ホームサーバ(NAS)にSSDを搭載した時の効果と意味について

SynologyやQNAPのハイエンドなNASには、HDDよりも読み書きが高速なSSDを搭載したり、M.2規格のSSDをキャッシュとして利用できる製品があります。

テレビ番組を録画したり家族の写真を保存するだけなら低速なHDDでも十分ですが、NASへの同時アクセスが多い企業や一部のヘビーユーザーはストレスを感じるかもしれません。

より快適な環境を求めるユーザーに応えるべく、高速なSSDの搭載を可能にするTrimに対応したりキャッシュとして利用できるNASもありますが、投資に対する費用対効果はどうでしょうか。

そこで今回は、これからホームサーバーの購入を検討している方や、既存のNASのディスクをSSDに交換しようと考えている方のために、NASにSSDを搭載する意味があるのか検証してみました。

検証に使用したNASとSSD

今回の検証に使用したNASはSynology ds918で、この製品は3.5インチもしくは2.5インチのディスクを4本、底面のスロットにM.2(Type2280)のSSDを2本搭載できるハイエンドな製品です。

家電量販店などで売られている一般的な家庭向けのNASには予めHDDが搭載されていますが、Synologyの製品は自分で好きなディスクを選んで搭載することができます。

このスロットに搭載するM.2(Type2280)のSSDはキャッシュ専用になるのでデータの保存ができない上に、SSD1本だと読み込み専用のキャッシュになります。

読み書き可能なSSDキャッシュを利用する場合、破損したキャッシュデータが書き込まれないようにRAID-1構成にする必要があるので、必然とM.2(Type2280)のSSDが2本必要となります。

今回はあくまでもSSDを搭載したNASのパフォーマンスの検証なので、使用しているSSDは数年前に購入した小容量の古い製品を使用していますが、それでもHDDよりは高いベンチマークの結果がでています。

ストレージマネージャーでインストールされているデバイスの一覧をみると、Intelの256GB NVMe SSD2本がキャッシュデバイスとして認識されているのがわかります。

キャッシュとして設定しているM.2(Type2280)のSSDは、他のPCで利用しているのを一時的に借りた物なので容量が256GBもありますが、NASのキャッシュで使用するなら128GB以下の容量でも十分です。

因みに、PCI-Expressに対応したインテル760p SSDPEKKW256G8XT従来のパフォーマンスを確認するために、PCでCrystal Disk Markのベンチマークを実行した結果がこちらとなります。

Crystal Disk MarkのSeq Q32T1のRead値が1696.9MB/sと期待よりも低い値になりましたが、これはテストサイズを32iBにしているからで値を変更すると結果も変わります。

デフォルトの1GiBにすると従来のSSDでは到達できそうにないベンチマークの結果となりますが、数字ほど劇的にパフォーマンスが向上したという感じはしません。

因みに、M.2対応SSDにはPCI-ExpressとSATAに対応している製品があるのですが、PCもしくはSSDのどちらか一方がSATA規格だと従来のSSDとパフォーマンスは変わらないので注意が必要です。

NASにSSDを搭載した時のパフォーマンス

ここからが本題ですが、HDDよりも高速なSSDをNASに搭載した場合、どれくらい高速なディスクへのアクセスが可能になるのか、HDDと比較しながら検証してみました。

まずは、NAS用HDDであるWestern DigitalのRedをSynologyのNASに搭載し、ベンチマークソフトで速度を計測した結果がこちらですが、先程紹介したM.2規格のSSDとは比べ物にならない値です。

因みに、こちらのベンチマーク結果は、M.2規格に対応したSSDのキャッシュをオフにした状態の値なので、純粋にHDDを搭載したNASのパフォーマンスとなります。

続いては、NASにintel SSDSC28W180H6を搭載してベンチマークソフトで計測した結果がこちらですが、Western Digital RedのHDDと誤差程度のパフォーマンスの違いとなりました。

HDDよりも高速なSSDを搭載したのにパフォーマン結果が誤差程度の違いしか現れないのは、NASに搭載されているネットワークアダプターに原因があります。

ハイエンドなNAS Synology ds918には、1Gbpsに対応した高速なネットワークアダプターが搭載されているのですが、それでも6GbpsのSATA規格よりも大幅に速度が落ちます。

ネットワークを経由してNASにアクセスする以上、どんなに高速なSSDをNASに搭載しても通信速度を越えたディスクアクセスはできないので、NASへのファイル読み書きが高速になることはありません。

因みに、PCI-Expressに対応したM.2規格の高速なSSDをキャッシュに使用しても結果は同じで、いくらNASのディスク周りを高速化してもネットワークの速度が遅ければ従来のパフォーマンスを発揮できません。

SynologyのNASには10Gbpsに対応したds1817という製品があるので、ベンチマークでパフォーマンスを計測したところ、Seq Q32T1の読み込み速度が228.0まで上がりました。

ベンチマークの228.0MBは1,824Mbpsなので1Gbps以上の通信速度が出ていることになりますが、それでもSSDの性能をフルに発揮しているとは言えません。

因みに、10GbpsのLANに対応したds1817は、ネットワークスイッチを介さずCAT7ケーブルでダイレクトにサーバ接続し、ファイルをコピーしたところ3.4Gbps程度の速度が出ていました。

接続するケーブルがメタルのLANケーブルではなく光ケーブルならHDDやSSDの性能を限界まで引きだせるかもしれませんが、NASはネットワークを経由してアクセスする以上、SSD本来の速度で読み書きはできません。

10Gbps標準搭載のNAS Synology DS1817を購入してみた

2017.08.21

NASにSSDを搭載する意味

NASにはネットワークを経由してアクセスする以上、SSDやHDDの性能をフルに発揮できないのはベンチマークの結果からもわかりますが、それでは本当にディスクをSにする意味はないのでしょうか。

テレビ番組の録画や写真を保存するためだけのNAS製品であればディスクをSSDにする意味はないのかもしれませんが、SynologyやQNAPなどの高機能でアプリケーションを追加できる製品であればメリットがあります。

PCのディスクをSSDにするとOSの起動や操作が高速になるのと同じで、ハイエンドなNASのディスクをSSDにすることで、管理画面の操作性が大幅に向上し快適になります。

NASに保存した動画や写真をスマホやPCで楽しみたい時に、NASに搭載されているディスクがHDDだと読み込み時間にストレスを感じてしまいますが、SSDだと再生までの時間を大幅に短縮することができます。

単純なデータの保管場所としてのNASであればディスクをSSDにする必要はありませんが、家族や友達と撮影した写真や動画などの再生を楽しみたいのであればSSDにするメリットは十分にあります。

また、SSDはHDDの様に内部にモーターなどの駆動する部品がなく製品寿命も長いので、データーをより安全に保管したい人で予算に余裕がある人にもおすすめです。

ただし、SSDを使用したキャッシュについては高い効果があるとは言えないので、100人以上のアクセスを必要とする企業か常に最高の環境を手に入れたいヘビーユーザー以外は無理に使用する必要はないと思います。

NASにSSDを搭載するなら

SSDにはSLC, MLC, TLC, QLCの製造方法の違う種類があるのですが、それぞれ製品寿命や堅牢性に違いがあるので、NASにSSDを搭載するなら価格だけで選んではいけません。

大切なデータを保存するNASに安価なTLCやQLCのSSDを搭載するのはリスクが高いのでMLCをおすすめしますが、2TBの容量になると1個が10万円近い値段になるので気軽に手を出せません。

NASに接続するネットワーク速度の問題やSSDの価格、堅牢性などをトータルで考えると無理にSSDにする必要はありませんが、常に別ディスクへバックアップをするのであれば検討する余地もありそうです。

NAS初心者におすすめな家庭用ホームサーバの正しい選び方

2017.09.20



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