累積100万時間の稼働実績で判明したおすすめのNAS用HDD

写真やドキュメントが消えて困るのは個人や企業も同じことで、大切なデータを保存するPCやNASに搭載するストレージは、少しくらいコストが高くても信頼性の高い物を選びたいものです。

大切な家族の写真を保存したHDDが物理的に壊れたため、データ救出を専門業者に依頼したところ1TBで20万円を超える見積もりになり、仕方なく復旧を断念した知人が何人もいます。

企業向けのHDDやSSDでも保証期間内に故障することはあるので、一概にどの製品を買えば絶対に安心ということはありませんが、少なくともNASに搭載するディスクは可用性を高めた製品を選んでください。

そこで今回は、累積100万時間以上使用したNAS用HDDの導入実績から考える、これからも継続して使いたいNAS用HDDの感想や購入時に気を付けるポイントについて紹介します。

長期保証で安心のNAS用HDD

一般的なPCに搭載されているHDDは1日8時間の稼働を前提として作られているのに対し、NAS専用HDDは24時間365日の稼働を想定した品質で作られていることから、保証期間も長く設定されています。


NASは24時間365日稼働が前提

データの一時的な保存に利用するHDDであれば1年保証の製品でも構いませんが、繰り返し視聴するドラマや思い出の写真や動画などを保存するディスクは、最低でも3年の長期保証があるNAS用がおすすめです。

HDDの老舗Seagate言えばIronWolfシリーズ、バランスが良く人気のWestern DigitalならREDシリーズ、高い価格と信頼性のHGSTならDeskstar NASですが、HGSTはWestern Digitalの傘下になり今後どうなるのか注目です。

外付けHDDとは違い、持ち運びをしないNASは強い衝撃を受けることがないので壊れにくいと思うかもしれませんが、NASのHDDは継続的に発生する細かな振動や熱に耐えられるように設計されています。

HDDは熱や振動が影響して故障率が上がることがあるので、NASに複数のディスクを搭載するなら駆動系がなく発熱の少ないSSDが理想ですが、コストを考えるとNAS専用HDDを利用するのが現実的です。

SATA接続のNAS専用HDDはエンタープライズ向けのSAS HDDと比べるとパフォーマンスで劣りますが、24時間365日稼働させることを前提に設計されているので、通常のHDDよりも故障率は低くなります。


ノーマルモデルとプロモデルがある

NAS用HDDには5,400rpmで保証期間が3年の一般的な家庭やスモールオフィスで使うノーマルモデルの他に、7,200rpmで保証期間が5年の中規模から大規模の企業が使うプロモデルがあります。

ノーマルモデルとプロモデルの違いは回転数や保証期間、NASに搭載可能台数の違いの他に1年間にアクセスするデータ量の違いや、平均故障間隔 (MTBF)の違いなど、信頼性に関わる仕様の違いもあります。

例えば、Western Digital Red PROはワークロード率(TB/年間)が300TBなのに対し、ノーマルタイプは180TBという違いがあるので、中規模以上のファイルサーバやバックアップストレージにはノーマルモデルは仕様上向いていません。

ただ、実際にノーマルモデルに年間500TBのデータアクセスを5年以上壊れずに動作している製品もあるので、ノーマルモデルとプロモデルで品質の差がどれ程あるのか疑問です。

Seagateに関して言えば、IronWolf Proの価格でより堅牢に設計されているExosシリーズも購入可能なので、企業向けの製品を必要とする方はExosも視野に入れて検討するのがおすすめです。

NASに必要なディスクの容量

NASを購入する時に決めなければならない重要な要素のひとつがディスクの容量で、NASを利用する人数や保存するデータの種類に合わせて、適切なサイズの物を選ばなければなりません。

QNAPやSynologyのNASはディスクを後から大きな容量に交換したり拡張することができるので、保存するデータ量が少ないは初期費用を抑えられる中容量のディスクがおすすめです。


写真中心なら3TBがおすすめ

NASにテレビ番組を録画するのであれば3TBの容量でも物足りなさを感じる時がありますが、ドキュメントやスマートフォンで撮影した写真や動画が中心であれば、3TBもあれば十分です。

例えば、1TBのディスクであれば5MBの写真を20万枚以上の保存が可能で、仮に5年間使用できたとしても毎日100枚以上の写真を保存し続けなければ、ディスク容量を使い切ることができません。

写真やドキュメント中心なら2TBでも十分な容量ですが、Western DigitalのNAS用HDDであるRedの2TBと3TBでは価格差が2,000円以下、1TB単位のコストは1,000円以上安いことを考えると3TBがおすすめです。


大容量が必要なら8TBがおすすめ

高機能なNASは後からディスクを追加したり交換してストレージの容量を拡張することができるので、導入コストを抑えるために最初は3TB前後のHDDを購入するのも悪くありません。

ただ、テレビ番組の録画やファイルサーバのバックアップ用ストレージとしてNASを使用する場合、後からディスクを追加して長時間リビルドさせるよりも、最初からデータ量に合うHDDを用意した方が無駄がありません。

我が家では、テレビ番組の同時録画をするために2TBのHDDを搭載したNASの他に、500GBのnasneとプライベートビエラを利用していますが、容量不足を補うために画質を落として録画しています。

フルHD時代のテレビ番組の録画なら最低2TBあれば頻繁に容量不足で悩むことはありませんが、長期間で録画データを残したり新4K・8K放送のことを考えると6TBは欲しいところです。

ただ、Western DigitalのNAS用HDDは、6TBよりも8TBの1TBあたりの単価が約500円近く安いので、容量に余裕のある8TBを購入した方が断然お得なので、特に理由がなければ8TBがおすすめです。


ディスクの冗長化は必須

NASに保存したデータが消えても良い前提であればディスクをRAID構成にする必要はありませんが、PCのバックアップや大切な思い出を保存するのであれば必ずRAID構成にしてください。

ただ、3TB前後の中容量なHDDならRAID構成にしても費用を抑えられますが、4TBを越える容量を複数本購入するとNAS本体よりも高くなるので、ディスク容量の選択は重要です。

例えば、8TBのディスクに録画したテレビ番組を大切に残したいのであれば、8TBの大容量なHDDを最低でも1本購入しなければならないので、コストをかけてまで残す必要があるのか考える必要があります。

NASに搭載するHDDの本数が増えることで故障率やコストが高くなるので、家庭で使用するNASならRAID-1用に2本とバックアップ用の1本を購入するのがおすすめです。

企業で使うNASであればホットスペアの設定も必要ですが、故障時の予備ディスクとして設定したホットスペアが壊れることの方が多いので、予算が限られるならバックアップディスクを優先して購入してください。

各メーカーのNAS専用HDDを使用した感想

ここからは、今まで実際に利用したNAS用HDDの使用年数や故障状況の説明、NAS用HDDを販売している各メーカーの製品の特長、個人的におすすめしたい製品について紹介します。


コスパから信頼のSEAGATEへ

PCに搭載していたSEAGATEのHDDには過去に何度も痛い目に遭わされたのでNASに搭載するのを避けてきましたが、6TBを越えるNAS用ディスクは評価が高いので一部のNASで試験的に導入しています。

過去のトラウマから大切なデータを保存するNASではなく、データロスしても致命傷にはならないバックアップストレージや、テレビ番組の録画用ストレージとして使用しています。

年間500TBのデータをバックアップしているので550TB/年のアクセスを想定しているExosを本来なら使うべきですが、今のところ180TB/年のIronWolfでも問題なく稼働しています。

10TBのIron Wolfを使用して唯一気になるのがHDDの高さで、QNAPのNASだとディスクが密着するので、Western DigitalやHGSTのHDDと比べると排熱処理が少し気になります。

6TB以上のIron Wolfは、IronWolf Health Managementが利用できるので、QnapやSynologyのNASに搭載すればS.M.A.R.Tでは確認できない、200以上の細かなパラメーターを監視することができます。

ただ、IronWolfのHDDを搭載したSynologyのNASはテスト出力コードが表示されるだけなので、S.M.A.R.Tの様な具体的に何をチェックしているのか知ることができません。

SynologyのNASはテスト結果にコードを表示するのに対し、QNAPのNASはログを生成するのですが、.sm2の拡張子を持つファイルを開く方法がわからないので内容を確認できていません。

QNAPのNASとSeagate IronWolfのHDDを組み合わせて使うことで、ディスクの読み書きにしようした容量を確認することができるので、新しいディスクの追加購入や買い替えの時の目安にすることができます。

まだ稼働時間が短いので評価を下すのは時期尚早ですが、年間故障間隔が100万時間で保証期間が3年のIron Wolfや、上位製品のIron Wolf Proのコストパフォーマンスの良さは無視できない存在です。

ただ、ハードディスクの障害から復旧させるSeagate Rescure Planを売りたいためのIronWolf Health Managementという見方もできるので、どこまで信頼して良いのか今の段階では判断が難しいところです。

Western DigitalもNAS用HDDも価格を抑えているので、定番の人気製品を好む人はWestern DigitalのRedを選び、QNAPやSynologyのNASと組み合わせてIHMを試したい人はSeagateのIromWolfを選んでください。


バランスが良い一番人気のWD

NAS用HDDで圧倒的な人気を誇るのがWestern Digitalで、6年以上前から導入を開始して既に30個以上をNASに搭載していますが、5年経過して故障したのは1個という満足度の高い製品です。

使用しているディスクはWD Red Proとは違い5,400rpmの回転数なので決して高速ではありませんが、ファイルサーバやHyper-V仮想OSのバックアップを毎日実行しても安定した稼働を続けています。

Western DigitalのRedには3年保証のノーマルと5年保証のProがあるので、予算に余裕があるならProをおすすめしますが、家庭で使う程度の負荷なら価格の安いノーマルでも十分です。


価格と信頼性が高いHGST

昔からHDDで定評のあるHGSTがWestern Digitalの傘下となりサイトも消滅したため、今後もDeskstar NASが継続して販売されるかのか消滅するのか動向が気になることです。

HGSTのDeskster NASは発熱が高いと言われていますが、同じ室内で稼働させているNASの温度を確認したところWestern Digitalと全く変わらないので、あまり気にする必要はなさそうです。

どのメーカーのHDDも空調の効いている場所とそうでない環境とでは故障率に違いがでるので、気にすべき点はHDDの発熱量よりもNASが快適に動作する環境をいかに用意するかではないでしょうか。

Deskstar NASにはプロモデルが存在しませんが、100万時間のMTBF、回転振動センサー搭載、最大36ベイまで検証済の製品ということで、NASのストレージとして人気があります。

おすすめのNAS用HDDまとめ

予算に限りのあるホームユーザーや小規模オフィスならノーマルタイプを選び、中規模や大規模ならプロモデルを選ぶのがおすすめという月並みのことしか言えませんが、それ程までに今のNAS用HDDは品質が向上しています。

今までの経験上、堅牢と言われているSASディスクも5年以内に故障したことが何度もありますし、信頼性が低いと言われていたSATA接続のNAS用HDDも、普通に5年以上使えています。

ただ、3年保証のディスクが必ず5年使えるという保証は誰にもできない結果論でしかないので、安心をお金で買うと言う意味でホームサーバーに搭載するHDDを、プロモデルにするのも悪くありません。

ノーマルタイプを3年毎に買い換えたり、ディスクが故障してデータの復旧に20万円以上払うことを考えれば、5年保証で可用性の高いプロモデルを購入した方が結果的にお得です。

もし予算的にプロモデルを選ぶのが難しくてもバックアップをきちんとすれば安心感が増しますので、ディスクの冗長化やデータの複製を疎かにして後悔しないようにしましょう。



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