多機能でハイスペックな性能を誇るQNAPのNASですが、低速なアクセス速度のHDDを搭載すると管理画面の操作やファイルのコピーにストレスを感じてしまう時があります。
QNAPのハイエンドモデルのNASはメモリを増設できるので、他社の製品と比べると断然快適に動作するのは間違いありませんが、ディスクをSSDに交換するだけで操作が爆速になります。
QNAPのNASはSSD Trimに対応しているのはもちろん、SSDを一時的なキャッシュとして使用したり、SSDとHDDを組み合わせたストレージのQtierが使えたりと、データアクセスを高速化させる技術が充実しています。
SSD Trim対応NAS
QNAPのNASにSSDを搭載するなら、その機種がTrimコマンドに対応しているのが大前提で、一部のローエンド機種は非対応の物もあるので、公式サイトで対応状況を確認してください。
今回はCrucial CT2050MX300SSD1という2TBのSSDをNASに搭載しましたが、ファイルコピー速度だけでなく管理画面の操作、マルチメディア再生機能がとても快適になりました。
2TBのストレージをSSDで構成するにはMLCやSLCはあまりにも価格が高すぎるので、今回はあまり信頼性が高くないと言われているTLSのSSDを使用することにしました。
因みに、国産のNASで人気のバッファローTera Stationは、純正HDDをSSDに交換し起動させることができますが、Trimコマンドに対応していないので実質非対応となります。
効果が低いSSDキャッシュ
企業で使われることが多いハイエンドなNASには、データアクセスを高速化させるための仕組みとして、ランダムアクセスに強いSSDを一時的なキャッシュとして設定することができます。
キャッシュとして使用するSSDは64GBもあれば十分ですが、ディスクをRAID-1として構成することを推奨しているので、貴重なドライブベイを2本も消費してしまいます。
最新のNASにはM.2 NVMe SSDをキャッシュを設定することができる機種もありますが、体感で感じる程の効果は正直見込めないので、SSDキャッシュを利用する価値はないと考えています。
HDDとSSDを合体!?効果抜群Qtier
SSDキャッシュは、頻繁にアクセスするファイルを高速化させるための技術ですが、同じファイルにアクセスが集中する中小企業以上の規模で使用しても体感的な効果はありません。
そこで新しく開発されたのがQNAPのQtierで、NASへコピーするファイルは一時的なデータ保存領域のSSDに全て保存し、アイドル中に低速なHDDへ移動させる仕組みが新たに追加されました。
頻繁に利用されるファイルを高速ストレージに配置するSSDキャッシュと違い、Qtierとして設定したSSDの容量を限界まで使用するので、ファイルアクセスの速度向上を体感で感じることができます。
キャッシュで使用するSSDの容量は64GBもあれば十分ですが、Qtierで設定するSSDの容量が大容量である程効果が高くなるので、最低でも512GB以上搭載するのがおすすめです。
Qtierを利用するには、最低でもSSD2本とHDD2本でストレージを構成することを考えると、一般ユーザー向けの機能ではなく中規模以上の企業で使用するための機能です。
一般家庭でQtierを設定してディスクスロットを無駄に消費するくらいなら、2TB以上のSSDを2本購入してRAID-1構成にした方がメリットがあるのではないかと思います。
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SSDとの相性が良いQNAP
SynologyのNASと比べると機能に雑な作りが多いQNAPのNASですが、他社の製品を圧倒するハードウェア性能の製品開発や、新しい技術への取り組みは企業のシステム管理者から高く評価されています。
一般家庭で使うならNASならマルチメディア再生能力やセキュリティ機能が優れたSynologyの方がおすすめですが、10GbpsネットワークやM.2 NVMe SSDの対応を重要視するならQNAPがおすすめです。
NASに高速なSSDを搭載したとしても、ネットワーク接続が1Gbpsではボトルネックになるので、PCI Express拡張スロットが使える製品をお求めになるのがおすすめです。
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