住みたい街イコール住める街ではないという現実

就職、結婚、出産など、人生の大きなイベントを迎える時に考えるのが、これから暮らすことになる新天地での住まいのことではないでしょうか。

よく雑誌やテレビなどで紹介される、東京の住みたい街ランキング上位は、吉祥寺、恵比寿、目黒、表参道などがあります。

これら人気エリアの賃貸住宅に住むことは可能でも、新築の一戸建てや分譲マンションを購入するとなると話は別で、余程収入が高い人でなければ住宅価格の相場をみた瞬間に、選択肢から外す人が多いのではないでしょうか。

企業が行うアンケートは目的がある

人気エリア

住みたい街ランキングが常に存在するのは、比較的みんなが興味を引く話題だからという訳でなく、不動産会社の戦略として使われるからです。

不動産関係者によると、賃貸をメインで取り扱う不動産会社は、家賃が安くて回転率の悪い地域の賃貸物件を扱うよりも、家賃が高い人気エリアの方が回転率が良く、効率的に稼げるという話でした。

人気が高いエリアの物件を多く抱える不動産会社が、住みたい街ランキングを発表することで、効率良く集客できるという訳です。

アンケートの対象は戦略で違う

企業が行う活動にはお金を稼ぐという明確な目標があり、その手段のひとつとしてアンケートが行われます。

そんなアンケートも、時には思惑通りの結果になるように、アンケートの対象を限定して行われる場合があります。

これは企業活動としては当然のことで、結果を捏造せずに思惑通りの結果に導くことのできる企業は、ある意味稼げる会社の証だと思います。

例えば、人気エリアの賃貸住宅を多く取扱う不動産会社は、未婚で繁華街好きの20代~30代を中心にアンケートを行い、人気エリアの素晴らしい生活を強調します。

一方、30代~40代に対しては、これから分譲のマンションや戸建てを購入する可能性が高いので、住宅情報誌を読んでもらうためのコンテンツの一部としてアンケートをすることが多いようです。

住みやすい地域とは何かを考える

多摩川土手

世間一般的に言われている人気エリアで暮らすのも悪くありませんが、自分や家族が暮らしやすい地域とはなにかを考えてみてください。

車がないと不便なのに、人気の高い地域だからと高い住宅ローンを組んで住む必要があるのか、子育てをするなら繁華街よりも自然のある地域が良いのではないかなど、考えることは沢山あります。

若い頃は無理したとしても、永住する家を購入する時は、他人のアンケートやステータスを気にして住む地域を決めるのではなく、自分や家族にメリットのある地域がどこなのか考えて探してみてください。

私の友人に、ステータス好きの金持ちがいて渋谷の道玄坂にある1ルームのマンションを購入したのですが、半年もすれば人混みに嫌気がさして実家のある田舎に暮らしたくなるとこぼしていました。

その彼は、5年住んでいたマンションを賃貸マンションとして人に貸し、彼女を置いてひとりで田舎に戻りました。

若い頃は人気エリアに住みたくても、そこに永住するとなると話は別のようです。