雑誌やインターネットでIHクッキングヒーターの情報をみると、「IHクッキングヒーターは火力が弱い」、「火を使わないから火事にならない」、「使える鍋やフライパンの素材が限られる」と書かれていることがありますが、これは嘘でもあり本当の話でもあります。
私は5年以上IHクッキングヒーターを使用していますが、火力が弱いと思うことは一度もなく、むしろガスを使用していた時よりも火力が強くお湯がすぐに沸きます。
では何故、IHクッキングヒーターに関する情報に嘘や誤りがあるかというと、昔のイメージで話をする人がいたり、ガスやIH利用者、業者による情報操作があるからです。
このページでは、そんなIHクッキングヒータを5年以上使い続けた経験から学んだことや、使い勝手などについて説明したいと思います。
※この記事は、200Vの電気を使うビルトインIHクッキングヒーターに関する情報となりますので、卓上IH調理器に関する情報はこちらの関連記事をご覧ください。
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IHの火力
なぜIHの火力が弱いという話がでてくるかというと、100VのIHクッキングヒーターを使用しているか、IHに向かない調理器具を使用しているからです。
1口で3,000Wの出力で調理ができるIHクッキングイーターがある一方、100V3口1,500WのIHクッキングヒーターもあるので、出力の弱いIHを使用している人からすると、ガスと比べて火力が弱いと思うのかもしれません。
これは、出力の弱いキャンプ用のガスバーナーで調理をして、火力が弱いと嘆いているのと同じことで、100Vしか使えない家は1,500W程度の出力が限界なので、必然的に火力の弱いIHクッキングヒーターを使用しているのです。
また、ガスと比較すると2,500Wでも火力が弱いという人もいますが、これは使用する調理器具に問題があるだけです。
IHは熱効率が良いというのは本当で、実際に2,500Wでお湯を沸かしてみると、ガスよりも早く沸騰するのですが、使用する調理器具がオールメタルに対応していないIHにも関わらず、アルミを挟んだ鍋を使用したり厚みのある調理器具を使用すると、火力が弱く感じることがあります。
この記事を読んで1,500ワットのIHは火力が弱いと思うかもしれませんが、そればビルトインIHクッキングヒーターのことで、卓上で使うIH調理器は1,400ワットのものであればガスより火力が強く感じます。
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IHは火事になりにくいのか
IHクッキングヒーターは立ち消えによるガス漏れの心配がいらないことを考えると、確かにガステーブルと比べると火事になりにくのかもしれませんが、ガステーブルでも立ち消えによるガス漏れを検知して自動消火するものがあります。
また、揚げ物をする時に自動温度調節による過度な加熱を防ぐ機能がありますが、こちらもIHやガステーブルどちらにもある機能なので、IHだから火事になりにくいというのではなく、機能が充実したものであればどちらも火事になりにくいのです。
一点だけIHがガスよりも優れているのが、ガスで調理をしているとキッチン全体に熱気が広がりますが、IHの場合は周囲が暑くならないという点です。
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素材を選ばないオールメタルに対応したIH
IHクッキングヒーターは、調理器具の素材を選ぶという話がありますが、まずはIHにはオールメタル対応のIHと、そうでないIHがあるということを覚えてください。
オールメタルIHとは、従来のIHで使える鉄やステンレス製の調理器具以外にも、アルミや銅素材のものを利用できます。オールメタルに対応したIHだと、最大出力が2500Wまでとなる製品もありますが、2,500Wもあれば十分な火力といえます。
2,000Wでも火力が十分強いと思うのに、3,000Wを使う場面は本当に稀で、冬に湯たんぽのお湯を一秒でも早く沸かしたい時だけです。
オールメタル対応のIHの話に戻りますが、マンションや戸建の標準装備とされているIHクッキングヒーターが、コストを抑えるためにオールメタルに対応してない場合があります。
使用できる調理器具の材質に制限が少ないオールメタル対応のIHは、従来のIHよりも魅力的に感じるので、標準装備されていないと不満に思うかもしれませんが、オールメタル対応のIHクッキングヒーターは値段が少し高いので、その分の差額でIHに対応した鍋を買えば済む話です。
オールメタルに対応していなくても、使用する鍋やフライパンを間違わなければ何も問題ないということです。我が家のマンションもオールメタルに対応していないIHですが、何の不自由もありません。
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IHクッキングヒーターに必要な電力
2口~3口使えるIHクッキングヒーターの仕様をみるとわかりますが、最大で6,000W近くの電気を必要とするのがIHクッキングヒーターです。
100Vの20Aで使える電気がだいたい1,500W程度と考えると、6,000W近く使用するIHクッキングヒーターは必然的に200Vの30A電源が必要となります。
通常、オール電化の住宅は200Vの電気を使用できますので、3口のビルトインIHクッキングヒーターでも問題なく使えますが、100Vの電気しか使えない家だとIHクッキングヒーターで使用する電力を1,500W程度まで抑えたものしか使えません。
いくら熱効率の良いIHクッキングヒーターでも、2,000W以上の出力で調理ができないと、火力不足を感じてしまう時がありますので、IHクッキングヒーターを使用するのであれば、やはり200Vの電気は必須と言えます。
IHクッキングヒーターには100Vで使用するものがあり、そのためにIHクッキングヒーターは火力が弱いと誤解されるのです。
多くの一戸建ては200Vの工事は可能ですが、集合住宅によっては200Vの工事が行えない場合があるので、後付けでIHを使用する場合は事前確認が必要です。
IHの疑問
一口で3,000Wを使用できるIHクッキングヒーターの口数が3個あると、使用する電力は単純計算で9,000Wになります。
200V30Aで使える電力はおよそ6,000Wなので、どう考えても容量オーバーでブレーカーが落ちてしまいます。
実際にIHを使うとわかるのですが、IHクッキングヒーターを使用していて、ブレーカーが落ちることはありません。
なぜブレーカーが落ちないかというと、両サイドの口が3,000Wで中央の口が1,500Wだからです。
それでも合わせると7,500Wで容量をオーバーしてしまいますので、同時に複数の口を使用する時は出力の制限がかかります。電気の使用容量が大きくなると自動で出力を下げるか、出力を上げられないように調整されるのです。
一見ガスと比べると火力が劣るのではないかと思うかもしれませんが、2,000~2,500Wもあれば十分な火力なので、調理していて困ることは一度もありません。
最後に
IHクッキングヒーターを実際に使用していますが、特に不自由なく生活できています。
電力を200V使えるようにする手間や、使用アンペアのアップで電気の基本料金が上がることを考えると無理してIHを使う必要はありませんが、ガスのインフラが整備されていない地域であれば、オール電化にしてIHクッキングヒーターを使うのも手だと思います。
大切なのは、世の中に溢れている情報のどれが正しいのか整理して、自分なりに噛み砕いて正しい判断をすることだと思います。
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