取得してください。